St-Estephe 評価 その2
St-Estephe 評価 その2 ボルドー第4版より
サン・テステフの大きな目玉の1つが、匠の手による数々の栄えあるブルジョワ級ワインである。そのうちのいくつかは、格付けシャトーに昇格させるだけの価値がある。
あまり知られていないが優良なワインを造っているとびきりのシャトー、例えばオー・マルビュゼやメイネイ、レ・ゾルム・ド・ペズなどは、格付けシャトーへの昇格を真剣に検討されるだけの価値があるだろう。
皮切りとして、まずはオー・マルビュゼ。華麗なワインで、華々しいまでにスパイシーでオークっぽく、ブラックカラントの香りや味わいに満ちている。格付けされたシャトーのワインと間違える人がいたとしても私は驚かない。
フェラン・セギュールは復活を享受しているところだ。サン・テステフのどのワインにも負けないぐらい長持ちする。抜け目ないコレクター達は、今、このシャトーのワインに道を付けている所だが、1990年代後半のワインには驚くほどばらつきがあった。
メイネイもまた、サン・テステフの信頼のおけるブルジョワ級シャトーである。河に近く、モンローズの北というすばらしい立地条件にある大規模な生産者で、大柄で豊かな、深みのある上質のワインを造ると言う信頼感から、そのワインは探し求められているが、1990年代後半のワインは概ね可もなく不可もない出来だった、
ブルジョワ級で最も注目に値するのは案外ド・ペズと、その隣人レ・ゾルム・ド・ペズなのかもしれない。ド・ペズは現在シャンパーニュのルイ・ロデレール社が所有しており、1990年代後半には巨額の資金が投入された。由緒あるシャトーで(17世紀にはオー・ブリオンを所有していたポンタック家の所領の一部だったこともある)、潜在能力は相当なものだが、2003年の段階では殆どその能力を生かせずにいる。
レ・ゾルム・ド・ペズを所有しているのは、ランシュバージュのカーズ家である。昔から極めて信頼がおける、ジューシーで、ふくよかな、汁気の多いワインで、価格も適正。抜け目のない消費者は何十年も前からここのワインを買いだめしている。
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シャトー・レ・ゾルム・ド・ペズ 現 オルム・ド・ペズ詳解
サン・テステフのワインは、ボルドーのヴィンテージが凡庸、貧弱な時に買い求めるワインではない。はずれのヴィンテージでもコス・デストゥルネルや、モンローズ、オー・マルビュゼなら最良のパフォーマンスを見せてくれるが、この地方が偉大なヴィンテージになるのは、太陽の光と熱をたっぷり受けて、あらゆる葡萄、特にメルローが十分に熟した時である。そのため、
1959年、1961年、1970年、1982年、1986年、1989年、
1990年、1995年、1996年、2000年
といったヴィンテージは、サン・テステフにとって最上級の年になっている。過度に暑く、乾燥した年は、軽い砂利質の土壌だとストレスになることがあるのだが、サン・テステフの重めの土壌では傑出したヴィンテージとなることが多いのである。今世紀で最も暑く、乾燥したヴィンテージに入る1989年と1990年が、良い事例である。
この地方の土壌は浸透性が悪く、そのため他のメドックのアペラシオンに比べて水はけが良くないと述べた事を思い出してもらいたい。降雨量の多いヴィンテージでは、近くのサン・ジュリアンやマルゴーほど成功しないことが多い。
例えば1980年、1983年、1987年、1997年、1999年は、メドックの他のアペラシオンのほうが成功している。
サン・テステフのワインが成功するためには、健全で、とても熟したメルローの収穫が重要だ。というのも、メルローは、サン・テステフのワインで通常、平均よりも強くなる酸やタンニンを減らすために役立つからである。
1970年、1976年、1982年、1989年、1990年、1995年、1998年、2000年といった年はいずれもメルローに幸いし、その結果、サン・テステフでは多くの傑出したワインが生産された。
サン・テステフのワインは、有名なメドックのワインとしては最も華やかさに欠けるが、その価値は秀逸である。これは、有名な格付けシャトーに限らず、このアペラシオンにずらりと並んだ秀逸なブルジョワ級ワインにも当てはまることだ。
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