1.Again
2.「Ask」
ex-ANGEL DUSTの弥生さんを中心に結成されたVice†risk。
配布モノやオムニバスを除けば、すべての音源がデモテープとなります。
本作は、彼らのオリジナル音源としては、最初のデモテープとなるもの。
「Vice & Nervous」、「Farewell」とともに、3本同時にリリースされたうちの1本です。
ちなみに、次の音源も2本同時のデモテープと、実質的な収録曲が少ないのに、出費だけがかさむという、ファンには嬉しくない商法が蔓延していた時期でしたね。
表題曲の「Again」は、弥生さんらしいハイトーンでポップなメロディがふんだんに盛り込まれており、同時リリースの3本中、もっとも聴きやすい作品になっているのではないかと。
イントロや間奏は、メタリックなフレーズで激しく、歌が入ると、一転してキャッチーさのあるメロディアスナンバーになる構成も、王道中の王道です。
ハードな「Vice & Nervous」、歌モノの「Farewell」も、楽曲としては、なかなかツボを突いてくるベタな楽曲ではあるのですが、歌い方に癖があるため、このくらいのポップさがあるほうが声質に馴染むのですよね。
B面の「ASK」は、ゴリゴリしたベースと、激しく刻むドラムでスタートする、ダークナンバー。
A面同様、演奏はとてもハードなのですが、シンセを効かせた雰囲気作りが効果的で、激しいだけとうイメージは与えません。
メタルなドラムと、インパクト重視のギターが絡み合う間奏も、懐かしく、そして格好良い。
ボーカルラインについても、やはり、メロディは王道感のある疾走系のフレーズを持ってきているので、聴きやすさは相変わらず。
やや、サビの繰り返しにクドさはありますが、大サビに抜けるところとか、印象に残りやすいフレーズが多々あり、代表曲と呼んでふさわしいナンバーではないでしょうか。
しかしながら、この曲、既に発表されていたオムニバスに収録されていたもの、そのままなんですよね。
しかも、同時発売の3本すべて、B面はこの曲という・・・
オムニバスを聴いていた人にとってみれば、3曲のために3,000円を支払う必要があるわけで、デモテープという音質面も考えれば、決してお得感のある音源ではありませんでした。
内容は良いだけに、不要な悪評をつけられるきっかけになっていたことが残念。
充実した内容のCD音源を残してくれなかったのが悔やまれます。
90年代コテコテシーンの王道を体現するかのようなベタベタなフレーズは、絶滅危惧種となったジャリバン世代には、とても貴重な資料となっていたでしょうに。