BONNIE AND CLYDE / ENDLESS | 安眠妨害水族館

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Bonnie and Clyde/ENDLESS
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1. 微風-soyokaze-
2. KUMO
3. 涙の速度
4. TATTOO
5. Darlin’
6. Summer Breeze
7. 下弦の月
8. Lingered Idly
9. 12発のBallad
10. Angel Swing
11. ONLY ONE
12. 蒼空の彼方に

渋いところでENDLESSを紹介します。
メジャーでリリースした1stフルアルバム、「BONNIE AND CLYDE」。

彼らは、Vo.SHIGEと、Key.TETSUの二人組のユニット。
Blue、D≒SIREと、クライス系のバンドを渡り歩きながら、合間合間で復活するようなイメージですね。
2009年に、10年ぶりに復活したことも、ソフビ界隈では話題になったものです。

ユニット形式のため、バンド的な音を求めてはいけないかというと、決してそんなことはないのが、このエンドレスの面白いところ。
SHIGEさんの多彩っぷりが半端じゃなく、作詞・作曲はもちろんのこと、ギター、ベース、ドラムまで一通りこなすことができるため、しっかりとしたバンドアレンジが、十分に可能となっていました。

一方、TETSUさんは、プログラミングも担当しており、では、バンドアレンジ一辺倒なのか、という懸念も払拭してくれる。
二人だからこそできた、いや、「この二人」だからこそできた振れ幅の広さが、何よりも強みでした。

ベースとしてあるのは、SHIGEさんの透き通った歌声を最大限に活かした、切ない系のメロディアスナンバー。
これに、TETSUさんが、鍵盤の音で色付けするスタイルが、ぴったりハマっていて、インディーズ時代からクオリティが異常に高いユニットでしたよね。
ザ・白系といった印象の音楽性。

本作は、1999年の発売と、時期的にはヴィジュアル四天王が牛耳っていたコテコテ&ソフビの全盛期。
どのバンドも、売れそうなポップロックを量産していく中で、もともとメジャー受けしそうな音楽性であったにも関わらず、あえて、少し外すようなアプローチをとっていたのが格好良かった。
シングル曲もしっかり収録し、一般受けも考えたバランスは保ちながら、ひたすらアダルトな、ムーディーなナンバーを作ってみたりと、遊び心も豊富。
いわゆるV系バンドが簡単に辿りつく難解さ、マニアックさではなく、メジャーシーンからも評価される範囲内で、バラエティを広げていたのが斬新に映った。
アイドル的な売り方を目指していくのではなく、アーティストとして成長しているのが、音を聴けばすぐにわかりました。

聞き苦しさ、ストレスの一切ない、切なく、美しく、透明なメロディたち。
ある意味、癒し系とも言える、そんな楽曲たちは、自然に耳に入って、頭の中で反響する。

大きくヒットを飛ばすタイプの音楽性ではなかったこともあり、常時、地味な印象から脱することはできませんでしたが、今でもその実力は認められているところ。
もともと若さだけを武器にしていなかった分、脂がのった今だからこそ、深みが増す音楽にも挑戦できるはず。
相変わらずのマイペースぶりではありますが、また、こんな実力派だからこそ完成させることができる名盤を送り込んできてくれたらな、と思います。