「ゼロゼロ物件 その1」 では、「借地借家法」により借主は保護され、貸主は簡単には契約解除できないと記述しましたが、その同じ「借地借家法」の中には決めた期日が来たら自動的に契約解除できる法もあります。


「定期借家契約」 というものです。


これは、平成11年の法改正(施行は平成12年から)によって新たに認められたものであり、この契約にしていればその理由を問わず無条件に契約を解除することができます。

「定期借家契約」を一番多く使用するケースは、「持ち家を持っているが転勤で3年くらい明けるのでその間、少しでも家賃収入を得たい、しかし3年後には必ず借主には退去してもらいたい」という時です。

しかし、1年未満の契約期間も認められているので、スマイルサービス社はこの制度を利用していれば良かったんじゃないかな?とも思います。

例えば、6ヶ月間の「定期借家契約」を結び、「6ヵ月後に双方合意すればまた6ヶ月間の契約を再契約する。」というような方法はどうでしょうか?



又、建物を借りる時には、この「定期借家契約」じゃないかどうかきちんと確認しておかないと、期限が来た時に大変なことになります。

「定期借家契約」に関しては必ず契約書に記載されますし、契約前に重要事項説明で説明されます。

面倒だからといって、契約書をろくに読まずに、重要事項説明もろくに聞かずに契約するなんてことは絶対にやめましょう。

「そんな人いないでしょう~」って思われるかもしれませんが、ずぼらな人もいるんです。

そんなずぼらな人がずぼらな営業に当たったら、知らないうちに「定期借家契約」を結んでしまったって事になりかねません。


この「定期借家契約」は、悪い側面だけではありません。

借主に不利な分、通常は相場家賃よりも低い家賃設定になっていることが多いです。


一方、物件を貸す方としては万が一の時を考えて、「定期借家契約」で結んでおくことをお勧めします。

「ゼロゼロ物件 その1」 で記述したとおり、悪質な入居者でも退去させるのは容易ではありませんから。

あるいは、必ず(破産する可能性の低い)保証会社を利用しましょう。

残念ながら今は、昔みたいに誰とでも信頼関係を築ける時代ではありません。


今はまだ滅多に、「定期借家契約」のケースはありませんが、今後は増えるのではないかと思います。

また、その時には「定期借家契約」の見直し(法改正)も予想されます。(立場の弱い借家人を保護するための法律であったはずの借地借家法の中に、家主を保護するために作った制度ですから矛盾している感じもします)


既存の「借地借家法」も「定期借家契約」も内容が極端すぎると思います。

貸す方も借りる方も、善良な人が損をしない法律にはできないものなのか?と思う次第です。