「オーケストラ」★映画のMIKATA【⑧】ラデュ・ミヘイレアニュ監督★映画をMITAKA… | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。

◆作品データ
上映時間 124分/製作国 フランス/初公開2010年4月 17 日

オフィシャルサイト

http://orchestra.gaga.ne.jp/#/main

◆スタッフ
監督: ラデュ・ミヘイレアニュ/製作: アラン・アタル/原案: エクトル・カベロ・レイエス、ティエリー・デグランディ/
脚本: ラデュ・ミヘイレアニュ/アラン=ミシェル・ブラン、マシュー・ロビンス/ 撮」影: ローラン・ダイヤン、プロダクション/デザイン: クリスティアン・ニクレスク/衣装デザイン: ヴィオリカ・ペトロヴィッチ/編集: ルドヴィク・トロシュ/音楽: アルマン・アマール/
◆キャスト
アレクセイ・グシュコフ=アンドレイ・フィリポフ /メラニー・ロラン アンウ=マリー・ジャケ/フランソワ・ベルレアン= オリヴィエ・デュプレシス/ミュウ・ミュウ= ギレーヌ・ドゥ・ラ・リヴィエール/ドミトリー・ナザロフ= サシャ・グロスマン/ヴァレリー・バリノフ= イヴァン・ガヴリーロフ/アンナ・カメンコヴァ= イリーナ・フィリポヴナ/リオネル・アベランスキ= ジャン=ポール・カレル/アレクサンドル・コミサロフ= ヴィクトール・ヴィキッチ/ラムジー・ベディア= “トゥル・ノルマン”のオーナー/


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


連休中に、映画初めとして「ミックマック」と「アンストッパブル」と「レオニー」の3本を見ました。プラス暇だったので、昨年2010年に時間がなくて、或いは近隣で上映していない等の理由で見逃した映画を改めてレンタルショップでDVDをまとめて借りて、時にはお正月の残りのお酒を飲みながら、時に飽きたときには、お風呂に入ってラジオを聴いたりして、一日中ぶっ通して朝から晩まで映画を見ていました。


既にレンタルショツブの棚に並んでいる、「オーケストラ」(ラデュ・ミヘイレアニュ監督)、「月に囚われた男」(ダンカン・ジョーンズ監督 )、「矢島美容室」(中島信也監督 )、「真幸くあらば」(御徒町凧監督)、「書道ガール」(猪股隆一監督 )、「ロストクライム」(伊藤俊也監督)の6本を見ました。特に、「オーケストラ」は、2010年の「ベスト15」に確実に選んでいい程の名作でした。しまったー、とんでもない失敗をしたーと驚き、そこで急遽、2010年の積み残し特選映画の第一弾としてこれを選びました。

従って、「2010年の特選映画ベスト16」をもう一度、掲載します。


1)「最後の忠臣蔵」 (杉田成道監督)。

2)「武士の家計簿」 (森田芳光監督)。

3)「 君が踊る、夏」 (香月秀之 監督)。

4)「悪人」       (李相日監督) 。

5)「ゴールデンスランバー」(中村義洋監督)。

6)「おとうと」(山田洋次 監督)。

7)「ノルウェイの森」(トラン・アン・ユン監督)

8)「トランスポータ3」 (オリヴィエ・メガトン監督)。

9)「ミレニアム・ ドラゴン・タトゥーの女」「ミレニアム2・火と戯れる女」    「ミレニアム3・ 眠れる女と狂卓の騎士」

10)「ソルト」 (フィリップ・ノイス監督)。

11)「シャッターアイランド」 (マーティン・スコセッシ監督)。

12)「シャーロックホームズ」 (ガイ・リッチー監督)。

13)「セックス&シティ」( マイケル・パトリック・キング 監督)。

14)「しあわせの隠れ場所」(ジョン・リー・ハンコック 監督)。

15)「インビクタス」 (クリントイーストウッド監督)。

16)「オーケストラ」(ラデュ・ミヘイレアニュ監督)。


ストーリはこうです。劇場の清掃係で働くアンドレイ・フィリポフ(アレクセイ・グシュコブ)は、かつてはロシア・ボリショイ交響楽団で主席を務めた天才指揮者だった。コンサートの練習風景を眺めながら、自分の昔を夢見ながら、ついうっかり指揮棒を振る仕草に陶酔しまう彼でした。


楽団の主席指揮者から清掃係に転落した理由は、ユダヤ系の演奏家たちの排斥を拒絶したため解雇されたのだった。ある日、アンドレイはバリの華やかな大劇場から届いた1枚のFAXを目にする。そこには、サンフランシスコ交響楽団の代わりに、ボリショイ交響楽団へ出演交渉するFAXだった。彼は、チリジリバラバラになった昔の楽団仲間を集めて、昔のボリショイ交響楽団のメンバーでオーケストラを結成して、パリに乗り込むことを思いつく。


アンドレイはまず、元チェロ奏者で今は救急車の運転手・サシャ・グロスマン(ドミトリー・ナザロフ)に相談する。ポロ救急車に乗って、アンドレイとサシャは昔の仲間を走り回る。モスクワの片隅でかろうじて生計をたてている誰も彼も貧しい仲間たちばかりです。楽器を売ってしまった元楽団員もいる、演奏会の盛装もなければ、フランスへ行くパスポートもない。何よりも彼等には、パリへ渡るための旅費がないー。パリ行の夢のようなプランを呼びかけたところ、彼らはこの荒唐無稽な冒険と詐欺のような成りすましの演奏会に二つ返事で承諾する。


演奏曲目は、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ー。しかもソリストは若手スターのアンヌ=マリー・ジャケ(メラニー・ロラン)を指名する。彼女のマネージャー、ギレーヌ・ドゥ・ラ・リヴィエール(ミュウ=ミュウ)は、アンドレイとは旧知の仲であった。アンドレイたち皆は、共産主義の歪んだ政治に翻弄された昔の楽団仲間であった。酔いどれのアルチュウのように朦朧として、彼はジャケに、共産主義の政治的弾圧と粛正の中で音楽生命を断たれた「レア」という天才ヴァイオリニストの悲運を語り始める…。彼にとっても暗い過去であり、忘れられない栄光と輝く音楽人生だった過去であった。でも実は、ジャケはレアの娘で、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲を弾く名手でもあった…。極寒の収容所で、幻のバイオリンを弾くレアの凍りついた姿は、悲しくも痛々しい映像でした…。


今ジャケは、母の残した譜面で母の愛したチャイコフスキーを演奏する。いままで、音楽映画で感動したフィルムにロマン・ポランスキー監督の「戦場のピアニスト」という作品がありました。あれ以来の音楽映画での感動でした。


劇中に登場する音楽は、アルマン・アマールの印象的なメロディ「アンドレイのテーマ」のほか、チャイコフスキーの「バイオリン協奏曲」、モーツァルト、バッハ、ロッシーニ、シューマン、ドビュッシー、パガニーニなど、映画の随所でちりばめられ響く珠玉のクラシック楽曲が、この映画のもう一つの魅力でしょうか…。フランスでは、このサントラ盤は、異例の3万5千枚を超えるベストセラーを記録したといいます。でもでも、こんなに素晴らしい音楽がTSUTAYAのサントラ版CDを検索してもありませんね…!みんな皆の棚に並ぶようにリクエストしましょう。



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