奥山篤信 スペイン映画<私が、生きる肌La piel que habito>2011☆4プラス | 護国夢想日記

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 日々夢みたいな日記を書きます。残念なのは大日本帝国が滅亡した後、後裔である日本国が未だに2等国に甘んじていることでそれを恥じない面々がメデアを賑わしていることです。日本人のDNAがない人達によって権力が握られていることが悔しいことです。

奥山篤信 スペイン映画<私が、生きる肌La piel que habito>2011☆4プラス
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ティエリ・ジョンケの小説『蜘蛛の微笑』を原作として、スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督・脚本による映画で昨年英国アカデミー賞外国語作品賞に輝いた。昨年のカンヌ映画祭ではプレミアを飾った。

発想が奇抜であり、DNA医学を批判する映画と思いきや大間違いである。多くの人がこの皮膚取替え術にホラー映画ではないかと毛嫌いし映画館に足を運ぶのを躊躇するのではないだろうか?


そこは流石<美学>のアルモドバル監督であり、目を背けたくなる場面など全くなく、それは素晴らしい色彩の中でDNA医学を美学の中で描いているので心配無用である。


この監督の色彩感覚はどの映画を観ても感嘆するが、この映画でもなんと美しいことか!それにアルモドバルお得意作曲家アルベルト・イグレシアス・フェルナンデス=ベリディのサントラが美しく美学を支えているのである。

物語は主人公皮膚外科医学者の最愛の妻が自動車事故で全身やけどの重症で、その見苦しい姿に絶望した妻は窓から飛び降り自殺する。


その事故より精神病を病んだ最愛の一人娘は退院後ある結婚パーティで知り合った美青年に強姦された。強姦といっても若者は合意の上でと理解していたが、突如半狂乱となって逃げる。発見者の父を強姦加害者と思い込んだ娘は精神病院で窓から飛び降り自殺する。

復讐の鬼となった外科医は若者を誘拐し、自宅にて性転換する。いまや美青年は美女に生まれ変わり、死んだ妻を彷彿とさせる女性となった。そんな女を愛し始めた外科医は如何に?・・

完全に信頼関係が構築されたかと信じ込むのも当然と思える女性の従順さ、たしかに青年の贖罪意識が、そして外科医の復讐心が、それぞれ愛に結晶した時期があったのも事実であった。


しかし人間の心の底にある不条理がある夜、自分が行方不明との新聞広告を見て性転換した外科医への憎しみに転じるのであった。まさに人間のこころにある愛欲と復讐と男女の性がパンドラの箱から暴力と血を噴出させたのであった。

こんな奇想天外の物語をなんと美しく描くアルモダバルには感嘆する。アメリカ映画には絶対に有りえない人間の心に潜む善や悪の襞を見事に美しくドラマティックに幻想的に演出しているのである。

外科医に扮するアントニオ・バンデラスのスペイン男の魅力それに女性に扮するエレナ・アナヤの美しさ(当初ペネロペ・クルスを予定していたそうな)それに男性時代のジャン・コルネットの美青年ぶりは、まさにアルモダバルの同性愛の嗜好が滲み出ている。

この映画を観てもアルモドバル作品は絶対に見逃せないことが分かる。さて日本人の観客がどこまで理解できるか???
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「蘇れ美しい日本」  第1194号


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