JAL客室乗務員の解雇撤回を求める緊急集会報告 | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

まず、年末の相談会についての情報は、下記エントリーを参照してください。


街頭相談の取り組み予定一覧・全労連情報

http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10735635504.html


さて。この前のエントリー でご紹介しました日本航空の整理解雇に反対する緊急院内集会に行ってきました。正式名称は「JAL客室乗務員の解雇撤回を求める緊急集会」です。

午後3時からの開催ということで、10分前くらいには参議院議員会館に着いたのですが、既に会場は用意された椅子がほぼ埋まってしまっている状態で、壁際に立ってましたら前方は人垣で何重にも埋まってしまって何も見えない状態になってしまいました。それでもメモはできるだけとってきましたので、集会の概要をお伝えしたいと思います。


開会のあいさつと状況説明は、日本航空キャビンクルーユニオンの内田委員長が行ないました。委員長自身も整理解雇の対象となり、解雇予告通知を受け取っているそうですが、12月9日に郵送で送られてきたそうです。整理解雇は、客室乗務員108名、パイロット94名、計202名を12月31日で解雇するという内容だそうですが、前のエントリーでもお伝えしましたように、組合からのワークシェアリングの提案を無視したうえ、対象は病気休職者やキャビンクルーユニオンの組合員を中心とした不当、無謀なものです。キャビンクルーユニオンでは解雇を無効として仮処分の申し立てを行ない、12月24、25日にはストライキを予定しているそうです。しかし、会社側は団体交渉の要請を無視し続けているそうです。また、12月15日には新役員体制を発足し、「業績はいいがもっと拡大を」「若い役員を中心」といった方針を打ち出しているそうです。ベテラン職員を解雇しようとしながら、そうした姿勢で本当に利用者のための再建ができるのかと、キャビンクルーユニオンは疑問を投げかけています。


また、院内集会ですので国会議員のあいさつもありました。どなたがいらしたのか、すべては把握できなかったのですが、まず、日本共産党の穀田議員があいさつしました。共産党は「しんぶん赤旗」でキャビンクルーユニオンについて1面で報道し、国会でも日本航空の破綻の原因や整理解雇をちらつかせた退職強要、4要件を満たさないの整理解雇について追及しているそうです。そして、今後は安全が確保される再建を求めること、4要件を満たさない整理解雇は全労働者に対する攻撃であると指摘すること、税金を使って再建しながら労働権を無視していることについての政府の責任を追及することを行なっていきたいと述べました。

その他、新社会党、社会党から参加がありました。


続いて、参加団体からの発言が行なわれました。かいつまんでご報告します。

全労連の柴田女性部長は、この整理解雇は国家的な不当労働行為であり、解雇権の濫用であることは明らかであり、年齢による差別は許されないと述べました。そして、この問題を世論化する必要があり、全労連としては47都道府県すべてでビラまきを行ない、解雇撤回まで連帯して行動する決意であると述べました。

日本婦団連の堀江会長は、利用者の立場としては客室乗務員の役割の第一は保安であり、ベテランの果たす役割が大きいことから他人事ではなく、女性としては年齢差別は女性が長年たたかって撤回してきた若年定年制の復活として許せるものではなく、政府が責任持って指導していくべきだと指摘しました。そして、幅広い女性団体にこの問題を知らせ、協力していくと述べました。

新婦人の高田会長は、女性の53歳と言えば子どもの進学や介護などで大変になる時期であり、そうした年齢で区切る解雇にはじっとしていられないと、総理大臣や国交大臣など6者に要請文を送ったと述べました。そして、保育所が民営化による人件費削減で若い保育士ばかりになって運営が大変になっているように、命を守る職場をおろそかにしては必ずしっぺ返しがあると指摘しました。また、激励の絵手紙がキャビンクルーユニオンに贈呈されました。

全国私教連の方は、同じく整理解雇の裁判闘争を行なっており、整理解雇の4要件は労働者のたたかいによって確立したものなのだから、希望退職者が募集を上回っているのに整理解雇をすることは認められない、ストライキ権への攻撃も許されないことであり、そうした世論の構築が重要だと述べました。

元エール・フランスのスチュワーデス解雇闘争をたたかった方は、解雇予告中に仮処分を勝ち取り、最終的には全員の職場復帰を勝ち取った経験や、安全要員としての客室乗務員の地位確保を定めた航空法の改定について語り、会社がひどければひどいほど支援は広がるので、安全要求と解雇撤回の要求を合わせて勝ち取っていこうと述べました。

婦人民主クラブの方は、この解雇はがんばって権利を守ってきた人たちへの攻撃であり、だからこそ解雇させてはならないと述べました。

全建労の方は、中曽根時代から始まった新自由主義とグローバリズムは正しい行政と労働組合を邪魔にしてきて、構造改革を進めようとしており、これは日本航空だけの問題ではなく、国民が一致して流れを止めないといけないと述べました。

客室乗務員連絡会の方は、契約社員問題でたたかってきて日本航空では3年勤続すれば正社員になれる制度を勝ち取ったが、これをきっかけに全労働者に契約社員化が広がってしまったと思うと述べ、整理解雇問題も同様で、ここで食い止めなければならないと訴えました。

日本航空乗員組合の方は、94名のパイロットが整理解雇の対象になっており、その人たちは病気休職者や48歳以上の副操縦士であると述べました。パイロットは航空法で休職すべきことを厳しく定められているが、休職日数で整理解雇されるのではこれからは安心して休むことができないので、こうしたやり方には世界的にも講義の声が上がっていると報告しました。また、希望退職で600名が退職しているが、ライセンスのあるパイロットでも再就職は厳しいと語りました。そして、広くこの問題を訴えて解雇を撤回させ、再生に向けてエネルギーを使うべきであり、安全運航が私たちができる恩返しであると述べました。

全運輸の委員長は、3つの航空事故をきっかけに、全航空労働者が空の安全を守るための安全会議をつくってきたことを語り、安全を守ってきた労働者を切るのは言語道断であり、内外に知らせていくべきだと述べました。

新聞労連の東海林委員長は、この問題を知って勝手に連帯ビラをつくって有楽町マリオン前で配布したことを報告しました。労働者の権利であるストライキ権の行使を妨げることも許されないし、退職者を「稼働ベース」でカウントすることに対しては人を小数点以下で扱うなと憤り、こうした乱暴な扱いは認められないと述べました。

国労の方は、たたかう労働組合を壊すことは全労働者に関わる問題であると述べました。また、国鉄の国策による赤字と日本航空のアメリカの航空機を押し付けられたことなどによる赤字は同様であり、それを行政や経営は隠そうとしていると指摘しました。労働者に全ての責任を被せることは許されないという思いで、国労も連帯してたたかうと述べました。

通信労組の方は、50歳台の女性がターゲットにされたということはNTTの場合と同様であり、怒りでいっぱいだと述べました。NTTでも50歳で賃金3割カットか全国配転かを選ばされる制度がつくられ、会社は大もうけしているが労働者にも利用者にも還元されていないと指摘しました。共通点は、国がかりの不当労働行為であるということであり、客室乗務員は安全を守っている人たちだということからも、国民として解雇は許せないと述べました。

全医労の方は、同じ命を守る仲間として連帯していきたいと述べました。労働条件が厳しく、ベテランがいなくなると若い人たちも疲弊することは明らかであり、国は命を守ろうとしていないと指摘しました。そして、看護師も客室乗務員も女の子の憧れの職業だが、名実ともに憧れの職業になれるように、定年まで働ける職場にしていこうと呼びかけました。

キャノン非正規労働者組合の方は、自分達も解雇闘争中であり、全ての労働者の権利を取り戻すたたかいとして、正規と非正規の分断に負けずに共にがんばりましょうと述べました。

民事法務労組の方は、自分達の職場では構造改革によって4年前から市場化テストの対象となって正規が半分以下となり、派遣会社の参入で来年度は仕事が取れず、700名が失業の危機にあり、法務省に対して雇用責任を追及していると報告しました。そして。国相手のたたかいは生易しいものではないが、最後までたたかっていきましょうと呼びかけました。

国鉄の不当解雇の当事者の方は、労働組合員であることを理由とした差別は許されず、キャビンクルーユニオンのみなさんにも諦めなければ支援が集まり、たたかえばそれだけのものが得られるということを伝えたいと述べました。


最後に、日本医労連の田中委員長が閉会のあいさつを述べました。

この集会には172名の参加者があり、うち48名は解雇通知を受けた当事者の方々だそうです。日本医労連は、命と安全を守る立場からキャビンクルーユニオンと連帯しており、この解雇は命と安全を守る立場から許されないし、労働者としても許されず、国民に対する攻撃であると述べました。そして、この問題を全国に広げていくため、12月21日には天王洲アイルの日本航空本社前集会に集まることを呼びかけました。

と、これで終了のはずでしたが、そこに社民党の福島党首が駆けつけ、必ず全員の雇用を守るという立場で取り組んでいきたいと述べました。

そして、当事者の客室乗務員の方々が前方に集合して参加者へのお礼を述べて、集会は終了しました。


以上で報告を終わります。