実をいいますと、このお正月休みにつらい別れもありました。
12年間私たち家族に寄り添ってくれた柴犬のスタンが6日未明に息を引き取りました。
庭飼いでめったに鎖につながれることもなく、大いに走り、跳躍し、嗅ぎ、吠え、猫を威嚇し、
そして飼い主一家とともに生きることを楽しんだ犬でした。
家庭犬として、この上もなく幸せな生涯だったと思います。
今思い出すのは、私が庭の草むしりを始めると、必ず傍らにやってきて雑草をムシャムシャ食べていた姿です。
お母さんのお手伝い…ではなくて、あれはきっと「飼い主=リーダーがそんなに一生懸命採っているのだから、きっとおいしいものに違いない」と信じ込んでいたのでしょう。
そんな庭仕事の合間に、私は胸のうちをこっそりスタンに打ち明けたものです。
つらい。悲しい。悔しい。ヒトには言えない気持ちがあふれるときも、犬は黒い瞳で見上げながらだまって聞いてくれました。
そうするうちに、そんな負の思いはいつのまにか棘を和らげていき、やがて私はIZAURAを立ち上げて、犬に毒を含んだ言葉を聞いてもらう必要もなくなりました。
だから私に関してはもう大丈夫と、スタンは思っていたような気がします。
一緒に歩き回った庭に、大大好きだったボールと散歩用のリードとともにさきほど埋葬してやりました。
おやすみ。これからも一緒だよ。