妊娠と腎疾患 Part2 | 産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

 第一線で働く産婦人科専門医・周産期専門医(母体・胎児)からのメッセージというモチーフのもと、専門家の視点で、妊娠・出産・不妊症に関する話題や情報を提供しています。女性の健康管理・病気に関する話題も併せて提供していきます。

3、腎の血行動態の変化による血清性化学検査の値に対する影響は何か?
 血清クレアチニン(Cre)と血中尿素窒素(BUN)の値は、糸球体濾過率の増加により、非妊時よりもおよそ25%低下します。妊娠中期までに血清尿酸値(UA)はおよそ50%減少しますが、尿細管の再吸収が増加するにつれて第3三半期までには通常のレベルまで増加します。


4、妊娠中の尿糖陽性は異常な検査結果か?
 必ずしもそうとは限りません。糸球体濾過の増加により、より多くのブドウ糖が糸球体から分泌されます。尿細管の再吸収能力を超えることもあるため、ほとんどの妊婦さんにとって、1日当たり10g程度のブドウ糖を排泄することは正常といえます。ただし、妊娠糖尿病あるいは糖尿病の可能性は否定できないため、尿糖が検出された場合には、リスク因子がある場合あるいは以前に検査したことがない場合には糖尿病の検査を行う必要があります。

 ちなみに、尿蛋白は増加しませんが、アミノ酸・ビタミンB12・葉酸の尿中排泄は増加します。



 今回の記事は産婦人科シークレットの内容を参考にして記載しておりますが、内容はオリジナルです。
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