わるぐち。/ツヅキマシテ、
¥1,300
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1. わるぐち
2. 夏とさよなら
3. ららららら
セッションバンド"パン屋さん"が、"ツヅキマシテ、"として正式始動。
全国流通盤としては初となるシングルをリリースしました。
とにかくインパクトが大きいバンド名。
注目してもらってナンボということなのだろうか。
まんまと策にハマって、なんとも気になってしまいます。
音楽性としては、レトロでアナログチックなサウンドを意識しているようで。
実際、これまでにリリースしてきたデモ音源では歌謡曲テイストが色濃く表現されてきました。
それはそれでニーズがありそうなところではあるが、これだけで満足しなかったのが彼ら。
そこからプラスアルファの上積みを図ったのが本作なのでしょう。
名刺代わりとなる初の流通音源だというのに、王道をぶつけるのではなく、実験的な要素を取り入れて勝負してくるのだから、天邪鬼というか攻め気があるというか。
リードトラックの「わるぐち」は、レトロさを出しつつ、イタさを強めてアングラ感を演出。
率直に言えば、密室系バンドが得意とするアプローチ。
ボーカルにところどころ安定しない部分はあるが、それが上手い具合に楽曲に漂う精神不安定な雰囲気とマッチしているのだよな。
「夏とさよなら」は、爽やかさすら感じるノスタルジックなナンバー。
ミディアムテンポで、穏やかに進行していきます。
こういう楽曲も出来るのだぞ、という引き出しの多さをアピールしているよう。
「ららららら」は、パンキッシュに疾走。
レトロ感は薄れますが、激しさだけで突っ走るという感覚はなく、やはり内面的な部分に訴える力を感じる。
それこそ彼らの音楽の醍醐味なのである。
なお、「ららららら」と同じトラックに、シークレットとしてライブ音源が1曲。
奇抜なパフォーマンスも売りらしいけれど、その辺も感じ取れるようにといったところなのかな。
ポップなのかダークなのか、コロコロと表情が変わって面白いですね。
本作を聴いて思ったのですが、レトロなバンドとして括るのではなく、密室系バンドとして括る方がしっくりくるのではないかと。
「わるぐち」が最たる例ですが、2曲目、3曲目も、レトロではないけど、密室系っぽくはあるというか。
コンポーザーのGt.侑喜さんが、ex-ゼノ。であると聞いて納得しました。
あとは、楽曲でもインパクト絶大なキラーチューンを持ってこれれば。
インパクトが先行して、音楽性やライブパフォーマンスにまで評価が至っていないというのが現状ではありますが、密室系=ムックのフォロワーという方程式に集約されがちだったシーンにおいて、久しぶりに登場した色々な手を使ってアングラ感を表現するバンド。
届くべきリスナーに届けば化けていきそうです。