お役所仕事の典型 | 産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

 第一線で働く産婦人科専門医・周産期専門医(母体・胎児)からのメッセージというモチーフのもと、専門家の視点で、妊娠・出産・不妊症に関する話題や情報を提供しています。女性の健康管理・病気に関する話題も併せて提供していきます。

 先日、岐阜県総合医療センターのNICUがMRSA感染による死亡例発生のため閉鎖になったという記事をアップしました。

 その後は、岐阜大学病院・長良医療センター・岐阜市民病院など心ある病院が頑張っているのか、私の病院への母体搬送や新生児搬送が増加しているということはありません。ただ、22週・24週・24週と3例のかなり週数の早い難しい症例が母体搬送となりました。この3例は診療圏から考えると当然岐阜県総合医療センターがカバーしていた地域からの搬送であり、岐阜県総合医療センターのNICU閉鎖の影響と考えられます。

 さて、上記の母体搬送や新生児搬送に関連してですが、昨日驚くべきお役所仕事の典型と思われる事例を経験しました。

 岐阜県総合医療センターのNICU閉鎖は11月6日です。そして昨日私の手元に届いたのは「岐阜県総合医療センターのNICU閉鎖に関連し、母体搬送や新生児搬送への協力をお願いしたい」と言う趣旨の岐阜県総合医療センター院長・理事長から担当医への依頼文書です。この依頼文書は11月18日で作成されていました。

 11/6にNICU閉鎖、11/18に院長からの依頼文書発行、11/26に現場の担当医師に依頼文書が届くという展開です。11/6に閉鎖直後から必要な母体搬送や新生児搬送への協力依頼が手元に届くまで20日はあまりにもかかりすぎではないですか?正直なところ、不愉快に感じます。この依頼文書は、むしろなかった方が不愉快な気持ちにならなかったのかもしれません。

 岐阜県総合医療センターの依頼文書発行まで12日、私の病院の事務にいつ届いたのかは知りませんが、そこから私の手元に届くまで6~8日、これぞお役所仕事の典型ですね。


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