今回はすんご~い堅い内容でごめんなさい。
先日の某大学でのスピーチの内容ですが、参加者のみなさんには、予想以上にとても熱心に聴いていただけましたので、引き続き、内容の一部をご紹介します。
あんずさんがコメントをくださった、寄付に関するアメリカの税金控除に関しても、もちろんスピーチでは説明させていただきましたよ(^^)。ただ、一般的な控除のシステムについてはアーカイブで書いておりますので、ここでは省略します。
アメリカのアッパーミドル&上流の義務-
財団や基金を設立し、能率よく寄付をするシステムを作る
1)アメリカのNPO(非営利団体)総数は150万。ちなみに日本のNPO総数は2桁少ない。
2)アメリカで存在する財団・基金のうち、73%がバジェット50万ドル以下の規模の小さなもの。10ミリオン以上の規模の財団は4%にしか過ぎない。
3)2005年、アメリカ全体で総額260ビリオン(約30兆円)がチャリティに寄付された。
それまでは、財団や基金を持つのは、一部超お金持ちだけの特権でした。なぜなら、財団を運営するには、莫大なお金がかかったからです。
有意義な活動をしているNPOを数あるオーファーの中から、財務報告書や活動状況を、逐一、綿密に調べ、ときにはアフリカなどの現地まで飛び、調査した結果、有意義な活動をしている団体を選びます。そして、寄付をする場合、その手続きがまた面倒。それをいちいち踏み、一方で報告書を書き、課税免除の手続きをし、その基金の運用もしていかなくてはいけません。
このためには、普通、人を雇う必要があり、それなりの経費がかかりました。
しかし、法律がかわり、1991年よりFidelityを始めとするファンド会社が、小規模の家族財団や基金をサポートするサービスを開始し、例えばFidelityは1万ドルから基金を設立でき、より気軽に小さな財団をつくれるようになりました。そして面倒な諸手続きを比較的安い手数料で代行してくれます。
つまり小さなバジェットでも、続ける意志さえあれば、気軽に善意を役立てることができるようになり、大きく底辺を支える形となったのです。
一度口座を開くと、以下のような利点があります。
1)その口座で運用された利子に関しては税金免除される。しかし一度その口座に振り込んだお金はチャリティ以外の目的では使えない。
たとえば、年収が1千万円でうち100万円を基金に入れた年は、900万円が課税対象なるというわけです。
2)基金の運用はその会社がしてくれる
3)寄付に際しての諸手続きは、オンラインで簡単にできる。まさに一度セットアップすれば寄付はクリックするだけ。そして代行にかかる経費も手ごろ。つい、簡単だから面白くなって、どんどんしたくなるから、気をつけないと(汗)
ただ、通常最低寄付金額が設定されており、1度の寄付が、設定された金額(500ドルが目安)を下回る場合は、基金から寄付をすることはできません。
また、スプリング・ベネフィットやチャリティ・パーティなど、飲食が絡んでくるチャリティ・イベントのチケットは購入することが出来ません。基金から寄付できるのは、純粋に娯楽がからまない寄付( under write) に限られます。
日本でも、大手信託会社が、Fidelityみたいなサービスを始めるといいですよね。もちろん、法律もそれをサポートする必要があります。
そして税金控除の対象になるNPOの数ももっと増えてほしい。
アメリカでは、財団を設立した場合、基金の総額のうち最低でも5%は毎年寄付していくよう義務づけられています。
ちなみに、わたしたちは、毎年、年収の5%から10%を目安に基金にお金を投入し、その中から4,5団体、夫と二人で心から賛同している、地味ながら有意義な活動をしているソーシャル・サービス系の団体、そしてこの世の中からテロをなくすことを願い、命がけの活動をしている中東和平を目指す団体(信じられないほど命がけで、且つ潔く、中立な立場をとっている団体です)のために寄付を続けております。
今も、世界では、北朝鮮問題のほかにも、イスラエルとレバノン(ヒズボラ)の泥沼の攻撃戦など、心が痛む問題が山積みです。なんとかしないと、という気持ちでいっぱいです><
寄付以外には、1団体、Inwood Houseという地元ソーシャル系の団体を選び、そちらには、金銭援助のみならず、ボランティアという形でかかわっています。
このように、若いうちから「サムイ」とか、「キモイ」意識を感じることなくチャリティに参加しやすくするために、受け皿を作る一方、楽しいパーティを企画するなどの工夫も必要ですねo(^▽^)o。
(参考サイト)
アメリカはここまで来ているということをちょっと垣間見てください。
・Fidelityのチャリティ関係のサイトです。企業としてこんな形でも社会貢献ができるといういい例です。
Charitablegift.org
・チャリティの世界では何が起こっているのかを知るオンラインの新聞です。初心者のよい手引きです。
Philanthropy.com
というわけで、堅くてすみません。
そしてみなさんからは、こんな (Click)ご意見感想をいただきました。
うれしかったです。