奥山篤信 アメリカ映画<ファミリー・ツリーTHE DESCENDANTS>2011 | 護国夢想日記

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 日々夢みたいな日記を書きます。残念なのは大日本帝国が滅亡した後、後裔である日本国が未だに2等国に甘んじていることでそれを恥じない面々がメデアを賑わしていることです。日本人のDNAがない人達によって権力が握られていることが悔しいことです。

奥山篤信 アメリカ映画<ファミリー・ツリーTHE DESCENDANTS>2011☆☆☆☆☆
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 アカデミー賞作品賞と主演男優賞の有力候補だったこの作品は<サイドウェイ>で一躍名をあげたアレクサンダー・ペイン監督がジョージ・クルーニーと組んだ映画である。

 この映画をコメディ映画として見るものも多いだろうが、これは決してコメディではなく、まさにキリスト教の救いの映画である。憎悪劇のなかにユーモラスなタッチで家族崩壊の危機と修復を描きながら、<赦し>の問題にきめ細かく取り組んだこの監督の演出には脱帽である。

 ハワイの名門富豪で律義に財産を守り自分の身分相応に自分の弁護士収入の中で質素な生活を守ろうとする主人公の父親に対して、妻はフラストレーションを感じ、それを水上スキーなるスポーツで鬱憤を発散していた。その妻が水上スキーで転倒して入院しコーマに陥った。

 長女は寄宿舎にてドラッグ、不純異性交友、二女は問題児として、家庭を顧みることなく仕事一筋の父親は、妻の入院で初めてやり場のない家庭問題に直面することになる。



 反抗的な学校での問題児の二女対策として寄宿舎の長女を家に取り戻した父親は、長女より驚くべき事実を聞いた。長女が妻と激論互いに罵り会った昨年のクリスマスの出来事だった。その原因は長女が妻の浮気を目撃したことに発する。


 妻の重体の中で、家庭をおろそかにしてきた自分を反省していた矢先に、突然長女の告白を聞いた父親の狼狽と怒り、狂ったように家を飛び出し間男探しに友人宅に駆け込むのだった。


 知らぬは本人のみ!ついに間男の名前をつき詰めた父親は執念のように探しだし直接対峙せんとする決意を固める。

 白けきって反抗的だった長女との緊張関係は間男追及と言う点で不思議な溶解の兆しを示す。そして間男をつき詰めた父親・・・間男の妻は??


 遺言どおりついに生命維持装置を取り外した昏睡状態の妻を罵倒し怒りの限りをぶつける父親まさに妻への憎悪の権化であった。


 続いて入室した長女も妻への怨念をぶちまけるのだった。そこには人間の憎悪と復讐心だけしかない。

そんな臨終の場に間男の妻が見舞いにやってきた。その妻は夫より過ちについての全てを聞き、家庭を崩壊させた間女への憎悪と怒りを持ちつつも、病床にて怨念を愛と赦しに切り替えるのだった。念仏のように繰り返す<貴女を赦すわ>じっと耐える情念を抑えるのは神の力でしかない。

そんな中で夫はついには妻を赦す心境へと、最後の優しい別れの言葉に変わるのであった。それに倣う娘たち、いまや家族は妻の死を通して固い絆で再び結ばれるのであった。



 娘2人とともに海上に妻の灰を散布する父親、そこには憎悪を愛に変える神の働きともいえる、美しいハワイの海、何故か雲が、そして美しい自然が・・・

 ラストは三人の家族がソファで父親に寄り添いながらテレビを見る場面である。この事件で成長した長女そしてやんちゃな二女、母親の裏切りは、かえってその死によって家族の赦しと憎悪の反省、崩壊寸前だった家族に恵みと救いをもたらしたのだった。

ジョージ・クルーニーの見事な表情の変化、それはともすれば誇張されてしまうところ自然なのである。長女に扮すシャイリーン・ウッドリーなる若手女優がすばらしい。

人間にとって裏切りへの<赦し> は難しい問題である。それは<汝の敵を愛せよ>と同じレベルの問題としてある。
そんな映画だから、アメリカ社会にでも存在するキリスト者の背景をつくづく堪能する映画である。

新約聖書コロサイ人への手紙<03:12あなたがたは神に選ばれ、聖なる者とされ、愛されているのですから、憐れみの心、慈愛、謙遜、柔和、寛容を身に着けなさい。 03:13互いに忍び合い、責めるべきことがあっても、赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように、あなたがたも同じようにしなさい。 03:14これらすべてに加えて、愛を身に着けなさい。愛は、すべてを完成させるきずなです。>
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「甦れ美しい日本」  第1190号


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