最初から→#1S
前回→#111S
Discostar★Love 4
#112/Side-S
その手を雅紀が包み込む。
重なった拳越し、雅紀の瞳(め)が俺を上目遣いに捉えた。
誘われる・・・
俺ってこんなに欲情し易かったか?
そう自問自答したくなるくらいに、こと、『相葉雅紀』には。
注がれる視線を捕らえて
絡めて、熱を返す。
「・・・帰るか、飲んだら。」
そう囁くと雅紀の瞳(め)に潤いが増して
無意識に開いたであろうツヤのいい唇から熱い息が漏れた。
その唇に、
また誘われる。
さっきは自分に言い聞かせて思い留まったキス。
───今なら、誰も見ていない。
一瞬のうちに周りを把握して唇を寄せた。
誘ったくせに慌てた雅紀がパッと俺の手を離して
あ、って思う間も無く
「熱っち!」
ショコラを煽って火傷して
「バッカ、お前、」
「ぅひゃひゃ!だってしょぉちゃんが、」
耳の先まで真っ赤になった。
「真っ赤だぞ、」
ニヤニヤしながらテーブルの下で膝を小突くと
両手で挟んだマグカップで口元を隠して瞳(め)を伏せる。
スゲー、可愛い・・・
いや、可愛いって言うと怒るけど。
「ホラ、舌、冷やしな?」
「ぁりがと、」
氷水の入った紙コップを手渡して
『あっ、そう、そう言えば、』って
ペラペラと動揺を隠すように饒舌になる雅紀をじっと見ていたら
フッと言葉を途切らせて
「・・・おれ、もう ごちそうさま、」
って、マグを置いた。
高揚した頬が、
雅紀が何を想っているのか知らせてる。
俺だって、
そう思うけれど
「ダメ。・・・『ちゃんと飲んで』?」
まだ少し残るショコラをワザとゆっくりクルリと揺らして
雅紀の手の中へ戻した。