日本航空202人に「整理解雇」通告 組合は「要件満たさず」と批判(連合通信・隔日版より) | 労働組合ってなにするところ?

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2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

まず、年末の相談会についての情報は、下記エントリーを参照してください。


街頭相談の取り組み予定一覧・全労連情報

http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10735635504.html




さて。会議日程が変更になったので、本日午後3時からの日本航空の整理解雇に反対する緊急集会(参議院議員会館B-104)に行けることになりました。昼食休憩を取ったら出発します。


その前に、「連合通信・隔日版」の記事からこの整理解雇の問題点について確認しておきたいと思います。引用部分は青で表記します。



202人に「整理解雇」を通告  日本航空

組合は「要件満たさず」と批判

連合通信・隔日版  2010年12月14日付  No.8405  p7~8


 会社更生手続き中の日本航空は12月9日、乗務員202人を同月31日付けで「整理解雇」すると労働組合に通告した。これに対し副操縦士でつくる日本航空乗員組合と、客室乗務員でつくるキャビンクルーユニオン(CCU)は「整理解雇の要件を満たしていない」と反発。解雇方針の撤回を求めて、取り組みを強めている。


(中略)


 削減目標は達成済み


 一方、組合側は、人員削減目標はすでに達成しており、「整理解雇」の必要がないこと、解雇回避の努力義務が尽くされていないことなどを批判している。

 整理解雇の実施については、①人員削減の必要性②希望退職や一時帰休など解雇回避努力が尽くされていること③人選が客観的・合理的であること④手続きが妥当であること――の4要件を満たしている必要がある。

 組合によると、10月22日時点で希望退職者の応募は1520人(引用者注:募集は1500人)を超えたが、会社は休職者や深夜業免除者などを「0人」とカウントする「稼動ベース」を持ち出し、実際の応募数より低く人数を算出している。

 解雇回避の努力義務について、組合は1カ月単位で無給休職する「リフレッシュ休職制度」などを活用したワークシェアリング(仕事の分かち合い)を何度も提案したが、会社は拒否した。

 CCU顧問版越しの長尾詩子さんは「会社更生法が適用されたからといって、どんな解雇でも行えるわけではない」と指摘。「これで『整理解雇』が認められれば、どんな会社でもまかり通ってしまう」として、「整理解雇」の撤回を求めている。


(中略)


 ベテラン乗務員が解雇されることについて、32年勤務してきた小栗純子副委員長は「真の再生に逆行している」と懸念する。「今首を切られようとしているのは、長年現場で働き、会社にモノを言ってきた人たち。人の命を預かる仕事でモノが言えなくなれば安全にかかわる。これで保安やサービスの品質は保てるのか」と危ぐした。

 客室乗務員の場合、53歳以上の解雇基準を一律に適用すると、ほぼCCU組合員が対象になるため、組合潰しを狙ったとの指摘もある。

(後略)



弁護士さんのおっしゃる、「会社更生法が適用されたからといって、どんな解雇でも行えるわけではない」は、法律家としては当然の常識としてそう考えてしかるべきことだとお考えでしょうし、社会の常識としてもそうあるべきだと私は思いますが、そうしたことを常識と捉えている経営者が少ないということが問題だと思います。

整理解雇の4要件は、当ブログでも何度か取り上げてきましたが、④の「手続きが妥当であること」には、労働組合に対してきちんと説明を行ない、理解を得ているということも含まれます。労働組合を無視して行なう「整理解雇」は、手続きが妥当ではないので無効です。企業として”コンプライアンス重視”を標榜するなら、そうしたことも常識として踏まえていてほしいものです。


一般市民から見ると、”税金を使って支えられている会社の「整理解雇」に反対するなんて我がままだ”と思えるかもしれません。ですが、自分が航空機を利用する立場になってみたらどうでしょうか? 人員不足で安全に不安がある航空機を利用したいと思いますか? 日本航空の「整理解雇」に反対することは、実はそうした航空機利用者の命と安全を守ることでもあるのです。一般のマスコミはそうした論調では報道しませんが、少し考えればわかることだと思います。人員不足で疲れ切った医師や看護師ばかりの病院に入院したくないと思うことと同じです。


医療労働者と航空労働者は、自分たちの労働条件が利用者の安全・安心に直結しているということや、深夜労働や不規則労働が多いこと、公的な役割を持っていることなどの共通点があり、これまでもいろいろな場で協力してきました。

この整理解雇問題についても、医療労働者の組合としてぜひ支援したいと考えています。