私は『ベーシックインカム』を支持しています。

タイトルについてですが、「利点」の反意語としては「欠点」とか「難点」が正しいのでしょうが、あくまでも改善(解決)できる余地があるという考えの下、あえて「利点と問題点」とさせていただくことをご了承願います。

経済素人の一会社員による一主張に過ぎないので、記事の内容に間違いがある場合や、反対意見については、コメントやメッセージ(メール)にて有識者の方よりご教示いただけたら幸いです。



ベーシックインカムとは、全国民個人単位に一律の最低保障額を給付する制度・構想のことで、「最低限所得保障」のうちの一手段です。「最低限所得保障」の他の制度としては、「負の所得税」などがあります。
今年実施される(された)
”「定額給付金」の金額をもっと少し引き上げて、かつ継続させるようなもの”
と考えるとわかりやすいでしょうか?
例えば簡単に説明すると、一人当たり”無条件に”「年間50万円~100万円くらい」を支給するのです。
この”無条件に”というのが、とてもとても重要です。

現在の日本では、社会保障・福祉が充実していると言えるでしょうか?
私は充実しているとも言えるし、していないとも言えると思います。
平等にするために細かくルールを定めているにも関わらず、それでも尚、その救済から漏れてしまう人がいたり、過剰に救済され過ぎている人が存在することを否定できないからです。平等を追求した結果、不平等も大きくなったり増えたりしているということです。

現在の社会保障・福祉(経済的弱者を救う制度)の、代表的なものとしては以下の3つでしょう。
1、年金
2、失業(雇用)保険
3、生活保護

これら既存の社会保障・福祉は、ベーシックインカムがその全ての替わりになることができると思います。
それでは、ベーシックインカムが実施されることによる利点(メリット)をまとめてみます。


【利点】
1、飢死する人がいなくなる(はず)。
全国民個人単位に最低保障額を給付するので、支給対象から漏れる人が発生しません。
既存の社会保障・福祉にはそれぞれ支給要件が定まっていますから、どうしてもそこから漏れてしまう人が必ず存在します。
「既存の社会保障・福祉から漏れるような人は、救済される必要がないからじゃないか?」って思われる方もおられるかもしれませんが、一概にそうとも言えないと思います。


2、認定、支給が簡素化される。
ベーシックインカムは、全ての国民に一律金額を支給するだけなのでとてもシンプルです。
よって、それに割くべき人件費等が既存の社会保障・福祉に比べると大幅に縮小することができます。
既存の社会保障・福祉は、年金を始めとして複雑を極めております。故に、認定
や支給の際には多くの施設・設備・人員が必要になっています。これらが不要になるということは、国家予算の支出を減らすことができるということです。


3、不正受給を無くすことができる。
既存のあらゆる社会保障・福祉に、不正受給は付きものでしょう。
「年金」ならば、死亡した者を生存していることにして家族の老齢年金を不正受給したり、本当は障害がないのに、医者とグルになって障害者認定を受け、障害者年金を不正に受給するという事件が起きています。

「失業保険」では、実際は就労しているのに労使がグルになり不正に失業給付を受けるってのは、よくある話。
あとは就労可能なのにあえて積極的には就職活動をせず、給付日数上限受け取ったりなんていうのは、頻繁に発生しているでしょう。

「生活保護」。これは事実上支給額に明確な上限がありませんので不正受給の一番の温床となっていると思います。
北海道滝川市で起きた元暴力団関係者による不正受給は有名ですが、こんなの氷山の一角に過ぎないと思います。
実際は就労可能なのに、医者から就労不可の認定され貰えれば良い訳ですから(他にもミーンズテストなどは必要ですが)、働いても手取り6~7万円しかもらえないような人は、生活保護を受給できた方が金銭的に潤います。したがって、本当は頑張れば就労できるのに、あえてそれをせず生活保護を受給している人がいないとは言い切れないと思います。また、生活保護者は原則自動車の所有を禁じられていますが、バレないように所有している人が存在するのは紛れもない事実です。
他にも既述すると限(きり)がありませんので割愛します。

ベーシックインカムでは、全国民一律額給付なので、不正を犯せるポイントが限りなく0に近いと思います。(可能性は下記に記載しています)


4、無駄な労働が減る。
社会保障・福祉が簡素化されることによって、今までそれらに従事していた人(公務員)は、職を失うか他の職務に当たることとなります。
また、ベーシックインカムのみで可能な(ギリギリの)生活で十分という人は、就労しなくなると思います。(逆に最低限の収入があるから、低収入の仕事でも安心してできるという考えもある)
これによってどういう現象が起きるか予想してみると、本当に必要とされる仕事だけが残ると思います。
理屈は簡単です。必要とされない仕事は、すなわち需要が少ないということですから、その仕事の対価は小さいものとなります。
今までは対価が小さい(収入が少ない)仕事でも、他の仕事には就けないし、何も収入がないと生きていけないから、しょうがなくその仕事をしているって言う人はその仕事をしなくなると思います。
少なくとも、パワハラを受けていたり、自尊心を傷つけられるような職場で働かざるを得ない人は少なくなるでしょう。

札幌のタクシー事情は酷いことになっております。規制緩和がもたらした増車により、客待ちの台数といったら、最後尾の車両は何時間待てば乗車されるのかわからない程です。当然歓楽街や地下鉄駅等周辺の道路は、1車線が客待ちタクシーで潰れていまっています。客待ちタクシーが発生させる渋滞や客待ちタクシーのアイドリングは、環境に悪いものでしかありません。
さて、このタクシーの台数が減ったところで、不便になる人はいるでしょうか?
今の10の1とか、極端に減らさない限りはいないと思います。おそらく今の半分くらいの台数になっても、乗りたいときに乗れるだろうし、市内のタクシー業者の(全体の平均)収入も減らないと思います。収入は減らなくても支出(経費)は確実に減るので、利益は増えるでしょう。
あくまでも札幌での話ですが、今のタクシー運転手の賃金といったら、その多くはベーシックインカムでまかなえる程度だと思います。

サービス産業においては過剰な競争の結果、多くの資源が失われていることを否定できません。
営業活動に使われる、化石燃料資源、紙資源などなど。これらが必要な理由のそのほとんどは、パイ(仕事や消費者)を奪い合う手段だと思うわけです。
ようするに、消費者側はその営業活動に使われた資源がなかったとしても、同水準のサービスを受けることが可能だということです。
例えば、ある産業のA社とB社。この二社の商品内容とサービス内容がほぼ同じだと仮定した場合、この二社が販売促進のために消費した資源や人件費は、社会全体レベルで見たときにはその生産性は限りなく0に近いと思うわけです。なぜなら、A社の商品を購入してもB社の商品を購入しても、消費者の利益は変らないからです。(商品やサービス内容に差がある場合は当然にこの限りではない)

要するに、日本人はもっと働かなくてもよいと思うわけです。
昔と違い今は、農業革命や産業革命によって生活するに足りる労働力の必要量そのものは減少しているはずです。
故に、「働かざる者、食うべからず」という考えは、今の時代には合わないと思います。
働く者も、今までに構築された多くのインフラの恩恵を受けているからです。祖先、先輩方が残してくれた財産は、働く者にも、働かない者にも平等に分け与えられる必要があると考えます。
例えば、1億円分の生産をする場合。今現在のインフラが整っている状態で生産できる場合と、道路も電話も、自動車や電車などもない状態とでは、同じ生産量を生めるわけがありません。

国民の平均労働時間が減れば、それだけ心身に余裕が生まれ、精神患者や自殺者、犯罪の減少に繋がると思います。
また、母親が子供と一緒にいれる時間は絶対的に長ければ長いほど、その子供にとって良いことだと私は思います。


5、ストレスが軽減される。
年金なんて私らの世代は本当に受給できるのか未確定だし(私は貰えないものとして考えている)、既存の社会保障・福祉から漏れる事情で、収入を得られなくなる可能性だって十分あります。そういった、ストレスから解消されれば、これもまた精神患者や自殺者、犯罪の減少に繋がると思います。


6、やりたい事に挑戦しやすくなる。
才能があっても、初期収入(および生活)の懸念から挑戦できずにいる人たちは、収入を心配せずに打ち込みやすくなるのではないでしょうか?
収入を得ていたとしても社会全体でみると生産性のない仕事、過剰な営業(集客)活動や、犯罪的ビジネス、窓際族が存在することを考えると、収入を生まない仕事があってもいいはずです。
ボランティア活動なんかももっと増える可能性があります。
悪いことと知りつつ、食べるためにしょうがなく詐欺や弱者から搾取している労働者は多いと思いますから、こういう人達も安心して公平な取引に専念できるようになるのではないでしょうか?


7、企業としても人材採用の自由度が高まる。
今の制度上、簡単に従業員を解雇させることはできませんし、許さることでもありません。
しかし、企業として生産量を一定化させることも難しいので、その時その時の状況に合わせた雇用をできるのが理想だと思います。
また、雇用と採用のミスマッチが生じた場合や、会社への貢献度が低い人材をいつまでも雇わないといけない義務も軽減できると思います。
企業の人材に対する投資対象を選択・集中できることでの効率性を上げる期待できます。
企業の業績や社員の能力に起因しない理不尽な解雇等については、もちろんこの限りではありません。


他にも利点はありそうですが、まずはこの辺にしておいて、問題点(デメリット)に触れてみます。


【問題点】
1、インフレ(デフレ)への対応
最低保障額だけで生活できない水準になると、支給額の見直しが必要になります。
支給額をいくら増やしても(減らしても)平等ですが、支給額が高くなりすぎると勤労意欲の低下に繋がってしまいます。
これは、全国民に対する就労者の割合を数値化すれば、適正な支給額が算出できそうな気がします。
就労者の割合が一定数を上回っている時は、支給額を増やす。
就労者の割合が一定数を下回っている時は、支給額を減らす。
といった風にしてみてはどうでしょう。


2、労働意欲がなくなり、働かない人が増えすぎる懸念
これは既存の生活保護制度でも同じことが言えますが、最低限の水準をどこにするかで変ってきます。
極端な話、給付額200万円/人という高設定にすると、勤労者の負担が大きくなりすぎ、ベーシックインカムだけでいいという人が増えすぎると思いますが、この部分を生活をするのに足りる本当の最低金額に設定できれば解決できるでしょう。
何故なら、最低限の生活で十分という人が全てじゃないからです。少なくても私は最低限の生活よりは、努力できるだけ努力して、最低限以上の生活を求めます=働ける限り働きます。

では実際の給付額ですが現実的には60万円/人~70万円/人くらい(現在の貨幣価値にて)が、最低限の金額となるのではないでしょうか?
地方によって家賃や物価の違いはありますが、逆に人口の偏りを解消することにも貢献できると思います。
物価の高い地域で生活したい人は働くでしょうし、ベーシックインカムだけで生活したい人は物価の低い地域に移住することになるでしょう。
また、月間収入を仮に5万円/人とした場合、一人暮らしではギリギリであっても、一人暮らしよりは同棲やルームシェア、核家族よりは拡大家族の方が生活は楽になるでしょうから、今より人(家族)との繋がりが強固になる期待もできます。

万が一あまりにも就労する人の割合が少なくなった場合は、[1、インフレ(デフレ)への対応]と同様の調整方法が良いと思います。


3、不正受給
ベーシックインカムの不正受給で考えられるのは、「年金」でも一例を出したように、死亡者を生存していることにして家族などが不正に受給することくらいだと思います。
これについては、支給時に毎回厳格な本人確認を行ったうえで支給するというような方法をとれば、防ぐことができるのではないでしょうか?
それに掛かる人員は、既存の社会保障・福祉にて必要とされている人員に比べると比にならないほど少ないものになるでしょう。


4、財源をどうするか?
当然ながら、莫大な予算が必要になります。
これは、既存の社会保障・福祉を切り詰めることによって生み出す割合が大きくなると思います。
ベーシックインカムを実施することにより、ほとんどの救済制度は不要となるはずですから、年金、失業給付金、生活保護費、またこれにかかる経費の分を充当させます。
例えば今急増している生活保護では、受給額もさることながらケースワーカーの数が足りない問題も大きいのです。
また、働く者が減るという仮説を立てると、一労働者あたりの収入は増えるはずなので、税金では所得税率を引き上げることが可能になると思います。


5、外国人の扱いをどうするか?
基本的な考えでは認めるべきだと思いますが、そうなると移民(主に日本よりも貧困な国から)による人口増加が進み、結果、給付額を減らさないといけないか、労働者の負担を大きくしなけらばいけなくなる可能性があります。
しかし、グローバルな視点に切り替えると、日本より貧しい国では働いてもベーシックインカム以下の生活を余儀なくされている人がいるという事実を考慮すると、やむを得ないのかもしれません。
日本人だけ幸せならそれで良いのか?という問題に発展します。

現実的には、日本滞在期間5年以上の者を対象者にするなどの制度が必要かもしれませんが。


6、セーフティネットの意味合いで給付をするのなら、「負の所得税」制度の方が効率的だし、労働意欲も失わないのではないか?
※「負の所得税」とは、一定の課税所得を満たさない部分において一定割合を給付するというものです。
例えば、課税所得200万円、助成率50%とした場合、
年収100万円の世帯には不足分(100万円×50%)=50万円が支給。
年収0円の世帯には不足分(200万円×50%)=100万円が支給。
となります。

たしかに、今回の「定額給付金」同様に、財源の徴収と分配(支給)にかかるコストは発生します。しかし、「負の所得税」は申告が必要になるのがネックです。申告が必要なことには不正を犯すチャンスが生まれます。結局その不正をチェックするコストが必要になるということです。
また、申告して給付(還付)を受けるよりも、無条件に当然の権利として受け取る方が、後ろめたさを感じずに堂々と受け取ることができます。(全員が受け取るので)
労働意欲については、ベーシックインカムにする場合、給付額が重要になると思います。
給付額が大きすぎると労働意欲が低下しすぎる懸念はありますが、最低限ギリギリの生活ができる範囲で決定することが求められます。
ただ、先述したように、今の時代働かなくても良い人が存在しても全然問題ないと思います。


7、医療費はどうなるのか?
ベーシックインカムにしても負の所得税にしても、いずれもギリギリの生活を想定しているので、医療費は別途補助が必要になると思います。
私の中ではこの問題が一番大きいですね。


ベーシックインカムによって、既存の業務は格段に少なくなると思います。そのことによる資源削減が期待できます。
ベーシックインカムは、いわゆる所得の再分配なのですが、既存の社会保障・福祉以外に現在行われている方法として、公共事業があります。本当に必要な事業は別として、無理矢理仕事を作るために必要性が低い高速道路や箱物を作るよりは、シンプルに現金を渡す方がロスがなく環境に優しいはずです。

また、「現在の奪い合う世界から、与え合う世界への転換のきっかけ」としても期待してしまいます。
金銭的余裕から心身の余裕が生まれればとも思います。

以上の見解から、ベーシックインカムこそが究極のセーフティーネットであると私は考えます。


以下のブログ記事を参考にしています。
○[六本木で働いていた元社長のアメブロ]堀江貴文氏
>>ベーシックインカムの話

○[王様の耳はロバの耳!]山崎元氏
>>「ベーシック・インカム」を支持します
>>ベーシックインカムに関する補足
>>ベーシックインカム7つの長所


〇ニコニコ動画「ベーシック・インカムって何?」