テーマ、「ニュースから」と迷いましたが、こっちにします。


以下のニュース、一般の方はどう思われますか?

「いくら家賃滞納してたって、無断で鍵の交換や荷物撤去なんて酷い」って思いますか?

「決まった期日に家賃を払っていないのだから、何をされてもしょうがない」って思いますか?


ソース:毎日jp

-----ここから引用-----

敷金ゼロ、礼金ゼロ、仲介料ゼロをうたい文句にした「ゼロゼロ物件」のアパート入居者ら5人が8日、無断で鍵を交換されるなど生活の平穏を著しく侵害されたとして、不動産会社「スマイルサービス」(東京都新宿区)を相手取り、計約1190万円の賠償を求めて東京地裁に提訴した。

 訴えによると、5人は06~08年に都内の物件に入居したが、同社は利用料の支払いがわずかでも遅れると無断で鍵を交換したり、2万円を超える違約金と施設再利用料を徴収した。部屋に無断侵入し、荷物を撤去したケースもあったという。

以下省略このニュースの続きを読む

-----引用ここまで-----


今回問題となっているのは、「約定支払日から数日(実際は何日だったのかはわかりません)しか滞納期間が無いのに、鍵の交換、違約金支払、荷物撤去」がされたという部分です。また、この会社(スマイルサービス)は通常、部屋の契約に適用される「借地借家法 」に基づかない、「施設付鍵利用契約」と称する特殊な契約を結び、支払いが確認できない場合は施設を利用できないとする承諾書を取っていました。

なぜ、このような特殊な契約(承諾書)を交わしていたかというと、通常の「借地借家法 」に基づく契約(ごく普通の契約)だと、借主がとても守られるからです。1ヶ月くらいの滞納では、鍵の交換や荷物を出すどころか、契約解除すら認められません。


借地借家法 」では、正当の事由がないと貸主からの契約解除は認められません。しかも、この正当の事由っていうのがとても限定されています。

例えば、建物が老朽化してもう取り壊すといったようなケースでも、入居者が納得するような物件が見つからなかったり、相当費用(立退き料)を提供しなければ退去してもらうことはできません。

家賃滞納は契約解除の正当の事由に該当しますが、1ヶ月くらいでは「支払う意思がない」とは認められにくいのです。


では、実際に家賃滞納者が2ヶ月~3ヶ月滞納を続けて、もういい加減退去してもらわないといけないといった場合にはどうするかというと、やはり「法的手段」が必要になります。



簡単な流れはこうです。



1、まず、5日ないし10日くらいの期間をおいて、滞納している家賃全額の請求をします。

2、支払がなかった場合には、借主に解除の通知をします。これで、契約は解除されることになります。

催告と解除の方式は、特に決められていませんが、いつ、どのような内容の通知をしたか、後日紛争になるのを防ぐため、配達証明付き内容証明郵便 が最も適しています。

3、賃貸借契約を解除したにもかかわらず、借主が建物を明け渡さないときは、建物明渡しの調停によって解決を図るか、裁判で明渡しの判決を得て、強制執行を行うこともできます。




スマイルサービス社もこのような手順を踏んだ上で、鍵の交換、荷物の撤去などしていれば提訴されることはありませんでした。

しかし、ご存知の通りこの手順を踏むには「費用」が発生します。

広告などと違い、今後の利益を生むものではなく、本来は入ってくるべき収入の未回収分に費用はあまりかけたくないものです。


そこで、この会社が思いついたのが「施設付鍵利用契約」です。

要は、部屋として貸してませんよ。ということ。

わかりやすく言うと、施設のついた物置としての契約といったところでしょうか。


しかし、争点となっているのは「実態は部屋(借家)として使われていた」という部分でしょう。

契約上は借家としてのもでなくても、『借家として利用していた』、『利用できるものだった』、『利用していたことを貸主は知っていた』などのポイントがあると、スマイルサービス社が敗訴する可能性が高いのではないかと思います。



この裁判がもし札幌で行われるのなら、是非傍聴したいと思います。