落日/青 / レインマン | 安眠妨害水族館

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落日/青/レインマン
安眠妨害水族館-レインマン

1.落日

2.青


アングラでじめじめした音楽を得意とするレインマンの2ndシングル。

レインマン初の流通作品でもあります。


まだ結成して1年弱という若いバンドですが、最近流行りのキラキラしたミクスチャーには一切目もくれず、渋い音楽を貫いている。

多少、歌謡曲的なアプローチもあるからか、初期ムックと例えられることも多いようですが、淡々とひたすら暗い曲を演奏している様は、どちらかといえばemmureeに近いのかな。


「落日」は、ジャジーなテイストの、癖のあるナンバー。

前作「裏窓」では、お経のように抑揚のない8さんの歌メロのラインが印象に残っていますが、今作では、少しばかりキャッチーになりましたね。

だいぶ、シングルっぽい曲ができるようになったな、と。

ボーカルも荒々しく歌う部分を作るなど、いくらか表情を出そうという工夫もあり。

彼らの成長が見られる1曲です。


両A面の2曲目は、ライブでは定番曲だった「青」。

ジャジーな雰囲気は「落日」から通じる部分もありますが、こちらは初期からある曲ということもあり、お経風メロも健在です。

淡々と無表情に歌っていく中で、変化が多い演奏とのギャップが面白い。

なかなか面白い構成をした曲ですね。

ただ、歌メロの付け方のせいなのか、単純にボーカルのスキルの問題なのか、歌メロとコード進行がマッチしていなくて、偶然なのか意図的なのか不協和音になっている部分がしばしば。

特に、ラスト間際でキーが半音上がるところでは、ボーカルがかなり苦しそうです。


レインマンの特徴としては、一貫して暗い音楽性はもちろんそうなのですが、8さんの抑揚も音域もない、独特な歌い方もありますよね。

少ない音域の中から歌メロを紡ぎだすので、起伏のない淡々としたメロディが流れるように押し寄せてくる。

今後成長していくには、歌い手としてのスキルアップが必要不可欠ではあるけれど、これはこれでひとつのセンスだとも思います。

その中で、キャッチーさ、とっつきやすさも持ってくることができたので、これからの動向が楽しみ。


今作は、だいぶ聴きやすさを重視したような選曲でした。

バンドとしては、もっと救いようのない曲も多く持っている中ですので、初流通を意識したのですかね。

どちらも、両A面にするだけあって、サビにインパクトがある良作。媚びている感もなく、ほどよいバランスかと。

万人受けは絶対しないバンドだとは思いますが、暗黒系、地下室系が好きなら、雰囲気を掴むにはおススメです。