おままごと/レインマン
1.寸劇
2.未練歌
3.灰雨
4.裏窓
5.落日
6.喪失
7.青（テイク２）
レインマンの1stミニアルバム。
第二期としては、最初の音源となる作品です。
語りというか、小芝居というか、導入として存在する「寸劇」以外は、すべて、発表済みの楽曲。
普通だったら、完売集に該当するような位置づけの一枚なのでしょう。
しかしながら、ボーカルが、陽さんにチェンジしたことによって、随分と色味が変わったなというのが第一印象。
従来のレインマンは、ひたすら、真っ黒。
前任のボーカリスト、８さんが、お経のように淡々と抑揚なく歌うタイプだったこともあり、絶望的で、退廃的で、雨に対するネガティブなイメージだけを抽出したようなバンドカラーでした。
一方、陽さんのボーカルは、表情があって、叙情的。
今までどおり、どっしりと重い歌もあれば、荒々しく攻撃的なナンバーもありで、カラフル・・・ではないにしても、セピアの写真が、光の濃淡で、黒にも白にも近づくようなイメージ。
音程に違和感があったフレーズも、自然に溶け込むように解消されており、単純な歌唱スキルの面では、大幅にレベルアップしたと言えるでしょう。
シンプルな歌謡曲チューン、「未練歌」でまったりと入ると、ジャジーな「灰雨」、変拍子を使用して、不気味な空気を纏う「裏窓」と、どっぷりと世界観に浸らせる構成。
ジメジメとしたレインマンとしての王道を見せつけると、中盤からは、やや激しめにテンポアップ。
「落日」は、表面的にもドラムがドコドコ、ツタツタ、スピーディーになりました。
シングルバージョンよりも、シングル向きにアレンジされましたね。
激しさのベクトルは違いますが、ヘヴィネスを重視したのは、「喪失」。
こちらは、ムックを意識したようなズタズタな演奏が格好良い。
ラストは、代表曲である「青」。
「テイク２」というのは、レコーディング時に、イントロのフレーズを失敗するという小芝居を、導入に加えているから。
この演出は、ちょっと世界観に水を差すような気がして、個人的には要らなかったな。
楽曲としては、しっかりとボーカルに馴染んでいて、歌モノナンバーとして成長をうかがわせるだけに、もったいない。
繰り返しになりますが、ボーカルが変わるだけで、バンドの印象とは、かくも変化するのか。
音源で聴く分には、第二期のほうが圧倒的に聴きやすいです。
垢抜けてしまったことにより、世界観は軽くなったという見方にも納得できますし、その辺は一長一短かもしれませんけれど。
ボーカリストとしてのタイプが、そもそも違うため、好き嫌いは分かれるだろうなぁ。
課題としては、ギターのアレンジに、工夫が欲しい。
それっぽい昭和歌謡風にはできているものの、なんだか、こなしているだけといった印象。
インパクトのあるリフがあったり、テクニックで唸らせる、という面白みがありませんでした。
ひたすら暗く・・・の音楽性を脱皮して、ボーカルにバリエーションを持たせるのであれば、演奏面でも一皮剥けないと、といったところでしょう。
ちなみに、ライブ会場で購入すると、未発表新曲「時雨道」のデモCDが特典として配布されます。
もしかすると、「ライブに行く前に、ミニアルバムを聴いて予習を・・・」と購入を検討している人もいるかもしれませんが、どうせライブに行くのだったら、少し我慢してみてもいいかもしれませんよ。
＜過去のレインマンに関するレビュー＞