日本人が間違いすぎる英語表現3つ | 最適性理論(音のストリーム)で英語を覚える

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日本人は次のような間違いをするそうです。

“強調”のつもりで使った言葉が、違う意味になってしまうこともあります。


“強調”のつもりで使った言葉が、違う意味になってしまうこともあります。
 

美人すぎる市議、天使すぎるアイドル、おいしすぎるパン。「~すぎる」という表現、すっかり定着したようで、あちこちで目にしませんか。たいてい「すごく~」と強調する意味で使われています。「予想以上に」や「平均以上に」という気持ちが込められてこのように使われるようになったのでしょうか。本来の「~すぎる」という意味よりも、この強調の意味で使われる方が多くなった気がします。

 

でも、さすがに「天使すぎる」って、行きすぎなのでは? 英語でも「ネイティブすぎる発音」とか「スラングすぎるフレーズ」、「ビジネスすぎる言い回し」や「直訳すぎる間違い」なんていうのが出てくるかも。いや、もう出ているかも?

 

でも、「すごく~」や「とても~」という強調の意味で使っている「~すぎる」という表現、英語で言いたいときには要注意。「度合い」を表す表現や「強調」の表現は、惜しい間違いがとても多いのです。

 

まずは、あるアパレルメーカーに勤めるハナコさんのケース。はやりものには目がないようで、話題のレストランや新製品から、人気スポットや行列のできる店まで、今が旬のものなら何でもお任せというタイプの情報通キャリアウーマン。グリーンスムージーにハマっていたかと思ったら、今度はコールドプレスジュースなのだとか。スピルリナとマキベリーもお勧めだそう。週末には健康にいいスーパーフードのお店をはしごするのが日課で、この前もマヌカハニーという蜂蜜のことを話してくれました。

 

ニュージーランドにあるマヌカという木から採れる蜂蜜らしく、殺菌力があって、美容にも健康にもいいとのこと。筆者を含めてその場にいたオジサン軍団は「ほぉう~」と耳を傾けていたのですが、その中のひとりが「マヌケハニー?」なんてふざけて言ったら、ハナコさんにThat’s a bad dad joke! (くだらないおやじギャグ)とたしなめられてしまいました。

 

そのマヌカハニー、なんでも等級とやらがあって、ハナコさんが欲しかった等級のものは珍しいそう。何軒か探しまわって、ようやく自由が丘のオーガニックフードのお店でお目当ての品を見つけたらしいのですが、It was too expensive! (高すぎた)と言うではありませんか。何時間も歩き回って、結局買えずじまいとはくたびれもうけ。筆者がI'm sorry to hear that. (残念だったね)というと、そのほかのオジサンたちもうなずきながら「そうだね」と言わんばかり口々にThat's a shame. (可哀想に)やThat's too bad. (お気の毒に)と慰めていました。

 

皆さん、ちょっと待って! このThat's too bad.は皮肉っぽい感じで使われることもあって、「そりゃお気の毒さま(いい気味だ)!」みたいな意味に取られることもあるから注意しましょう!と筆者が話していると、ハナコさんが横からBut I bought it! (でも買ったんです)と言うではありませんか。

 

あれ? Did you buy the honey? (その蜂蜜を買ったの?)と聞くと、Yes, I did. But it was too expensive. (ええ、買いました。でも高すぎでした)と、ハナコさんは顔をしかめていました。

 tooを使った表現は「~すぎる」という意味ですが、冒頭でお話したような「すごく~」や「とても~」という強調の意味で使われている「~すぎる」に使うと、このような誤解を招きます。たとえば、too expensiveは「ものすごく高い」という意味ではなくて「高すぎる(だから買えない・買わない)」という意味に聞こえてしまうのです。「ものすごく~だ」と強調したいときには、reallyやveryを使って、very expensiveやreally expensiveと言ってください。

 

ハナコさんがThe honey was too expensive. と言ったので、筆者は自動的に「高すぎて買わなかった」と思ってしまいました。ハナコさんはThe honey was really expensive.という意味で本当は言いたかったのです。

 

学生時代に「too ~ to ~」の構文を習ったのを覚えていますか。

 The honey is too expensive to buy. (その蜂蜜は高すぎて買えない)
This bag is too heavy to carry. (このバッグは重すぎて持てない)
You are too young to get married. (あなたは結婚するには若すぎる)

 

このように「~すぎて~できない」や「~するには~すぎる」という意味で使われますが、tooだけ単独で使うときにも同じようなニュアンスがあると思ってください。つまりtoo ~と言うと、「~すぎて(○○できない)」という含みがあるのです。そんなわけで、通常tooはネガティブな形容詞に付くことが多いのですが、文脈によってはtoo goodというようにポジティブな形容詞に付くこともあります。たとえば、

 

too good to miss 「見逃せない(逃すにはよすぎる)」
This special offer is too good to miss! (この特別価格は見逃せない)
too good to be true 「話がうますぎる(良すぎて本当なはずがない)」
The diet sounded too good to be true. (そのダイエットは話がうますぎると思った)
too good for ~ 「~にはもったいない(~には良すぎる)」
Hanako is too good for Taro. (ハナコはタロウにはもったいない)

 

などがよく使われます。○○ is too good for me「○○は、私にはもったいない」なんて言い方、遠回しに「ご遠慮申し上げます」というときにも使えそうですね。

 

ちなみにハナコさんが、熱烈にマヌカハニーを筆者に勧めてくれたのですが、その値段を聞いてビックリ!美容と健康に良いのはわかるのだけれど、The honey is too good for me. (その蜂蜜は私にはもったいない)と思った筆者でした。

 

今度は電機メーカーに勤めるタロウさんのケースです。タロウさんは、ときどき台湾に出張に行きます。筆者がアイスクリームとかき氷をこよなく愛しているのを知ってか知らずか、2~3年前から雪花氷(シェーファーピン)という台湾のかき氷を勧めてくれていました。

 

最近の台湾ブームに乗って、メディアなどでも取り上げられていましたので、ずっと気になってはいたのですが、食べたいくせに出無精な筆者はひたすら夢見るばかり。雪花氷を食べに遠征(そんなに遠くないはずですが……)する元気はなく、近所に来ないかなぁと祈っておりました。今年に入ると、あちこちで台湾風かき氷が食べられるようになり、ようやく筆者の行動範囲内にも雪花氷が登場。行きつけの整骨院で、近所にある台湾物産店で食べられると教えてもらい、ついに雪花氷デビューをしました。氷を食べながら、タロウさんが初めて興奮気味に雪花氷をお勧めしてくれた時のことを思い出していました。

 It was very, very delicious!

 

強調をしたいときにvery, veryと重ねるのはタロウさんの口癖です。このように2回繰り返して言うのは間違いではないのですが、あまり多用すると少し耳障りですし、口語的でカジュアルな印象も否めません。多用しすぎないことと、状況を見ながら使いましょうということは、折を見てお伝えはしていました。でも、やはり白熱してくるとつい出てしまうようです。

 

でも、今回ここで取り上げたいのはvery, veryの方ではなくて、very deliciousという表現のほう。delicious自体が「とてもおいしい」という意味なのでvery deliciousとは普通言いません。「すごくとてもおいしい」と強調がダブっているように聞こえるんです。

 

同じおいしいという意味のtastyという単語なら、veryを付けてもおかしくありません。つまり多少のニュアンスは置いておいて、delicious = very tastyだと思うと良いでしょう。そうすればdeliciousにveryを付ける必要がない(付けるとおかしい)というのが覚えられるはずです。

 

タロウさんのvery, very deliciousは強調に強調を重ねた表現で、日本語にすると「たいへんすごくとてもおいしい」のように不自然な響き。「すごくおいしかった」と言いたいのであれば、It was deliciousだけでも十分ですし、どうしても強調したければIt was really deliciousと言いましょう。ただ、「おいしい」という表現についてはdeliciousやtastyよりも、goodを使う方が自然だと筆者は思います。日本人は「おいしい=delicious」と覚えている方が多いので、ネイティブよりもdeliciousを使うことが多いようですね。

 deliciousの他にも単語自体に強調の意味が含まれていて、veryを付けられないものがあります。


Extreme adjectives(極限形容詞)と呼ばれる形容詞です。

 awful, horrible, terrible (= very bad) ひどい
enormous, huge, gigantic (= very big) 巨大な
excellent, wonderful (= very good) すばらしい
exhausted (= very tired) へとへとな
furious (= very angry) 激怒した
packed (= very crowded) 満員の、すごく混んでいる
starving (= very hungry) すごく空腹の
tiny (= very small) すごく小さい

 

このほかにもまだありますが、まずはよく使いそうなものを挙げてみました。good、bad、bigの極限形容詞は使用頻度が高いので特に気を付けましょう。さらに強調したいときにはdeliciousと同様に、reallyを付けることはできます。でも、これらの単語自体が強調された意味であることを忘れずに、強調しすぎないように注意してください。

 

念願の雪花氷を食べることができましたので、ようやくタロウさんにも報告することができましたHow did you like it? (どうでした?)と聞かれましたので、I liked it very much. It was really good! (すごく気に入りました。とても美味しかったです)と答えると、タロウさん再び、It was very, very delicious, right? (たいへんすごくとても美味しかったでしょう?)

 

筆者が無言の合図を送ると、はっと気づいて、very deliciousと言い直してくれました。「veryを繰り返すのは止めましょう」というのは覚えていたみたい。でも惜しい!

 Very? と聞き直すと、思い出してくれました。Was it really delicious?

 はい、すごく美味しかったです。

 しかも、その物産店、一年中雪花氷が食べられるみたいです。

 It's like a dream come true! (夢のよう!)

 

最後は食品メーカーに勤務するジロウさんのケース。ジロウさんはとある国際イベントで英語のプレゼンテーションをすることになり、筆者も何度か研修で準備をお手伝いすることになりました。専門的な話の部分になると、プレゼンテーションの内容自体についての知識が筆者にはないので、まずは内容を説明してもらわなければなりません。

 

完全には理解できなくても構わないのですが、ある程度は理解しなければ正しい英語かどうかチェックすることができないのです。これはネイティブスピーカーの教師たちも同じで、われわれ教師陣が内容の勉強をしなければならないことがよくありました。聞いたこともないような薬品の名前や、実験用具の名前。楽しくもあり大変でもあり……。

 

何はともあれ、内容も固まり、何度も練習をこなしたジロウさんは、無事に本番のプレゼンテーションを行なうことができようでした。イベント明け初レッスンの日、プレゼンテーションはどうだったのか尋ねると、

 

It was so-so.

 so-soというのは「まあまあ」と訳されますが、筆者の個人的な印象では、日本語の「まあまあ」よりもネガティブな印象があります。「イマイチ」という感じでしょうか。もちろん、日本語の「まあまあ」も同じくらいネガティブな意味で使われることもありますが、「まあまあ良かった」という表現でも使えるように、少しポジティブな印象もありませんか?逆に「まあまあダメ」とはあまり言わないですよね。日本語自体のニュアンスも人によって差があると思いますので、何とも言えませんが、とにかくso-soはどちらかというと「ダメ寄り」と覚えておいてください。「元気?」と聞くとso-soという方がいますが「イマイチ」という感じです。


Are you okay? (大丈夫?)なんて聞き返されてしまいますよ。

 

ですから、この時のジロウさんへの筆者の反応は自動的に「so-so = あまりうまく行きませんでした(イマイチでした)」と言われた時のようになってしまいました。

 

どこがうまく行かなかったのか? 何か間違いがあったのか? 予期せぬアクシデントか? など、ちょっと残念に思いながら質問をしてみると、おやおや、どうやらそうでもなさそう。特に何か失敗したわけでもなく、練習通りにできたみたいではありませんか。たぶん、ジロウさんの中では「まあまあ良かった」というくらいの意味で、so-soと言ったようです。

 

こんな時の「まあまあ」はIt wasn't bad. 「まあまあだった(まあまあ良かった)よ」やIt was okay. 「まあまあだった(なんとか大丈夫だった)」というのがしっくりきます。日本人ですから、謙虚にしたい気持ちもわかりますが、なんならIt went well.でも大丈夫そうなレベル。

 

また、so-so-と並んで、okayのニュアンスも、実際の英語での響きよりも、ポジティブな方に誤解されている方が多いので気を付けてください。okayは今言ったように、「まあまあ」という感じ。「ギリギリ大丈夫なライン」という意味です。たまに、「良い」というニュアンスでokayを使っている方がいますが、英語ではまったく褒め言葉には聞こえません。間違ってもYour presentation was okay. 「君のプレゼン、まあまあだったね」なんて言わないようにしましょう。
ジロウさんにso-soは「まあまあ」よりもネガティブな感じがすると伝えると、

 Can you say “so-so good”? (so-so goodって言えますか)

 

とクリエイティブな質問。「まあまあ良い」と言いたかったのですよね。うーん、残念ながらso-so goodとは言えません。するとジロウさん、

 ”So-so good” is so-so? (so-so goodはイマイチなんですね?)

 そのウィットは買いますが、

 

Sorry, Jiro. “So-so good” is not so-so. It's wrong. (ジロウさん、残念ながらイマイチではなく間違いです)。