現実問題として、日本人(日本居住者)が購入可能なオフショア籍の投資商品や保険の選択肢は大幅に狭まってしまった。
その事実に対して、今後そのようなものを購入する可能性のある投資家が取るべき対策は、IFAなど販売業者の置かれた状況や彼らの意向とは関係なく、その限られた選択肢の中から自分に最適なものを最短距離で効率よく入手し、それを如何に長期に渡って温存するか?という点に絞られる。
そもそもそういった優良な海外の投資商品、なかでも最も優良なタックスヘイブンから提供される投資商品選択肢が、日本人にとって少なくなるというトレンドは今に始まった話しではなく、10年前からじわじわと進行している現実であり、オフショアの投資商品自体を殆どの人が知らない日本に於いてはその現実さえ認識されていないに過ぎない。
危機やリスクというものは、一般には見えにくい形で静かに進行するのが常である。
逆に、チャンスというものは殆どのひとの目には見えず、気付かないうちに消え去っていくとも言える。
マン島籍の積立型年金プラン(セービングプラン)に関しては、2年前にフレンズプロビデントインターナショナルが日本居住者からの新規申し込み受付をストップしたことは日本人にとってかなり致命的な機会損失をもたらしたと言えるが、今年になってまさかのハンサードが日本居住者の受け入れを停止。
スタンダードライフ、アジアス、サンライフなど香港籍の商品に関しては、来年から施行されるIFAへの手数料の前払い禁止条例の影響によって、ILAS(Investment Linked Assurance Scheme)と呼ばれる積立型商品の年内での打ち切りが突如行われ、来年からは新商品に移行されようとしている。
新商品がどのような手数料の形態をもったどのような商品に変わるのかはまだわからない。
日本居住者が、今まで通り香港現地では契約できるのかどうかもわからない。
それどころか、香港ローカルIFAはその規制によって大きな岐路に立たされており、淘汰が予想されるため、かつてそれらの商品を仲介しくれたIFAが生きながらえることができるかどうかすら予想が付かない。
香港籍のILAS商品の中で、最も日本人に普及していたのはスタンダードライフのハーベストであると考えられるが、スタンダードライフを持っているひとは、今後もそのスタンダードライフを仲介してくれたIFAや中間の業者から今まで同様のサービスやサポートが受けられるかどうかはわからない。
はっきりしていることは、現状日本居住者が購入できる積み立て型の年金商品は、マン島籍のロイヤルロンドン(RL360°)とケイマン島籍のインベスターズトラストに絞られてしまったということだ。
厳密には、ルクセンブルグ籍のコーンヒルと香港籍だが信託という形態を持った香港では認可を取っていない(香港では販売できない)メティスという選択肢もあるが、この期に及んでマイナーな選択肢をわざわざ取ることも無い。
ロイヤルロンドン(RL360°)とインベスターズトラストの2社に選択肢を絞り込んだときに、香港IFAではロイヤルロンドンを扱っているIFAは3社、インベスターズトラストを扱っているIFAは2社しかない。
うち1社はロイヤルロンドンとインベスターズトラストの双方を扱っているので、IFAの選択肢は4社ということになる。
もしあなたがそれらの会社が提供する商品を手に入れたいと心から願うのであれば、それを取り扱っているIFAに直接コンタクトを取り、商品情報を入手し、直接契約をすることが好ましい。
香港に200社以上もあると言われるIFAのなかで、日本人がコンタクトを取るべきIFAはたったの4社しかないという状況なのだ。
どの会社がどこの商品を扱っているかは、ネットで調べれば簡単にわかる。
200社に連絡を取るまでの手間はかからない。
しかし、ロイヤルロンドンとインベスターズトラストのキーワードでたどり付くであろう4社の選択肢の先には、場合によっては1000人以上の紹介業者が関与しており、通常はその紹介業者からしか情報を知る由はない。
以前にお話ししたように、香港のIFAは本来なら自社が責任を負うべき商品説明や契約後のサポート業務を間接的なローカルの紹介業者に丸投げする傾向があり、そのことによって違法な営業行為の疑いを回避し、コンプライアンス上の自社の安全を確保しようとしている。
直接問い合わせをかけてみれば、そのIFAの経営スタイルは明白になる。
もし、「日本の紹介者を経由しなければ購入できない」という回答であれば、それはそのIFAが前述したような業界の悪習に身を染めている証拠であり、そのようなIFAと付き合うことはお勧めできない。
そもそも誰かに余程説得でもされない限りロイヤルロンドンやインベスターズトラストの提供する投資商品を購入する価値を見いだせないような人は、そうのようなものを購入すべきではない。
誰かに勧められてという理由で安易にそれを購入するようなひとは往々にして難民化する。
IFAと差しで話しをして、疑問点を徹底的に解消し、納得した上で、自分の意志でその決断を下せる人でなければ、まず長期に渡ってそいうった気むずかしいわかりにくい商品と付き合って行くことは難しいだろう。
そしてIFAにはそれだけの責任を負う義務がある。
オフショアの商品と長期に渡り付き合って行き、自分の人生設計の骨子に据えるという道を選ぶにはそれだけの覚悟が必要だ。
そのための一生に渡るパートナーを探す行為を誰か他人に依存することはできないということを知っておいて欲しい。
結婚相手のような生涯のパートナーを探すのにネットの写真だけで選んだり、今時、親や親戚の選んだひとと会わずに結婚する人など居ないだろう。
男も女も付き合う相手で人生が変わってしまうように、どのような投資商品と人生を共にするかでその人の人生も間違いなく変わると思う。
そういう気持ちで投資商品にも真面目に真剣に向き合って欲しい。