今日は、中川八洋先生のポスト・モダン思想批判書、『福田和也と《魔の思想》』を引用しつつ、いわゆる『女系天皇』論や成文法主義がこのポスト・モダン思想、すなわち左翼思想に由来する所以を、ごく軽く、述べてみたいと思います。


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 ポスト・モダン思想をご存知でしょうか。ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ、ミシェル・フーコー、ジャン=フランソワ・リオタール、ジャン・ボードリヤールなどによって展開されてきたこのフランス由来の思想は、マルクス・レーニン主義の偽装したものです。


ーーーーーー 以下引用 ーーーーーーー

 革命の新スタイルの第一は、マルクスやレーニンのイデオロギーを直接的にかざすことをやめ、マルクス・レーニン主義をバラバラに化学分解して、その構成分子ごとに運動を特化することであった。

 ① 家族解体運動 ーーー 夫婦別姓、ドメスティック・ヴァイオレンス、「主婦=シャドウ・ワーク」論、児童の権利条約、・・・。

 ② 性器・性交教育 ーーー 日本の若者の動物化(倫理道徳性の剥奪、勤勉性の破壊、・・・)。

 ③ ジェンダー・フリー教育 ーーー 人格形成における伝統と慣習の除去による精神の異常化。

 ④ 「男女共同参画社会」運動 ーーー 性差が重要な柱の一つとなっている、自然に発展してきた文明社会を、この性差秩序の破壊で、根底から崩すこと。

 このほか、⑤環境、⑥開発 ⑦人権も、旧来のマルクス・レーニン主義を塗装し直したものにすぎない。また、⑧「セクハラ」や「ジェンダー」などの奇語を振り回すフェミニズム運動も、それが社会主義の「平等」から産まれたものであり、社会秩序を担う男性(=秩序)に対する破壊的攻撃を煽動する革命運動の一つである。

 さらに、⑨「リプロダクティブ・ライツ」などという外来語をもったいぶって振り回し、日本の女性に出産と妊娠を拒絶させるイデオロギー運動は、日本を人口減に追い込みその経済と社会を崩壊させるもので、「資本主義」を堅持した日本への報復革命の典型である。究極に日本消滅を目標にした戦術である。

 ⑩ 「ゆとり教育」も、次代の日本人の学力を大低下させて、日本の「資本主義」を自然に自己崩壊させる革命戦術である。(注1)


ーーーーーーー 引用ここまで ーーーーーーー


 中川八洋先生がここに説かれているように、今やマルクス・レーニン主義(共産主義・社会主義)が、そのままマルクス・レーニン主義の顔をして立ち現れることはないと言っていいでしょう。

 彼らは、明らかに戦術を転換し、マルクス・レーニン主義であることを巧みに隠して、しかも同じ目的をかなえようとしている、そしてそれは恐るべきことに一部で成功しつつあるのです。

 既存の仕組みやシステムを利用し、そこに潜り込んで目的を達成する。上記引用に挙げられているものは、いずれも社会科教科書などでは「素晴らしいもの」「進歩的なもの」として取り上げられているものばかりですが、何のことはない、これらは全て真の自由を保障してくれる道徳・慣習・伝統など(不文の法)の否定、破壊のプロパガンダに他なりません。

 社会科教科書は、左翼思想のプロパガンダ文書と化しています。そして、これらの主張を支えているのがマルクス・レーニン主義の偽装であるポスト・モダン思想なのです。

 いわゆる「女系天皇」もまた、畏れ多くも天皇という我が国の国体の中心たる存在を「形だけ」「利用」し、それを天皇ならざるものへと破壊、滅ぼしてしまおうというものですが、これまた口先だけの「尊皇」を偽装し、男女平等などというマルクス・レーニン主義のドグマを皇室に適用するものです。

 いわゆる「女系天皇」論者は、自らを天皇陛下を敬う者であり、愛国心を持つ者だとことあるごとに、わざとらしくアピールしています。そして、「不文の法」たる皇位の男系継承を守り、皇統を護持しようとする者に対しては下品な悪罵を投げつけるだけ(笑)しかできないようです。

 彼らが必死で組み立ててきたいわゆる『女系天皇』論とは、主に ① 過去にも女系天皇というものが存在したという真っ赤なウソ、② 神話や法令や史料などの曲解 ③ ことあるごとにわざとらしく尊皇をアピールすることによる偽装 によって成り立ってきました。要するにいわゆる『女系天皇』論とはウソの固まりだったのですが、ウソも百回言えば本当になる、と繰り返したのです。そして今も懲りずに、恥知らずに繰り返しています。

 しかしながら、我が日の本ではウソは百万回繰り返そうが本当にはなりません。ウソはウソのままであって、それを繰り返す彼らの恥が汚泥の如く、ただただ積もり積もっていくのみです。

 そして、これら3つが悉く粉砕された『女系天皇』論は、もはや少なくとも『論』としては完全に終焉を迎えたのです。ゆえに、もはや彼らとしては下品な悪罵を投げつけるしか、もはやすべきことは何も残されていないのです。

 しかしながら、政府などの動きを見るに、皇統廃絶と日本国崩壊へと導く、いわゆる『女系天皇』につながる『女性宮家』への策動が活発です。そうはいっても、もはや敵には何らの「大義」はありません。大義たり得る『論』は悉く粉砕されました。我々は、皇位の男系継承たる不文の法を守るという「大義」をもって、堂々これらに対抗し、粉砕すべく活動を展開していくのみです。

 ところで、いわゆる『女系天皇』論者は、「不文の法」などというものはこの世に存在しない、書かれていない法などというものがあるはずがない、と主張します。

 この発想こそは、まさしく左翼思想であり、ポスト・モダン思想なのです。再び中川八洋先生の著書から引用致します。

 
ーーーーーーー 以下引用 ーーーーーーー

「・・・(略)・・・領土が地図に先行するのでも、従うのでもない。今後、地図こそ領土に先行するーーーシミュラークルの先行ーーー地図そのものが領土を生み出すのであり、・・・(略)・・・」(ブログ筆者注:「」かっこ内 ボードリヤール『シミュラークルとシミュレーション』 法政大学出版局、p.1~p.2)


 世界地図とは、現実に実在する各国の領土を、紙の上に正確に描いた”シミュレーション”(模擬物)ではないか。それなのに、ボードリヤールは、「地図が領土に先行して・・・領土を生み出す」と、地図という領土の模擬を、この模擬の方が実在かのように、地図と領土の関係を転倒する。(注2)


ーーーーーーー 引用ここまで ーーーーーー


 「」かっこ内のボードリヤールの言説に対して、中川先生が批判を加えておられるように、地図とは、実在する領土の模擬物であるのです。にもかかわらず、ボードリヤールは「地図が・・・領土を生み出す」という真逆の発想を平気で断言するのです。大ウソです。

 実在するものは領土であって、地図ではありません。地図とは実在する領土を写したものでしかないのです。しかし、ポスト・モダン思想では領土が地図によって生み出される、という大ウソが平気で出てきます。

 さて、「不文の法」とはすなわち、私たち日本人が祖先から継承してきた道徳や慣習や伝統などの無形の規範であります。無形であるがゆえに不文と形容されます。

 道徳や慣習や伝統というものは、国民が「当たり前」のこととして許容し、認め合ってきたものであって、「日本人らしさ」を形作ってきたものです。ここに「合理主義」「理性主義」などの入る余地などありません。

 これらの「不文の法」を成文化すると、それは「成文法」として扱われます。しかしながら、それは不文の法が成文法に変化したわけではなく、あくまでも「実在」するのは「不文の法」です。道徳や慣習などを成文化したからといって、道徳や慣習が消えるわけではありません。それらはずっと「実在」し続けています。

 この「不文の法」と「成文法」の関係は、あたかも先ほどの「領土」と「地図」の関係のようなものです。


「不文の法」 → 成文法

    領土   → 地図

  (実在)  → (模擬物)

 
 実在するものは、「不文の法」、領土、であるにもかかわらず、ポスト・モダン思想ではこれを転倒させ、成文法、地図、こそが実在であって、「不文の法」や領土、は実在しない、存在しないのだ、という大ウソを平気でつくのです。

 「不文の法」とは道徳、慣習、伝統などであり、これらは私たちの国体、日本人らしさを規範づけるものとして「実在」してきたものです。道徳や慣習などが実在しないなどというのは、正気の沙汰とは思えません。

 目に見えないものが実在しない、というのならば、およそ人間にとって大切なものは全て実在しなくなるでしょう。道徳や慣習などだけではありません。愛国心、祖先を崇拝する気持ち、親孝行しようという気持ち、友情、異性への愛、ものの哀れ・・・全て目に見えません。これらのものは実在しない、と真剣に言うならば、もはやその者は人間ではありません。ルソーです。

 いわゆる『女系天皇』論は、我が国の道徳や慣習、歴史や伝統などという「不文の法」を否定し、存在しないのだ、というのですが、これこそがまさに左翼思想であり、唯物論そのものなのです。

 

 

(注1)中川八洋 『福田和也と《魔の思想》』 清流出版 p.27~p.28

(注2)同上 p.192

 なお、引用箇所には適宜ブログ筆者が赤字表記を施し、読みやすさの便を図るために改行致しましたことをお断り致します。


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