Joker’s KINGDOM / Kra | 安眠妨害水族館

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Joker’s KINGDOM/Kra
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1. Clown’s parade
2. Alice
3. バスタード
4. 覚醒ディストーション
5. 常夜の君
6. レジスタンス
7. リグレット
8. ホンネ
9. Joker
10. 星の砂丘
11. SMLT
12. Utopia

安定した活動ペースを保っているKraの1年4ヶ月ぶりのフルアルバム。
2013年のコンセプト、「Joker's KINGDOM」の幕開けとなるコンセプト作品です。

"ここはこの世に存在しない国"
"この国で生き残る為にすることはあいつ(JOKER)の言いなりになること…"
序章の段階で、彼ららしいメルヘン色が溢れています。
シングルである「覚醒ディストーション」、「ホンネ」は、通常盤にのみ収録。
そのあたりにも、コンセプトへのこだわりが見受けられるでしょうか。

もともと、当たり外れの少ないバンドではありましたが、本作は、特に安定感がありますな。
スタートダッシュを図る「Alice」から、ラストの「Utopia」まで、メリハリのついたアルバム構成。
現代風のアイディアも取り入れつつ、従来から持っているメルヘンポップなメロディラインも、しっかりと健在で、とても聴きやすく仕上がっている。

中でも、やはり特徴的なのは「Alice」と、「Joker」。
「Alice」は、ストレートな疾走系。
インパクトが大きく、王道感あり。
とっつきやすく、おとぎ話のような世界観への導入としても効いている。

「Joker」は、ジャジーなサウンドに、ザラザラした歌い方が印象に残る。
遊び心がある楽曲も、アルバム内に織り込んでくる彼らですが、邪道な雰囲気が、かえってコンセプトにハマった。
普段なら、アクセントにしかならないような曲調が、重要な楽曲にステップアップさせることに成功しています。
コンセプト的にも、重要な役割を担う登場人物について、キャラクターを掘り下げていくような意図もあるのかな。
歌詞から透けて見える背景を考えながら聴くのも面白い。

ギタリストのチェンジがあって、2作目となるフルレンス。
前作では、ちょっと噛み合っていない部分もありましたが、すっかり馴染みきった。
コンポーザーの変更があっても、Kraらしい音楽が変わっていないうえ、新しい要素が増えたという意味では、充実感のある作品と言えるでしょう。

セールス上のピークは終えているように思えるのだけれど、まだまだ現役で活躍できるバンドであることを証明。
むしろ、メンバーチェンジをきっかけに、新たな伸びしろを見せたというか、ここに来て成長を感じさせてくれました。
そろそろ、ベテランならではの深みや味わいが、出始める時期なのかもしれませんね。
個人的には、もう少し評価されてもいいのではないかなぁ、と。

<過去のKraに関するレビュー>
ケラビアンナイト
Brise