ワイン醸造販売協同組合 その1 | ろくでなしチャンのブログ

ワイン醸造販売協同組合 その1

            ワイン醸造販売協同組合 その1  

 

 

 数度の法整備を経て、1947年年9月10日協同組合制度の地位を定める法律第47-1775号(協同組合共通法)による組織法及び基本法である種類別協同組合法が根拠法とされているようです。

 

 1930年代の深刻な不況により、一戸当たりの栽培面積が小さく,ワインの販売単価の低い地域で,単独で耕作機械や醸造機器を購入することが財政的に困難な生産者が,設備の協同購入を目的として設立されたカーヴ・コーペラティブ~cave cooperativeはワイン醸造販売協同組合と訳されているようです。

 1945年年10月12日には、農業機械の使用の協同組合に関する法律も公布(農業機械を購入し、共同で利用~耕作機械や醸造設備等)され、手厚く保護されているようです。

 フランスで最初の協同組合ワイナリーが生まれたのは1905年とされ、簡単に記述すると、複数の葡萄栽培農家が生産した葡萄を使ってワインを醸造し,協同組合のブランド等で瓶詰め、販売する組織と言う事が出来るでしょう。

 

 フランスで生産されるワインの半数は,協同組合が生産しており、各種協同組合の中でも組合数構成比21%を誇り、政治的発言力も強く、EUからの農政補助金の獲得に大きな力を発揮しているとも言われているようです。

 日本の農業協同組合と比較すると、日本の農業協同組合が総合組合なのに対して、種類協同組合なのでいわば葡萄栽培・醸造専業組合となり、金融部門(ワイン関係ではクレディ・アグリコルと呼称される別組織が存在)は有しません。 

 

 このカーヴ・コーペラティブの最大の特徴は、組合員(正組合員と準組合員がいる場合も。)から供給される葡萄の買入拒否権を有しないことです。

 つまりは持ち込まれた葡萄を全量買い取りしなければならないため、独自に品質基準を設け(糖度によるものが多いようです。)、買い取っているようです。

 品質の向上へ向けた取り組みも行われ、バンダンジュも法で決められた日以降の独自収穫日を設けている組合もあるようです。

 収穫後の醸造設備への搬送は、各組合員の収穫が一斉に始まるため300名を超える組合員を抱えるカーヴ・コーペラティブもあり、醸造所の前はトラクターの長い列が続き、喧嘩騒ぎも絶えないとか。組合員にすれば一刻も早く収穫・搬送し、雨や霜の被害を食い止めたいところですから。

 

 カーヴ・コーペラティブでは、最新の醸造設備を整えるとともに、若手のエノロジストを迎え、組合員の葡萄畑の営農法を指導したり、品種別の発酵、成熟度合別の醗酵等を採りいれる等の努力をしているようです。

 このように成熟度合別の醗酵を可能としているのは、カーヴ・コーペラティブのワインを品質により優良ワインを数種類造り、残りをネゴシアンに販売、スーパーマーケット等のプライベート・ワインとしても造られているようです。

 また、特定の組合員の葡萄を別醸造し、独自にシャトーワインとして販売まで手掛けているようです。


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エスプリ・デスチュエール。         

 

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 シャトー・リコーデ。 詳解はこちら

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シャトー・ラ・ローズ・ピコ。            パヴィヨン・ド・ベルヴュー。

 

 上記エチケットはボルドーで最大の規模を誇るメドック(バー・メドック)のカーヴ・コーペラティブである Cave Les Vignerons d’Uni Medoc のものです。 

 

 一般にユニ・メドックと略称されているようであり、このユニ・メドックは、2001年、2004年にケラック、プリニャック・アン・メドック、ベガダン、 オルドナックのカーヴ・コーペラティブが合併して誕生したカーヴ・コーペラティブのようです。組合数は約300名、総栽培面積230haであり、合併の賜物か各地に販売所も設けているようです。
 さて、上記エスプリ・デスチュエール(河口の魂の意)はユニ・メドックで造られたいわば組合ワインであり、組合に加工委託され造られたシャトー・ワインがシャトー・リコーデであり、2009年、2011年にクリュ・ブルジョワの格付けも取得しています。

 同様シャトー・ラ・ローズ・ピコ、パヴィヨン・ド・ベルヴューも組合に加工委託され造られたシャトー・ワインなのですが、これらのシャトー・ワインに共通するのは『ミザンブテイユ・ア・ラ・プロプリエテmis en bouteille à la propriété』の所謂シャトー元詰の表記です。

 ミザンブテイユ・ア・ラ・プロプリエテは『協同組合元詰』と訳されることもあるようです。 

 
 堀賢一氏の著書『ワインの個性』では(組合員は通常,自分の畑で栽培した葡萄を組合に委託して他の組合員の分と一緒に醸造してもらい,瓶詰めまでしてもらったワインに関しても「自社で栽培・元詰めを行った」とラベルに記載して販売することがヨーロッパの原産地呼称法では許されており)との記述がありますが、他の組合員の葡萄との混醸ではなく、組合員独自のワインも協同組合生産のワインも造られているとの意味と思われます。

 また、葡萄栽培農家は協同組合で、醸造と壜詰めを行ってもらって、栽培農家自身が自分の名前で販売するのが原則であり、協同組合が、醸造・壜詰めに、販売も協同組合名で行うものを

   Cooperative du Manipulation(略称CM)

と呼ばれ区別しているとの記述も見受けられますが、販路拡大志向か組合員のシャトー・ワインがカーヴ・コーペラティブの売店に多く並んでいる様に思われます。


 

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