1.遊雪
2.毒蟻
ソレイユレーベルを代表するバンド、S。
本作は、初回盤と2ndプレス盤が存在しており、2ndプレスには、「鉄砲魚」が追加収録されています。
それまでは、虫にちなんだタイトルの楽曲を中心に、暴れバンドとして活動してきた彼ら。
そんなSが、メロディアスな方向に方針を変えてきたシングル。
タイトルも、カップリングこそ「毒蟻」ですが、表題曲が「遊雪」と、これまでとは違った方向感で付けられており、コンセプトの広さを示そうという意思が表れています。
どちらも、V系中のV系といった王道ナンバー。
マイナーコードで疾走、ダークなアレンジに、クリーントーンで繰り広げられるインパクト重視のギターソロ・・・
90年代!といったコテコテバンドが好きな人には、これはたまらないでしょう。
個性を出そうとしたのか、「遊雪」のラストのサビの盛り上がり部分で、ライブの特効のような、爆発音が入っているのが面白いです。
あぁ、ここで銀テープが飛ぶんだな、という映像が、ありありと浮かんでくる。
一方で、ちょっと鼻にかかった一辺倒ボーカルもお約束。
楽曲がベタベタなだけでなく、スキルの未熟さまで、あの当時にゴロゴロしていたV系バンドのど真ん中なので、どうもハマりきれないところが残念でした。
もう一癖があっても良かったなぁ。
「遊雪」も、「毒蟻」も、アプローチの方向性としては同じだし、インパクト不足は否めません。
この後に出たフルアルバム、「四次元図鑑」と合わせて聴いて、ようやく形が見えてくるバンドでしたね。
王道バンドというのは、メロディアスなだけでなく、バラードも、暴れ曲もあったうえで、王道であってほしい。
本作は、そのうちのひとつの方向に特化しているため、掴みとしては十分なのですが、深く掘り下げようというレベルには至らないかな。
曲としては昂揚感があり、佳曲に仕上がっているので、あくまで導入として聴くなら。
本質は、アルバムで見極めてほしいバンドです。
<過去のSに関するレビュー>