2017年3月15日の区議会定例会最終日の本会議では、高野台運動場の廃止の問題について区民から出ていた陳情に関しての討論もしました。

高野台運動場は野球場とテニスコートがあるのですが、以前、区民から「利用の安全性について改善を求めても区が誠実な対応をしてくれない」というご相談があり、議会でも取り上げたことがありました。2015年秋のことです。詳細はこちら

公共施設の安全対策という、言うまでもなく必ずやらなければならないようなことをなぜやらないのか、本当に疑問だったのですが、2016年秋に公共施設等総合管理計画が示された中で高野台運動場の廃止が発表されました。ああ、もしかして内々に以前から廃止の検討がされていたのか、というのが私の感じた最初の印象でした。詳細はこちら

廃止を検討しているならそれも含め、もっと早い段階で情報を開示し区民と話し合うべきではないのか。何も知らされない区民が運動場の設備の改善を求める声に「まあそのうちね」みたいな回答をしていたことはやはり不誠実だと思います。
高野台運動場が廃止になって使えるスポーツ施設の代替案も不十分であったことから、運動場を利用する区民から「代替案が十分に示されないままの廃止はしないでほしい。設備の改善をしてほしい」と求める陳情が出ていて、署名数も3000を越えていたのですが、この跡に作る予定の回復期リハビリ病院と福祉園は必要なものだから運動場は廃止せざるを得ないのだという理屈で議会として多数決をして陳情不採択の結論を出しました。
 
でも、この陳情の審査をした区民生活委員会でも「スポーツ施設は重要だから、引き続き代替を探すこと、区としてのスポーツ施設の拡充は引き続き努力すること」については、どの会派からも同様の意見が出ていました。 
だったら、少なくとも今の不十分なって状態で陳情を不採択にする必要はないのではないかと思い、陳情の願意に賛成する立場で以下のような討論をしました。

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市民ふくしフォーラムとして、陳情第110号高野台運動場の存続を求めることについてその意に賛成の立場で討論をします。


高野台運動場は野球場1面、テニスコート4面のある運動場です。1976年に開設されて、昨年度は野球は94団体、テニスは615団体が利用した、区民のスポーツの拠点です。


ここを拠点にスポーツをしていた区民からは今まで、テニスコートの面の改善をしてほしい、野球のボールがテニスコートに入ってきてしまうことがあるので防球ネットをかさ上げするか利用のルールを工夫してほしい、といった要望が出ていました。

設備面が充実すれば石神井公園駅からも高野台駅からも便利な場所なのだから、もっと利用したい区民はいるはずだ、という意見出ていました。


それに対して区は、昨年度まで、「課題は認識しているがすぐには対応できない」という、あいまいだが運動場継続を前提とした回答をし、今年度に入ってからも10月に公共施設等総合管理計画が発表されるまでは、運動場の使い道そのものを変えることは区民にまったく説明してきませんでした。今回、3000人を超える区民の陳情が出された一番の理由はそこにあると考えます。


高野台運動場を利用している人たちは、ここに計画されている病院や福祉施設に反対しているわけではありません。

なぜ、十分な代替案もないままに突然廃止を決めるのか、廃止されたらその後の活動はどうしたら良いのかという不安を持つのは当然です。

計画を進めたいがために「病院・福祉施設に賛成か、反対か」という問題にすり替えるべきではありません。

説明会ではこの地域に病院・施設はぜひ必要だという意見を出した区民の中からも、この土地でなければだめということではないという意見も出ていました。

区として他に病院・施設を建てる場所がないというならば、その根拠を示すべきですし、そもそもテニスコートの改善や防球ネットの要望に応えてこなかったのは、言わなかっただけで昨年度以前から運動場廃止は視野に入れていたからではないかという疑念を持ちます。今までの経過も含め、本来その時々でなぜ区民の声にこたえられないかをきちんと対話していくしくみをつくるべきではないかと考えます


今回の陳情審査の過程で区からは今後のスポーツ施設の整備予定が示されましたが、そのほとんどは大泉地域のものです。

大泉学園町9丁目のスポーツ施設の拡充は高野台3丁目にあるテニスコートの代替とは言い難いものです。

比較的近い松の風文化公園のテニスコートは現在でもすでに平日98%、土日99%の利用率なのに、今後さらに高野台運動場の利用者が新たに利用するのは難しいのではないかと考えられます。また、野球場に関して比較的近くにある東台野球場の土日の利用率は89%と高くなっており、対応を考える必要があります


このように、高野台運動場の利用者にとって納得できる今後の見通しがまだ立たない中で、高野台運動場の存続・施設環境の改善を求める陳情者の気持ちは今も変わらないでしょう。今回の(区民生活委員会の)委員長報告では、スポーツ施設の充実を強く要望するという言葉が入っています。スポーツ施設の大切さは誰もが認めるところです。ならば少なくとも現状では、この陳情を不採択とするべきではなかったと考えます。


今後、区として、他の公共施設のあり方について計画をするにあたっても、検討段階からの情報公開と利用者との丁寧な対話の体制を構築していくべきであると申し上げ、討論とします。