「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ (Fogliolina della Porta Fortuna)」@軽井沢(☆☆☆彡)
「ヴィッサーニ」でシェフを務めた誰しもが認めるイタリアンの鬼才小林幸司シェフはやはり素晴らしかった。
そのシェフが2011年1月に軽井沢に移転。1日1組の予約となり、いまでは新規のお客が入ることができない領域に入っています。
中目黒時代 に1度伺ったことがありますが、軽井沢に移り、さらに研ぎ澄まされたその料理は本当に日本トップレベルです。
住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉2147-689
電話:0267-41-0612
定休:不定休
営業:1日1組限定12時~21時
「星のや 軽井沢」からさらに北に行った左に入るとこちら。
森の中にあるウッドデッキのような前面。扉はちょいとわかりにくいかも。階段上がってすぐなのですが。
入ってすぐは狭い通路。目の前には本棚と積み上げられたワインの木の箱。壁にはコートがかけられるハンガーです。
レストランというよりもいきなりどこかのお宅の裏口から家に入ってしまったような…。
厨房の扉とダイニングの扉は隣り合っています。
テラスとライトアップされた森の緑の見える大きな窓があるお部屋。暖炉があり、オルガンがあり、テーブルは斜めにセッティングされていたり。照明はダウンライトだけの暗い空間。そういえば、中目黒で頂いた時もこんな感じでした。
テーブルの上には小林シェフ手書きの本日のメニュー。達筆なので、一般人に解読は困難。シェフは料理の説明もしてくださるのですが、早口なので憶えられません。ですから、以下の記録も結構不確か。間違っていたら、ご指摘ください。
14年12月20日夜の来訪。
めしあさん幹事の会に入れていただきました。しずりんの紹介です。
テーブルにはガス入りの水。
乾杯のドリンクはベルギーの老舗シードルメーカーのスタッセン社が造るノンアルコールスパークリングワイン。Duc de Montagne(デュク ドゥ モンターニュ)。白ワインを醸造した後に低温低圧状態で蒸留しアルコールを除き、飲みごたえあるノンアルコールを実現しただけあって、本当に白のスパークリングワインを飲んでいるかのような味わい。辛口で甘みはなくスプマンテらしい味。細かに立ち上る泡が美しい。
料理が始まるとともに良い香りに部屋が満たされます。厨房から流れてきたのでしょうか。
最初は塩だけふり強火の鉄板で焼いて、室温でバターにナイフが入るくらいのに調節して火入れした鴨のフォアグラ。表面は絶妙に薄く焼いてカリッとしています。反則級の美味さ。お客の嗜好に合わせて料理を組み立てるシェフですので、幹事のめしあさん合わせなのでしょうか。
その上に乗っていてピュレに隠れているのが、蒸し焼きしてオリーブオイルに漬けたフランスはオレロン島の牡蠣。
ソースになっているのはセルフィーユの根っこのピューレで、また激ウマ。
全体的に塩がビシッと効いていました。粗挽きのピンクペッパーも良いアクセントです。
ナッツを食べて育っているというカナダのイノシシのあばら。
赤ワインのフレイザーに漬け込み、オリーブオイルで煮込んでから骨を抜いてほぐした肉。これが自然にゼラチンで固まるのだそう。
煮込んでいるはずの赤ワインはあまり感じません。イノシシの肉は豚とは違った力ある肉質。ゴリゴリの軟骨的部分も大変美味。このイノシシの脂がまた美味しいのだそうで、その脂は上に乗せて軽くバーナーで炙り溶かしかけているのだそう。なるほど、美味いわけです。このイノシシの脂はラルドにしてパンに使う、とおっしゃられていました。この日は出ませんでしたが。
野生のカルカテッペというキノコをローストして菊芋とシチリアのブロッコリーを加え合わせているらしい。
ソースのようにかかっているのは生ハムも使ったピュレ。
最後に上に添えられているのはカリカリのスライスしたアーチィチョーク。
未体験の美味さがここにあります。
トスカーナのトスカネッリという白いんげん豆。繊維が細かいこの白いんげん豆を生ハムの皮と煮込んでホロホロ鷄の卵とともにペーストにしたものがカップの底に。その上には水餃子的な生パスタです。中にはブレス産のシャポン鷄でも去勢雄鶏のカッポーネの胸肉とチーズ。クリスマスに使われる定番の鶏肉ですが、小林シェフの手にかかるとゴリゴリした食感も小気味良いものに。注がれているのはそのカッボーネから取った澄んだスープ。その旨味がしっかりしているのはもちろんだが、味付けで前面に出てくるのは野生の月桂樹の苦味。ジャガイモのデンプンでとろみがつけられていますので、舌にしっかりと乗ってきます。このあたりのセンスが小林シェフならではで他社の追随を許さないところかも。
最後に上に削りかけられているのは希少な赤牛のバルミジャーノ。
これに合わせているのはアニスの種を入れたパン。その香りが心地よいほどに強い。パンの表面はパリッとして、中は結構詰まってます。
サフランの焼きリゾット風。米は7年熟成させたものだそう。サフランの雌しべと合わせ、肉のスープでリゾットに仕上げています。混ぜ込んでいるのはペコリーノロマーノ。なんというか、このベースになっている肉のスープの強い雑味がぴったりこのリゾットの味付けにマッチしていました。上には細かなパン粉を振り、バーナーで炙って香ばしさを付加しています。にしても、リゾットがヘタれず切り分けられた
ケーキがそそり立つように皿に乗っている姿は圧巻。
この中にはエスカルゴと松の実。そしてスライスした黒トリュフが隠されており、その食感や香り、味わいがまた花を添えていました。
メインの肉料理はずばりジビエ。山鳩の胸肉を焼いたものです。そのレアな肉質と香りと旨味は強烈。着実に美味く、凄みを感じました。前菜から飛ばしている料理の質は、肉に至っても期待を裏切ることなく素晴らしい。
一緒にされているのはザクザクして苦味も心地よいラディキオロッソ。
下にはとても良い香りの緑レンズ豆。その山鳩の砂肝などの内臓入りの炒め煮です。アンチョビ、ウイキョウの種を混ぜ込んでいるので、その香りは言われれば確かに感じる良さ。入っているはずなのになんだか感じられない料理を先日食べたので、その意味がより際立って感じられました。白いソースはイタリア産ニンニクを皮つきのままストーブの灰の中に埋めて蒸し焼きにしたあと中身を取り出してエシャロットと合わせて香りをたてるように炒め、野菜のスープを加え茹でこぼしてからミキサーにかけて漉したピュレ。
こちらにもパンが添えられます。酢に漬けたケイパーの花の蕾のパン。先ほどと食感的には同様ですが、こちらは甘い。
こちらではチーズも一品料理です。
タレッジオとくるみを合わせて、ホロホロ鷄の全卵と薄力粉で衣をつけ揚げています。
かかっているのはサボテンの蜂蜜。
白いカップにデザート。
シロップに漬けたダークチェリーと牛乳をミキサーでペーストにホロホロ鶏卵黄を合わせたジェラート。上に乗っているゼリーは白ワインとリモンチェッロの爽やかなゼリーでした。
それに同席の方が誕生月のためにお祝いのケーキも。
リモンチェッロしみ込ませたスポンジ生地にトロトロの優しい甘さの生クリーム。スポンジはきび砂糖を使っているらしく色合いが濃い。上に乗っていたりサンドされているのは皮ごとで美味しいシャインマスカット。
横に添えられるチョコはマルサラワインを使ったもので中にはレーズンです。
食後の飲み物はエスプレッソ。クレーマの厚い本物です。
中目黒時代よりもさらに研ぎ澄まされたコースと味。おまけに安くなっています。軽井沢まで定期的に足を運ぶ人たちの気持ちはよくわかります。
帰りの軽井沢周辺は靄に包まれていました。ただこの店のためだけに軽井沢まで足を運ぶ価値ある一軒でだと帰り道でその価値を噛み締めていました。
「ヴィッサーニ」でシェフを務めた誰しもが認めるイタリアンの鬼才小林幸司シェフはやはり素晴らしかった。
そのシェフが2011年1月に軽井沢に移転。1日1組の予約となり、いまでは新規のお客が入ることができない領域に入っています。
中目黒時代 に1度伺ったことがありますが、軽井沢に移り、さらに研ぎ澄まされたその料理は本当に日本トップレベルです。
住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉2147-689
電話:0267-41-0612
定休:不定休
営業:1日1組限定12時~21時
「星のや 軽井沢」からさらに北に行った左に入るとこちら。
森の中にあるウッドデッキのような前面。扉はちょいとわかりにくいかも。階段上がってすぐなのですが。
入ってすぐは狭い通路。目の前には本棚と積み上げられたワインの木の箱。壁にはコートがかけられるハンガーです。
レストランというよりもいきなりどこかのお宅の裏口から家に入ってしまったような…。
厨房の扉とダイニングの扉は隣り合っています。
テラスとライトアップされた森の緑の見える大きな窓があるお部屋。暖炉があり、オルガンがあり、テーブルは斜めにセッティングされていたり。照明はダウンライトだけの暗い空間。そういえば、中目黒で頂いた時もこんな感じでした。
テーブルの上には小林シェフ手書きの本日のメニュー。達筆なので、一般人に解読は困難。シェフは料理の説明もしてくださるのですが、早口なので憶えられません。ですから、以下の記録も結構不確か。間違っていたら、ご指摘ください。
14年12月20日夜の来訪。
めしあさん幹事の会に入れていただきました。しずりんの紹介です。
テーブルにはガス入りの水。
乾杯のドリンクはベルギーの老舗シードルメーカーのスタッセン社が造るノンアルコールスパークリングワイン。Duc de Montagne(デュク ドゥ モンターニュ)。白ワインを醸造した後に低温低圧状態で蒸留しアルコールを除き、飲みごたえあるノンアルコールを実現しただけあって、本当に白のスパークリングワインを飲んでいるかのような味わい。辛口で甘みはなくスプマンテらしい味。細かに立ち上る泡が美しい。
料理が始まるとともに良い香りに部屋が満たされます。厨房から流れてきたのでしょうか。
最初は塩だけふり強火の鉄板で焼いて、室温でバターにナイフが入るくらいのに調節して火入れした鴨のフォアグラ。表面は絶妙に薄く焼いてカリッとしています。反則級の美味さ。お客の嗜好に合わせて料理を組み立てるシェフですので、幹事のめしあさん合わせなのでしょうか。
その上に乗っていてピュレに隠れているのが、蒸し焼きしてオリーブオイルに漬けたフランスはオレロン島の牡蠣。
ソースになっているのはセルフィーユの根っこのピューレで、また激ウマ。
全体的に塩がビシッと効いていました。粗挽きのピンクペッパーも良いアクセントです。
ナッツを食べて育っているというカナダのイノシシのあばら。
赤ワインのフレイザーに漬け込み、オリーブオイルで煮込んでから骨を抜いてほぐした肉。これが自然にゼラチンで固まるのだそう。
煮込んでいるはずの赤ワインはあまり感じません。イノシシの肉は豚とは違った力ある肉質。ゴリゴリの軟骨的部分も大変美味。このイノシシの脂がまた美味しいのだそうで、その脂は上に乗せて軽くバーナーで炙り溶かしかけているのだそう。なるほど、美味いわけです。このイノシシの脂はラルドにしてパンに使う、とおっしゃられていました。この日は出ませんでしたが。
野生のカルカテッペというキノコをローストして菊芋とシチリアのブロッコリーを加え合わせているらしい。
ソースのようにかかっているのは生ハムも使ったピュレ。
最後に上に添えられているのはカリカリのスライスしたアーチィチョーク。
未体験の美味さがここにあります。
トスカーナのトスカネッリという白いんげん豆。繊維が細かいこの白いんげん豆を生ハムの皮と煮込んでホロホロ鷄の卵とともにペーストにしたものがカップの底に。その上には水餃子的な生パスタです。中にはブレス産のシャポン鷄でも去勢雄鶏のカッポーネの胸肉とチーズ。クリスマスに使われる定番の鶏肉ですが、小林シェフの手にかかるとゴリゴリした食感も小気味良いものに。注がれているのはそのカッボーネから取った澄んだスープ。その旨味がしっかりしているのはもちろんだが、味付けで前面に出てくるのは野生の月桂樹の苦味。ジャガイモのデンプンでとろみがつけられていますので、舌にしっかりと乗ってきます。このあたりのセンスが小林シェフならではで他社の追随を許さないところかも。
最後に上に削りかけられているのは希少な赤牛のバルミジャーノ。
これに合わせているのはアニスの種を入れたパン。その香りが心地よいほどに強い。パンの表面はパリッとして、中は結構詰まってます。
サフランの焼きリゾット風。米は7年熟成させたものだそう。サフランの雌しべと合わせ、肉のスープでリゾットに仕上げています。混ぜ込んでいるのはペコリーノロマーノ。なんというか、このベースになっている肉のスープの強い雑味がぴったりこのリゾットの味付けにマッチしていました。上には細かなパン粉を振り、バーナーで炙って香ばしさを付加しています。にしても、リゾットがヘタれず切り分けられた
ケーキがそそり立つように皿に乗っている姿は圧巻。
この中にはエスカルゴと松の実。そしてスライスした黒トリュフが隠されており、その食感や香り、味わいがまた花を添えていました。
メインの肉料理はずばりジビエ。山鳩の胸肉を焼いたものです。そのレアな肉質と香りと旨味は強烈。着実に美味く、凄みを感じました。前菜から飛ばしている料理の質は、肉に至っても期待を裏切ることなく素晴らしい。
一緒にされているのはザクザクして苦味も心地よいラディキオロッソ。
下にはとても良い香りの緑レンズ豆。その山鳩の砂肝などの内臓入りの炒め煮です。アンチョビ、ウイキョウの種を混ぜ込んでいるので、その香りは言われれば確かに感じる良さ。入っているはずなのになんだか感じられない料理を先日食べたので、その意味がより際立って感じられました。白いソースはイタリア産ニンニクを皮つきのままストーブの灰の中に埋めて蒸し焼きにしたあと中身を取り出してエシャロットと合わせて香りをたてるように炒め、野菜のスープを加え茹でこぼしてからミキサーにかけて漉したピュレ。
こちらにもパンが添えられます。酢に漬けたケイパーの花の蕾のパン。先ほどと食感的には同様ですが、こちらは甘い。
こちらではチーズも一品料理です。
タレッジオとくるみを合わせて、ホロホロ鷄の全卵と薄力粉で衣をつけ揚げています。
かかっているのはサボテンの蜂蜜。
白いカップにデザート。
シロップに漬けたダークチェリーと牛乳をミキサーでペーストにホロホロ鶏卵黄を合わせたジェラート。上に乗っているゼリーは白ワインとリモンチェッロの爽やかなゼリーでした。
それに同席の方が誕生月のためにお祝いのケーキも。
リモンチェッロしみ込ませたスポンジ生地にトロトロの優しい甘さの生クリーム。スポンジはきび砂糖を使っているらしく色合いが濃い。上に乗っていたりサンドされているのは皮ごとで美味しいシャインマスカット。
横に添えられるチョコはマルサラワインを使ったもので中にはレーズンです。
食後の飲み物はエスプレッソ。クレーマの厚い本物です。
中目黒時代よりもさらに研ぎ澄まされたコースと味。おまけに安くなっています。軽井沢まで定期的に足を運ぶ人たちの気持ちはよくわかります。
帰りの軽井沢周辺は靄に包まれていました。ただこの店のためだけに軽井沢まで足を運ぶ価値ある一軒でだと帰り道でその価値を噛み締めていました。
フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ
(イタリアン
/ 中軽井沢駅
、信濃追分駅
)
夜総合点★★★★★
5.0