夢見る宇宙 / BUCK-TICK | 安眠妨害水族館
夢見る宇宙(初回限定盤)(DVD付)/BUCK-TICK ¥3,990 Amazon.co.jp 1.エリーゼのために-ROCK for Elise- 2.CLIMAX TOGETHER 3.LADY SKELETON 4.人魚-mermaid- 5.夢路 6.ONLY YOU-WE ARE NOT ALONE- 7.禁じられた遊び-ADULT CHILDREN- 8.夜想 9.INTER RAPTOR 10.MISS TAKE-I'm not miss take- 11.夢見る宇宙-cosmix- 不動のメンバーで25周年。 新レーベルLingua Soundaを発足したBUCK-TICKの、18枚目のオリジナルアルバムです。 原点回帰のようで、新境地のようでもある。 2年ぶりとなる新作は、実にポップな仕上がりで、とっつきやすい。 80年代の香りを残した古めかしさを、近年強めてきた、デジタルな質感でコーティングしたといったところで、メロディの節々にB-Tっぽさは感じられるのですが、こんな弾け方をした彼らは聴いたことがない、という感想も同時に出てきます。 タイトルのとおり宇宙を表現したのか、空間系のエフェクトで包み込むようなアレンジが特徴的ですね。 ゆらゆら揺られるような浮遊感と、明るくポップなメロディが、カーテンの影のように、陰と陽を交互に映し出す。 心地よく、優しい響きは、さすが、ベテランの味。 熟成された表現力は、ゆったりと、じわじわリスナーの想像力に侵食していきます。 一方で、そんな世界観を演出するために、ボーカル・エフェクトが強めにかかっている。 Vo.櫻井 敦司さんの渋く、艶のある声質を活かす方向ではないのが、もったいないような気もするな。 あちらを立てれば、こちらが立たず、といった部分ではあるのですが、もう少しバンド感があっても良かったでしょうか。 どうしても、エフェクトが強いと歌メロが引っ込んでしまうので、ポップであってもキャッチーさが出てきませんしね。 シングル以外で、キラーチューンになりうる楽曲が欲しかったのも事実。 ひとつ、確実に言えるのは、25周年を迎えても、なお、BUCK-TICKというバンドは、変化を求めているということ。 ダークさを期待した人には不評な作品のようですが、それまでの音楽的な流れを、あっさりと裏切ってしまえるのが、彼らの強みでもあるわけで。 過去の傾向からも、ずっと、このままポップな方向性が続いていくとも考えにくく、そういう意味では、ここまで振り切れた作品というのは、非常にチャレンジ精神が旺盛だと言い換えられるのです。 確かに、本作だけを聴かされて、絶賛するほどのインパクトがあったかと問われれば、微妙なところ。 しかしながら、彼らの歴史という長い目で眺めれば、じっくり作り込まれた作品群の中で、アクセント的な役割を果たす、必要不可欠なピースの一枚なんじゃないかとさえ思えてくる。 不健康なパーティーチューン。 彼らを知る最初の一枚にするには、向いていないかもしれませんが、先入観を持たずに聴いたほうが、純粋に楽しめるのではないかとも考えてしまいます。 <過去のBUCK-TICKに関するレビュー>memento mori
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