Closing World / ENDLESS | 安眠妨害水族館

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Closing World/ENDLESS
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1. Closing World
2. Broken Chain
3. ハルメキ
4. Distance
5. 時雨心地
6. Go Away

久しぶりにリリースされた、ENDLESSのミニアルバム。
特殊パッケージに16ページのブックレットと、アートワークにもこだわった作品です。

年月が経っても、Vo&GtのSHIGEさんの澄んだ歌声は相変わらず。
いや、むしろ、純度を増してはいないだろうか。
使用している機材や録音環境のレベルアップもあるのだろうけれど、元のスキルが高いからこそ。
楽曲の雰囲気にも似合っていて、作り込まれているのがよくわかります。

"終わりゆく世界"をテーマに描かれた本作の1曲目を飾るのは、表題曲である「Closing World」。
浮遊感のある鍵盤の音が印象的で、ボーカリストとキーボーディストというユニット編成である強みを、存分に発揮しているな。
序盤は、静けさを意識させ、サビに入った辺りから、バンドサウンドを強めて、ぐいぐいとアッパーに引っ張っていく。
物語を感じさせ、ドラマティックな世界観の幕開けを演出しています。

そこから続くのは、透明感のある「Broken Chain」。
こちらも、バンドサウンドが効いていて、ロックテイストも相応に強いのですが、やはり、キーボードの効果が絶大。
彼ららしい、清涼感を持たせる役割を担っている。
続く、「ハルメキ」は、流れるようなメロディが切ない。
疾走感はあるけれど、ほどよく力が抜けていて、それが含みを持たせるのだよなぁ。

「Distance」は、アンプラグド風のアレンジ。
ファルセットを使って伸びやかに広がるサビのメロディを聴かせるために、シンプルな構成に仕上げてきたといったところでしょうか。
トレンディな雰囲気で、大人の味を見せるのは「時雨心地」。
懐メロ風の落ち着いた楽曲で、アクセントになっています。

ラストは、開放感がある「Go Away」。
1曲目に通ずるドラマティック性があり、「Closing World」の物語を締めくくるには、この曲しかなかったのであろうと納得の出来栄え。
TETSUさんの奏でる鍵盤の音色が、遠く高い空に響き渡るようなイメージを与える。
実にENDLESSらしく締めくくってくれたものだ。

全曲が歌モノという、SHIGEさんの声が好きな人には、たまらない作品。
クオリティが高いのは相変わらずで、切なく透明感のある白系サウンドは、ゴリゴリしたラウドミュージックに慣れた耳には、新鮮でもあります。
端的に言えば、癒される。
聴き疲れすることなく、すっと入ってくるのですよ。

現代シーンのニーズ的に、玄人好み、通好みという立ち位置になってきたところはありますが、もっと広く受け入れられて良いユニット。
2014年に、彼らの新作アルバムが聴けるというのは、嬉しいものです。

<過去のENDLESSに関するレビュー>
BONNIE AND CLYDE