今年の1月にTappan Zeeレーベルのアルバム・ジャケットをご紹介した時に、CD化を切望していた作品です。
Wilbert LongmireのTappan Zeeレーベルからの2作目、1979年リリースの「Champagne」です。
リアルタイムで散々聴き倒した、思い入れの強い作品なのです。
「AORの伝道師」K澤氏のブログで2in1の発売を知って、即、購入しました。
これが廃盤になったら、次は何年先になるか全く予想もつかないですからねー。
80年リリースの3作目「With All My Love」とのカップリングで、超お買い得です。
Tappan Zeeレーベルの作品はほとんどが35分以内の収録時間なので、余裕で2in1にできるんですよね。
この二作はかなり「色」が違っていますので、今回は「Champagne」に絞ってレヴューしてみたいと思います。
プロデューサーでもあるBob Jamesの作品である「Diane's Dilemma」は、完全に「BJ印」です。
当時のBobのアルバムを気に入っている方なら、間違いないテイストの曲です。
全曲に参加しているベースのGary Kingが大活躍でグルーヴを作り出しています。
Richard Teeの生ピアノとHugh McCrackenのハーモニカが目立っていて、肝心のWilbertのギターが控えめです。George BensonとEric Galeの中間みたいなテイストのギターは、なかなか味があって魅力的なんですけどね。
2曲目は、Earth, Wind & Fireの大ヒット・アルバム「太陽神(All 'n' All)」収録の名曲「Love's Holiday」です。
Wilbert Longmire 「Love's Holiday」
もう、イントロからBob Jamesらしい金属的なシンセが登場して、ファンをニヤリとさせてくれます。オリジナルよりかなりテンポを落としたアレンジが、見事です。この曲は、共同プロデューサーでもあるJay Chattawayがアレンジしています。
Wilbertの素朴なヴォーカルが、この曲の雰囲気にぴったりです。
また、George Bensonタイプのギター・ソロも、情感たっぷりです。ナチュラルな音色が良いですね。
Harvey MasonのドラムスとGary Kingのベースが、絶妙なグルーヴを生み出しています。
オリジナルと比べると、かなりアダルトな仕上がりになっています。
ちなみに、オリジナルはこちら。
「Ragtown」は再びBob Jamesのオリジナルです。
これはかなりスリリングな曲で、各メンバーのソロを楽しめます。Michael Breckerのテナー・サックスのソロも好調で、ファンなら一度聴いておく価値はあります。
このアルバムの中で、最もジャズ色の強いナンバーです。
「Pleasure Island」は、このアルバムで私が最も好きなナンバーです。
この作品は、Jay Chattawayの作曲で、アレンジも彼です。
Jayは、プロデューサー&アレンジャーとして、Maynard FergusonやGato Barbieri、Billy Cobham、Fania All-Stars、Mongo Santamariaなどの作品に関わっていますが、この曲は彼の最高傑作だと断言できます。
Wilbert Longmire 「Pleasure Island」
Idris MuhammadのドラムスとGary Kingのベース。Bob JamesのFender RhodesとRichard Teeの生ピアノ。
このゆったりした「楽園のリズム」に、頭を空っぽにして浸るべしっ!!
女声コーラスとWilbertのギター・ソロの絡みは、妙にセクシーです。
もう、この一曲のためだけでも、このアルバムを手に入れる価値があります。
数ある「フュージョンの名曲」の中でも、トップクラスの作品だと思います。
アルバム・ラストの「Funshine」は、Wilbertのオリジナルでアレンジにも挑戦しています。
BobともJayとも違ったテイストで、なかなか魅力的です。
ファンクのリズムが黒っぽさを出していますが、ギターはBensonっぽいですね。
Randy Breckerのホーン・アレンジのせいで、Brecker Brothersみたいな感じもあります。
ということで、珠玉の5曲は、私の学生時代の想い出と共に忘れられないものなのです。
カップリングの「With All My Love」については、また後日。
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