今回の問題について、様々な意見が飛び交っていますが、いくつかの意見について私の見解を記述します。


1、「敷金・礼金・仲介手数料が0なのだから、借主は利益を得ている、貸主に感謝するべきだ!」


貸主はボランティア精神で、敷金・礼金・仲介手数料0円にしているわけではありません。

ひとつの戦略なのです。販売促進です。

ですから、私は「仲介手数料」を無料にすることを、「サービス」とは言いたくありません。

お客様のために無料にしているのではなくて、こっちの都合でそうしているのです。



2、「敷金預けていないんだから、すぐ出されてもしょうがない」


その1 でも記述しましたが、1ヶ月くらい、ましてや数日の家賃滞納では契約解除はできません。これは敷金を何ヶ月支払った(預けた)かは関係ありません。

貸主と借主との間の「信頼関係」が壊れるレベルの滞納があったかどうかが基準です。

「借地借家法」により、借主は保護されています。

実際の立場は弱い借主が、法律の中では圧倒的に強いのです。

自動車と人(自転車)との交通事故みたいな感じです。



3、「そもそも契約書に書いてあることなんだから、守らないといけないんじゃないの?」


何でも契約書に書いてあることが、優先されるわけではありません。

例えば、消費者金融で年利50%で契約をしたとしても、これは出資法の上限を超えているので、超過分の利息を支払う義務はありませんし、貸した方は罰せられます。

何でも契約書通りに事が進むととても大変なことになります。

建物の賃貸借契約では「特約」なるものも多数存在しますが、借主に不利な特約はほとんどが認められないのに、契約者は知らずにその特約に基づき金銭を支払っていることが多いと思います。



4、「簡単に追い出すことができないのなら、大家はどうするべきなのか?」


現行の法律のままだと、敷金を6ヶ月くらい預かっておく事が一番だと思います。

しかし、こんな契約条件だとよっぽどの優良物件じゃないと、入居者は決まらないでしょうね。

あとは、家賃回収を信販会社に委託するのも良いと思います。要は、入居者がクレジットカード契約をするのです。私の知っている信販会社は6ヶ月まで支払をしてくれます。

入居者は大家に滞納しているのではなく、信販会社に滞納していることになります。


あとは法改正に期待です。

例えば、2か月分の家賃が滞納されれば強制退去できるような法律に改正すれば良いと思います。そうすれば、預かっておく敷金も2ヶ月分くらいでいいでしょう。いずれにしても、敷金なしというのはハイリスク過ぎると思います。

ただ、滞納せざるを得ない借主にとって2ヶ月で強制退室というのは厳しいでしょう。(あくまでもやむを得ない状況で支払えないという仮定)

しかし、3ヶ月以上の滞納が頻繁に発生すると貸主としてもアパート経営が成り立たなくなる恐れがあります。

そこで、行政はこういう時の住居難民を一時的に入居させる施設を用意すればいいと思います。



結局、法律は法律です。感情論は通用しないという事です。

そして法律遵守はもっとも大切なことです。

納得いかない法律が存在するなら、頑張って改正させるしかないのです。