危険なフェイスブック | 中谷良子の落書き帳

中谷良子の落書き帳

核武装・スパイ防止法の実現を

★ネットワーキングはタダじゃない。利用者の個人情報で荒稼ぎするSNS帝国の「闇商売」にご用心★

$Jellyの~日本のタブー~


フェイスブックの利用料はタダ。
みんなきっと、そう思っている。

実際、銀行口座からは1セントも引き落とされない。
でも、利用者たちは別な形で支払いをしている。

現金の代わりに、データ(個人情報)の形で払っているのだ。
利用者がフェイスブックに渡した自分や友達に関する大量の情報は、彼らがまとめ、分析し、広告主に売り付けている。

フェイスブックの世界では、個人情報がマネーだ。
しかも同社は、個人情報保護に関するルールを次々と変更し、利用者がますます多くの個人情報を暴露しなければならないよう仕向けている。  

要するに、一方的な料金値上げの連鎖だ。
1つ1つはゴミみたいな個人情報も、集まれば莫大な価値を生む。

現にフェイスブックは昨年、37億ドルを稼ぎ出した。
今年はIPO(新規株式公開)後の時価総額が1000億ドルに達する見込みだ。

彼らのビジネスモデルなんてどうでもいいと思う人もいるだろう。
でも筆者は気になる。

できるものなら、使用料は個人情報ではなく現金で払いたい(その昔、パソコン通信に定額料金を払っていたみたいに)
実を言うと、筆者は2~3年前に個人情報の扱いに腹が立ってフェイスブックのアカウントを一度閉鎖した。

しかし、今は再開している。
ほかに選択肢がないからだ。

テクノロジー担当の記者にとってフェイスブックは無視できない存在であり、その最新情報に触れる唯一の方法は「実際に使ってみること」だ。

とはいえ、決してヘビーユーザーではない。
写真や文章を投稿することはめったにないし、いま聴いている音楽や読んでいるニュースを自動的にみんなに知らせる、新しい「フリクションレス(摩擦のない)情報共有」アプリを利用するつもりも、さらさらない。

自分のフェイスブック利用履歴を、すべて他人の目にさらすことになる新機能「タイムライン」も、絶対に使いたくなかった。
しかしタイムラインは、近くすべての利用者に強制適用されることになりそうだ。

もちろん、見せたくない履歴を削除することは可能だ。
しかし、そのためにはオンライン説明書を熟読し、複雑な手順を理解しなければならない。

うがった見方かもしれないが、フェイスブックは故意に手順を複雑にし、大部分の人が諦めるように仕向けているのではないか。

仮に複雑な手順すべて理解し、半日(あるいはもっと)かけて全履歴の確認と削除をしたとしても、「何か消し忘れたものがあるのでは」という不安は消えないだろう。

実際、ソーシャル・ネットワーキングの世界では、内緒で特定の人に送ったつもりのメッセージが世界中のユーザーに送信されてしまうといった悲喜劇が頻発している。

そこではクリック1つの間違いが、人生を狂わせることになりかねない。
フェイスブックへの安易な投稿がきっかけで職を失った人は、数え切れないほどいる。

★性的指向も割り出せる★

08年にはNFL(全米プロフットボールリーグ)の某チームに所属するチアリーダーが、人種差別的なメッセージを体中に書き殴った男と並んで撮った写真を投稿して、クビになった。

イギリスでは審理中の訴訟案件についてフェイスブック上で友人に意見を求めた判事が、裁判の担当を外された。
最近では、企業が入社希望者の審査を行う際に、フェイスブックをチェックするのも一般的になっている。

離婚訴訟では弁護士が、相手側に不利な情報を探すためにこのサイトをくまなくチェックしている。
もちろん、こうしたトラブルを引き起こした直接の責任は利用者自身にある。

別にフェイスブックが彼らの行為を監視しているわけではない。
だがコンシューマー・リポーツ誌による昨年の調査では、かなりのフェイスブック利用者が、どれくらい多くの個人情報を見ず知らずの他人とシェアしているかに気付いていないことが判明した。

「多くの利用者が強盗や成り済まし犯罪、ストーカー行為につながるリスクを犯している」
と、同誌は警告する。

昨年夏には、こんな出来事もあった。
携帯電話と自分のアカウントを同期させると、アドレス帳に登録してあるすべての電話番号が自動的にフェイスブックに読み込まれることが判明したのだ。

もちろん公開はされないが、それでもゾッとする。
さらに背筋が寒くなることもあった。

フェイスブックが、会員たちが(同サイトにログインしていないときも)どのウェブサイトを訪れているか追跡していたことを、淡々と認めたのだ。

フェイスブック側はこれについて、ソフトウェアの不具合が原因だと主張し、修正を約束した。
不具合や手違いが、もっと深刻な事態を招くこともある。

2年前のこと、フェイスブックが会員向けに選別して送り付ける大量の広告を分析すれば、その会員が同性愛者であることを推認できるという調査が発表された。

本人が公表を望んでいなくても、フェイスブックのソフトウェアが複数の情報を基に、その人物の性的指向を割り出しているからだ。

つい数カ月前には、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO自身も被害に遭った。
ソフトウェアの誤作動で、誰でも他人のアカウントをこじ開けて個人情報を見ることができるようになり、ザッカーバーグが恋人や友人と撮った複数のプライベート写真があっという間にネット上に流出したのだ。

~ダニエル・ライオンズ~

如月22日は竹島の日