十三階は月光 / BUCK-TICK | 安眠妨害水族館
十三階は月光/BUCK-TICK
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1. ENTER CLOWN
2. 降臨
3. 道化師A
4. Cabaret
5. 異人の夜
6. CLOWN LOVES Señorita
7. Goblin
8. ALIVE
9. 月蝕
10. LullabyⅡ
11. DOLL
12. Passion
13. 13秒
14. ROMANCE-Incubo-
15. seraphim
16. 夢魔-The Nightmare
17. DIABOLO-Lucifer
18. WHO’S CLOWN?
これ、もう8年も前の作品なんですね。
B-Tとしては最近のアルバムという印象だったのだけれど、発売は2005年。
良い作品は、時間の流れを感じさせないといったところでしょうか。
オリジナルアルバムとしては14枚目。
活動20周年を飾る作品は、彼らとしては初のコンセプトアルバムとなった一枚。
このダークなジャケット、魅惑的なタイトル。
B-Tを通っていない若いファンが、それに魅かれて購入に踏み切ったなんてケースもちらほら聴きました。
確かに、V系好きにはゾクゾクするアートワークですよね。
テーマは、ズバリ、"ゴシック"。
作品を出すごとに、新たなチャレンジを打ち出していく彼らですが、ここまで徹底したゴスを、成熟したBUCK-TICKが披露してくれるなんて。
ジャケットから連想する世界観が、じわりじわりと広がっていきます。
収録された楽曲は、実に18曲。
うち、5曲は、無音だけのトラックも含めたSEとなってはいますが、それでも十分なボリューム感ですな。
スピーディーな楽曲がほとんどないアルバムにおいて、ここまで曲を詰め込んでくるとは、なかなか気合が感じられる。
一般的に受け入れやすいとは言えない音楽性をメインに持ってきているため、発売当初、賛否両論があったのは当然のことだと思うのだけれど、数年経つと、やはり際立った個性がある作品として、評価が固まりつつあるわけで。
モノクロ映画か、見世物小屋か。
サウンド的に抑揚があるわけではないのだけれど、効果的なSEの演出もあって、非常に映像が浮かぶ作品に仕上がっているのではないかと。
それにしても、Vo.櫻井さんの声は、こういう音楽性に映えますね。
甘美で、艶かしく、病的な美しさがある。
演奏面でも、デジタルアレンジは控え目、生音の響きを大事にしていて、ボーカルの存在感を、より幽玄なものにしています。
空間を意識した音の重ね方に、不気味な何かをイメージさせる余地を、意図的に作ったような気がしてしまうから恐ろしい。
圧倒的なキラーチューンがあるわけではないものの、なんだかんだで、メロディが相応に盛り込まれているのもポイントなんだろうな。
淡々と、起伏もなく、一辺倒・・・
そんなゴシック音楽への先入観を覆すような、メロディアスなゴス。
テーマを崩さない範囲内で、ここまで色々なアプローチを思いつくものか。
聴き手を飽きさせない引き出しの多さは、経験のたまものなのでしょうね。
B-Tへの導入としてふさわしいかは、正直、よくわからない。
魅力的なものであることは間違いないのだけれど、ある一面だけに特化した音楽でもあるので、飛び道具としての代表作といった位置づけが、しっくりくる気がする。
ただし、ゴシック・ミュージックへの入門編として捉えたら、これほど聴きやすく安定感があるアルバムは珍しい。
ゴシックはどうも苦手・・・という人にこそ、聴いてほしい作品かもしれません。
<過去のBUCK-TICKに関するレビュー>
夢見る宇宙
memento
mori
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