国家の罠 | さかえの時々論拠

国家の罠

■気になる本 - 国家の罠 -
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 いま、待っている本があります。
近い内に、アマゾンから宅急便で到着する本です。

 異色の対談本で、対談の人達の名前をきけば、
無条件で読みたくなるものです。それは、
 『売国者たちの末路』(祥伝社)  」です。

大増刷決定ということですので、楽しみでも
あります。(でも、何故、植草教授をマスコミは
取材の対象にしないのでしょうか?。いまの
政治、経済情勢を的確に語れる人物は少ないのに。)

 この本が届いたら、いま読みかけている2冊の本を
中断して、読み始めることでしょう。ここのブログにも
紹介していきたいと考えております。
(なんでも、郵政民営化に対して鋭い意見を表明している
らしいですから。)
(参考)アルルの男の読後


 さて、どうも近代国家史実についての国民的コンセンサスが
崩れているように思えるのです。
 私の妄想かもしれませんが。

 例えば、6月24日に投稿されたJANJANの記事
「意外! あの田母神閣下が「南京虐殺」認める答え」
(海形マサシさんの記事、2009/06/24)
の一部について、田母神さんの誤認があります。

 海形マサシさんの記事の冒頭を紹介します。
----引用---
6月22日、東京・千代田区の日本教育会館で前航空幕僚長、
田母神俊雄氏の講演がフォーラム神保町の主催で開催された。
200人ほどの出席者を前に、田母神氏は1時間半に及び熱弁を
振るった。筆者にとっては、4月28日の九段会館での講演から
ほぼ1ヶ月と3週ぶりの再会だ。
----引用終了---

 というくらいですから、著者の海形マサシさんもある程度
近代日本史を熟知していると思ったのですが、タイトルから
して、「田母神閣下」という表現ですから、少し私とは
歴史認識が違うかもしれません。(田母神さんの著作物は、
まだ読んでいないのですが)

 その記事の中で、田母神閣下が著者の海形マサシさんの
質問に答えた部分があります。引用します。
---引用----
 筆者は質問の機会を与えられたので、田母神氏に次のような
質問をした。
 「私は5年前、南京に行き、日本軍に親を殺されたり、
レイプされた人に出会った。南京虐殺の事実を広める活動にも
関わっている。だが、9条改正には賛成だ。侵略とか自衛とかは
政治的な意味合いを持つが、一般市民に被害を与えることは
当時の軍紀でも違反だったはず。日本はもうそんなことは
しないとドイツのように誓いをたてたうえで、再軍備を
目指すほうが得策ではないか」

 これに対して田母神氏の回答はこうだった。
 「私が中国に言いたいのは、同じことをなぜイギリスには
言わないかということだ。よそだってみんなやっている。
それに比べ日本のしたことは穏やかだ。戦争が終わり
講和条約で決着がついている。水に流すべきだと」
-----引用終了------

 南京事件については、私も本を読んでおります。
(参考)南京大虐殺 歴史改竄派の敗北

 個人的に過去の戦争やその感想を述べるのは問題はない
と思いますが、歴史事実を曲げることは私は反対です。

 では、彼は何を間違えているのか。この部分です。
「私が中国に言いたいのは、(中略)戦争が終わり
講和条約で決着がついている。」
という部分です。

 私の認識では、ソビエト連邦と中国は、講和条約に
調印もしていませんし出席もしてません。
(勿論、インドとかもそうですが)

 戦勝国同士でも、意見がわかれていたのです。
だから、正式には、「サンフランシスコ講和条約」
は、「日本国との平和条約」というのです。
(1951年(昭和26)年9月8日締結)

 ようは、この条約は停戦協定です。これに賛同した
国々は、日本との戦いに停戦をしたのです。
だから、はっきり言いますが、講和条約というのは、
戦勝国グループの一部が日本だけと停戦の調印をしたもの
だけなのです。では、調印しなかった国とは、どう
すればいいのでしょうか?。それは、後述します。


 インドは講和条約発効後、自主的に戦争状態の終結を宣告、
(参考)パール判事 東京裁判批判と絶対平和主義

 台湾の国民党政府との講和条約も締結されたが、
調印したものの批准しなかったインドネシア
参加しなかったビルマ(現在、ミャンマー)
参加を認められなかった中国の共産党政府があります。

 そして、千島列島や南樺太について帰属する国を明記せず、
この平和会議で吉田茂日本側全権は歯舞・色丹両島を
日本固有の領土と主張しました。



いま、「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」
(著者 佐藤優、出版社 株式会社新潮社、発行年月
2005年3月)を読み終えました。

 著者の佐藤優(さとうまさる)氏のプロフィールは、
次の通りです。
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1960年生まれ。
1985年、同志社大学大学院神学研究科修了の後、外務省入省。
1995年まで在英国日本国大使館、ロシア連邦日本国大使館に
勤務した後、
1995年より外務本省国際情報局分析第一課に勤務。
2002年5月に逮捕、現在起訴休職中(元主任分析官)。
外交官として勤務するかたわらモスクワ国立大学哲学部客員講師
(神学・宗教哲学)、東京大学教養学部非常勤講師
(ユーラシア地域変動論)をつとめた。
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 著者は、日本とロシア(ソ連)という国の外交を行うに
当たって、楔(くさび)となったのです。

 交渉(ネゴシエーション)とは、知的戦闘になるかと
思います。そのためには、相手の懐に入り、弱点や相手の
ことを考え、こちらの希望する結果に誘導していく必要が
あります。

 この目的のためであれば、ある程度の必要な費用に
ついて、決済権限を与えなければならないことだと思う
のは、私だけでしょうか。

 まして、国対国の交渉であれば、戦略的に行う必要が
あるのですが、著者の本を読んで感じたことは、著者や
鈴木宗男議員が、本当に、日本国のことを考えて交渉していた
ことがわかる本でもあります。

 著者や鈴木議員の逮捕によって、北方4島の返還が
はるかに遅れてしまったという感がします。


 「2005年版われらの北方領土(外務省発行)」によると
1905年のポーツマス条約時の北方領土は、
樺太の南半分、択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島、そして
千島列島が領土になっていたのですが、1951年の戦後
では、(平和条約に基づき)択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島、
のみになっているのです。

 さて、著者は、ソ連とは講和条約を締結していないので
終戦にはなっていない状況だというのです。
そして、平和条約(終戦協定)を2000年までに締結しよう
と動いていたのですが。
(終戦協定を締結すれば、あとは返還交渉を残すのみです。)

 しかし、著者は、逮捕されます。
 2002年5月14日 背任容疑で逮捕。
 2003年10月8日 保釈。
 2005年2月17日 判決。著者は控訴する。

 著者の拘留の期間は、何日でしょうか。

こんなに拘留していいのでしょうか?
折しも、冤罪事件が大きな話題になっています。

 著者の帯びだと思うのですが、こんなことが
書かれております。
--------
「背任」と「偽計業務妨害」容疑で、東京拘置所での
勾留生活512日。第一審判決懲役2年6カ月、
執行猶予4年。
 有能な外交官にして傑出した情報マン-。
国を愛し、国のために尽くしたにもかかわらず、
すべてを奪われた男が、沈黙を破り、「鈴木宗男事件」
の真実を明らかにする。
-------
とあります。

 ところが、拘留期間については、
小沢一郎秘書問題(102日間の勾留)、
植草教授問題(132日間の勾留)、
にしても、あまり問題になっていませんね。

 ここで日本の刑法や刑事訴訟法の注意点です。
「勾留」と「拘留」があります。

■「勾留」(カギこうりゅうと呼ばれます)
 逮捕されれば、勾留されるのはこちらの方です。
警察の取調は3日、勾留期間は10日、そして勾留延長は
10日単位。延長は何回でもできます。(これはオカシイ)
 例えば、200日勾留されて、判決が禁固6月。
じゃー、判決と同時に出所できるかというと、
そうじゃないみたいなのです。
 判決の日数の1/3~1/2当たりが相場らしい
のです。ですから、1/2をとっても、3月分は
未決勾留となり、残り3月は刑に服する必要が
あるというのです。(裁判官が恣意的に判決で決定する)
 では、200日のうちの3月分は禁固の短縮に
使用できましたが、残りは国家賠償してくれるので
しょうかね。(エコポイントよりも悩ましい)

■「拘留」(テこうりゅうと呼ばれます)
 これは、罰金や禁固、懲役と同じように刑の
一種です。1日以上30日未満(最長29日)の
範囲で科されます。同種の刑罰である禁錮よりも
短期間ですね。ただ、禁錮と違って執行猶予を
付けることはできないので、必ず「実刑」となります。

 人間、狭い空間で長時間、幽閉されますと、脱出願望が
湧き出ますから、それを自白と言われることには違和感を感じます。

 しかも取調をした検察の方が、「(時代のけじめ)であり、
これは国策捜査だ」と著者に述べているのです。

 やはり、取調べは可視化をする必要がありますね。
ヤメ検の方々は、反対している人が多いでしょうが、
私達のような一般国民にも判断できる資料を残して
ほしいと思うのです。勿論、裁判員制度を意識して
おりますが。

 さて、話を戻します。

 著者の逮捕によって、北方領土4島の返還について
また、長い時間を必要としたことに対して、検察の行為は
国家反逆の罪(そんなものはないですが)に該当するかも
しれません。

 これは重大なことですが、著者がP118で述べて
いますが、「小泉政権になって、外交潮流に変化が生じ、
親米へと大きく舵がきられた」というのです。

 著者の行動は、ロシア(ソ連)と交渉を有利に運ぼうと
したことはわかりますが、そのプロセスが他の議員には
受け入れがたいことだったのでしょうね。
特に、親米の小泉一派には。

 そうそう、植草教授が述べていますが、いま話題に
なっている宮崎県知事、大阪府知事らの言動は、注意を
する必要があるということです。
(参考)東国原知事が“新党・偽装CHANGE”創設を誘導


 鈴木宗男議員がロシアに対して、日本国を代表して交渉して
くれることを願う次第です。国会議員になるということは、
最低限、鈴木宗男議員が望んで行動をしたということを
実行しなければなりません。

 その具体的内容は、この本を是非、読んでください。
この本で日本外交の50%は抑えられます。


 最後に個人的な感想を述べますと、新しい内閣を作る場合
には、大臣に民間人を2人、登用してほしいと願います。

 一人は、財務省大臣 または 金融担当大臣 植草一秀教授
そして、もう一人は、外務大臣 鈴木 宗男氏の下で、
副大臣 佐藤 優氏が、金融関係、外交関係で最強の布陣でしょう。

 北朝鮮との拉致問題も解決してくれるかもしれません。

そうそう総務大臣は、重要なポストになります。郵政の
メチャクチャなところ(かんぽの宿問題、公社時代の不動産取引、
カード発行業者選定問題、障害者郵便問題、等)を
見直し、場合によっては逆回しをしなくてはなりませんから。

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