だって、１０枚に絞るなんて、私には到底ムリですもん！
１００枚なら、なんとかなるかも・・・？
もしそんな状況になったら、間違いなく上位になるのがPat Metheny Groupのファースト・アルバム「想い出のサン・ロレンツォ(Pat Metheny Group)」です。
とてもシンプルなジャケットに、「Pat Metheny Group」というシンプルなタイトルですが、私にとっては間違いなく「想い出のサン・ロレンツォ」なのです！
１９７８年録音のこの作品は、私がリアルタイムで聴いた初めてのPat Methenyなのです。
高校生の時に田舎のジャズ喫茶で知ったKeith Jarrettの「The Koln Concert」に思いっきりはまっていた私は、アルバムを制作したドイツのECMレーベルとプロデューサーのManfred Eicherに対して、絶大な信頼を置いていました。
そこへECMからリリースされたのが、「想い出のサン・ロレンツォ」だったのです。
聴いたことのない方は、タイトル曲「想い出のサン・ロレンツォ(San Lorenzo)」をまず体験して下さい。
Pat Metheny Group 「San Lorenzo」
１０分にも及ぶドラマティックな世界は、唯一無二！
美しい生ピアノの音色に、アナログ・シンセの温かい音。
変幻自在のドラム・ワークに、個性的なフレットレス・ベースのパターン。
そして、それまでに聞いたことのない天国的に美しいギターの音色！
特に、印象的なハーモニクスに、私は昇天してしまいました。
４人それぞれが超絶テクニックを駆使していながら、難解なところが全くない親しみ易い曲になっているのが驚異的です。
今日までさまざまな音楽を聴いてきていますが、これに匹敵する曲にはなかなかめぐり逢えません。
と、この曲を語りだしたら二晩や三晩くらいは、かかりそうです。
後ろ髪を引かれる思いで、二曲目へ。
スピード感溢れるポップ・ナンバー、「Phase Dance」です。
ライヴの演奏を聴いて下さい。
Pat Metheny Group 「Phase Dance」
印象的なリズム・パターンで最初から最後まで行きますが、全く単調なイメージはありません。
それは、強弱のダイナミクスがスリリングだからだと思います。
その後の数多あるフュージョン・ミュージックに多大な影響を与えたシンコペーションが、あまりにカッコ良すぎます。
「Jaco」は、Patが大親友のJaco Pastoriusに捧げるために書いた曲だと言われています。
Mark Eganのフレットレス・ベースのソロがありますが、決してJaco風ではありません。
けれども、フレットレス・ベースを弾く人にとっては「お手本」になる、見事なソロです。
これも、ライヴ・ヴァージョンでお聴き下さい。
Pat Metheny Group 「Jaco」
よく聴いてみると、TOTOがやっても不思議じゃない、ちょっとハネたリズムが印象的です。ドラムスがJeff PorcaroになってSteve Lukatherのきっちりしたリズム・ギターが入ると、もろにTOTOって感じがします。
Patのギター・ソロで演奏される「Aprilwind」から続いて演奏されるのが、「April Joy」です。
タイトルどおり、４月のそよ風のようで、幸せに満ちた曲です。
これも、ライヴの演奏を。
Pat Metheny Group 「April Joy」
曲の後半では、二曲目の「Phase Dance」のリズム・パターンが再び登場します。
ギターと生ピアノがパターンを刻んで、ドラムスとベースが自由に動いているのが、「JAZZ!!」って気がします。
そして、ラストは「Lone Jack」です。
これは、超高速のジャズ・ナンバーです。
堅物のジャズ・ファンや評論家さえ黙らせる、すばらしいギター・ソロが聴けます。
Lyle Mayの生ピアノもエキサイティングですが、ひたすら美しいっ！！
この曲は、当時のライヴも見当たりませんが、最近でもしばしば演奏しているPatのお気に入りのようです。
ということで、現在のPatのトレードマークになっているギター・シンセも、パーカッションやヴォーカルもまだありません。
けれども、４人の見事なプレイと緻密なアレンジで、最後まであっという間に聴かせてしまいます。
私にとっては、大切な大切な一枚なのです。
最後に、おまけ。
「想い出のサン・ロレンツォ」のライヴ演奏です。
Pat Metheny Group 「San Lorenzo」 LIVE
Pat Metheny Group/Pat Metheny
￥1,532
Amazon.co.jp
にほんブログ村