Positive Toy Box / Dear Loving | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Positive Toy Box/Dear Loving

¥3,240
Amazon.co.jp

1. Positive Toy Box (SE)
2. 七音スマイル
3. サムライソウル
4. 伝えたいことがまだあるのに
5. メチャバリ
6. エール
7. 僕が思うエンターテイメント

22年目の再デビュー。
6年ぶりにメジャーシーンに帰ってきたDear Lovingの、仕切り直しとなるミニアルバムです。

ポジティブでポップでロックなバンド。
そのスタイルは本作でも貫かれている。
そのうえで、タイトル通りにおもちゃ箱のようなバラエティ性。
今回の再デビューにより、久しぶりに彼らの名前を耳にするリスナーも多いかもしれないが、そういう層もがっちり取り込める内容に仕上げてきましたね。

序盤は、切ない歌モノと、アッパーでノリノリな楽曲を交互に送り込む。
実質的なトップバッターとなる「七音スマイル」は、バンドの在り方を歌詞に落とし込んだ、言ってしまえばありがちなテーマなのですが、22年のキャリアを誇る彼らが歌うから説得力がある。
活動を長く続けていればファンの年齢層も上がってくるのも必然。
その中で、そろそろ卒業しなきゃ…という葛藤も生まれてくる世代も多いのかと思われますが、ここまでストレートに救いの言葉をかけてくれるバンドが今までにあっただろうか。
ほんのり切ないメロディラインも相まって、グッとくる楽曲でした。

遊び心がある歌詞と、ハードな演奏とのギャップでリスナーのハートを掴む「サムライソウル」、こういう切ない楽曲が聴きたかった!と唸らせる「伝えたいことがまだあるのに」、ディアラビ流のパーティーチューン「メチャバリ」と、粒揃いのナンバーを立て続けに放り込むと、歌モノ、アッパーチューン交互の法則を打ち破り、シングル感をバリバリ放つキラーチューン「エール」でとどめを刺したといったところ。
彼ららしい、爽やかなビートとキャッチーなメロディ。
更には、暑苦しいくらいのメッセージが重なり、ミニアルバムと言いつつ、お腹いっぱいになる充実感を与えてくれます。

「僕が思うエンターテイメント」は、メロディ運びにフォークのエッセンスを加えつつ、あくまでバンドサウンドで歌い上げるバラード。
この手のナンバーは、メッセージに共感できるかどうかなのだろうな。
個人的にはそこまで刺さらなかったが、サウンド面でのバランスとしては絶妙。
本音をぶつけてきてくれる分、ハマったら抜け出せないのかと。

そして、同じトラックにはおまけもあり。
そうだ、ディアラビを語るには、コミック性の高い楽曲も忘れてはいけなかった。
道頓堀前の"グリコ"のランナーを、ひたすら歌い倒すというナンセンスっぷりが楽しめます。
ネタ曲ではあるけれど、楽曲としても構成がしっかりしているから甘く見てはいけないのだ。

コンセプトを固めずに、今やりたい楽曲を詰め込んだからであろう瑞々しさ。
演奏力の面での安定感はもちろんあるうえで、落ち着き払った印象を与えないのは、もはや彼らの強みなのでしょう。
良い歳してバンド追いかけてる世代にはたまらないや。

ちなみに、流通盤がDVD付き、会場限定盤がCDのみという、珍しいタイプ分け。
それぞれジャケットも異なっていますので、ボリュームを取るか、プレミア感を取るか、悩ましいところです。

<過去のDear lovingに関するレビュー>
その手に未来を
イマココニアイ
恋は二人で~Boys to~
Loose Vision