フーディンピック! マチュピチュのお弁当 1 | 添乗員のゆく地球の旅!

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メキシコ滞在とひとり旅とツアー添乗中に起こった体験話&
 首のくびれた保護犬・黒豆柴まるちゃんとの愉快な日常

フーディンピック(食べ物ネタ祭り)開催中。詳しくは→ コチラです。
本日も更新されていますよ~! どうぞチェックしてみて下さいね!


TABIさんがお忙しい中、すこしずつ書き続けて下さっている食べ物ネタ、言い出した私があれだけのネタでは申し訳ないので、もう一つ思い出したお話を書かせて頂きます。
(TABIさんの食べ物ネタは上記のフーディンピックからどうぞ)

machupichu

私は南米の特にアンデスが好きなので、何度か個人でも訪れていますが、これも一人で南米大陸へ足を踏み入れた時のこと。

南米でもだいたい妙なことが起こるのは、やはりクスコやマチュピチュ、ティティカカ湖のある標高3000メートル級のところが多いように思います。お客さんがよく異常行動するのもこの辺りですし。(このお話はまた後日)

この時も、小さな事件はクスコに宿泊して翌日にはマチュピチュへ旅立つという夜半に起きました。

「セニョリータ・ローラン、起きてる? ちょっと助けて欲しいのだけど」

部屋のドアをたたくのは、この小さなホテルの女主人クラウディアさんでした。
この人とは以前私がクスコへ行った時に出会い、私の誕生日には部屋に可愛らしい花を飾ってくれました。そういう心遣いが嬉しくて、クスコへ行くならばクラウディアさんの所へ泊まる、と決めていました。
(ご存じない方は、良かったら→ コチラ をチェックしてみて下さい)

「クラウディア、どうしたの?」

もう23時になろうとしていました。

「一昨日から泊まっている日本人が居るのだけど、彼が今日マチュピチュから帰ってきたらとても気分が悪そうで。でも、彼はスペイン語がまったく分からない上に、英語も少し。私たちも英語はほんの少ししか分からないし、一緒に行って話を聞いてちょうだい」

ということで、その日本人の部屋へと向かいました。

私はシャワー付きの一人部屋に宿泊していましたが、彼は大部屋で他の旅行者と部屋をシェアしていました。2階の大きな部屋へ入ると、ベッドが4つほど並んでおり、その一つにうつ伏せに横たわる汚い身なりの男性が見えました。

「あの、大丈夫ですか? 気分が悪いと伺いましたが」

うつ伏せだった男性がゆっくり体を起こし、うつろな顔でこちらを見ました。その顔は名脇役(俳優)の佐藤二朗さんに似ていたように記憶しています。何となく頼りがいのない、でも人のよさそうな感じの人でした。





名前は聞いたことがなくても、お顔はよく知られている名俳優さんです。

「日本人ですか。びっくりしました。私、今日マチュピチュに行って来たのですが、不思議な体験をしてしまいました……」

二朗さんは力のこもらない声で話し始めました。



二朗さんは今回、かねてから憧れていた南米へ行きたいと思い、ツアーではなく個人旅行で1か月の休みを取ってやって来たそうです。言葉は分からずとも、入念に下調べをして来たお陰で、無事に成田からLA経由、チリのサンティアゴへと降り立ち、そこからバスの旅を続けて来たそうです。ボリビアを経由し、ティティカカ湖からクスコへ、そして今日はマチュピチュへ。

しかし、マチュピチュへ行くにも観光列車のチケットを持っていませんでした。駅に買いに行くと、ここ数日はもう予約で満席だということでした。
だからと言ってローカル列車を使うとすると安全性に不安があります。二朗さんの持ってきたガイドブックには「ローカル列車はスリや泥棒の巣窟であるから乗らないように」と記載されていました。

ちなみに、一般的に観光客が旅行会社などを通してチケットを購入する、もしくはパッケージツアーで利用するクスコーマチュピチュ間の列車は観光用で、ペルーレイルのビスタドームと呼ばれるものなどがあります。テーブル付きの座り心地の良い広い車両で、往復とも軽食や飲み物が出てくるという快適なものです。

その下のランクには、バックパッカーと呼ばれる車両があるそうですが、これも基本的には観光列車だと聞いています。

そして、一般のペルー人やボリビア人などが生活の為に用いる列車がローカル列車

これが二朗さんの懸念している泥棒の多い列車と言うことですが、これには私も乗ったことがあります。普通の古い列車で、自由席なので、混んでいる時間帯や時期にはぎゅうぎゅう詰めのまま何時間も立っていなければなりません。ちなみに、白人のバックパッカーなども結構乗って来ますし、私の経験ではそれほどに危険な列車ではないと思います。

話は脱線してばかりですが、私が以前マチュピチュへ行った帰り、ローカル列車のチケットを購入して、列車が止まっている方向へと歩いて行くと、駅の係員に「お前はここへは入れない」と怪訝そうな顔つきで言われた経験があります。

そこでチケットを提示し「私はクスコまで帰るのだ」と言うと、駅の石垣の下の方を指さして「お前の列車はあっちだ」と追い払われてしまいました。石垣のはるか下方には店やレストランの間に狭そうに横たわる線路が!

つまり、観光列車はお金を落としてくれるVIP用、ローカルの列車は(アンデスの)一般人用という扱いのようでした。


estcion de aguascalientes


言葉が流暢ではない二朗さんは、こんなローカル列車で一人で無事に行くことが出来るだろうかと不安になりました。そこでクラウディアに相談すると、

「そういえば明日、ここに泊まっているオランダ人の男性二人が同じようにローカル列車でマチュピチュへ行くと言っていたから、一緒に行くといいわ」

クラウディアに引き合わせてもらい、気の良い20代のオランダ人男性二人と共に、二朗さんは翌朝マチュピチュへと出発したのでした。
この二人、ヤンとケースは英語も母国語のように流暢で、しかも二朗さんに合わせたレベルで話してくれる親切な若者だったそうです。

まずはオリャンタイタンボという駅までタクシーで行き、そこから列車に乗ります。数十分でオリャンタイタンボに着いたのは良かったのですが、まだまだ列車が来るのに1時間ほど時間があるということでした。

ホテルを出発したのが朝の6時。列車が来るまでまだ待たなければならないとなって、二朗さんは空腹を感じました。そこで連れのオランダ人ヤンとケースに何か食べないか、と問いかけると

「お腹は空いた。しかし…… ダメなんだ。マチュピチュに着くまでは!」

何やら意味不明な我慢をしています。

「僕たちはマチュピチュまで一切食べ物を我慢し、マチュピチュに行ったらあるものを食べるんだ。だから何も口に出来ない」

ハテナ印が頭の中で風船のように浮かぶ二朗さん。どんなに何のことだと問いただしても、我慢だ、という返事が返ってくるばかりです。

そこで、自分だけが何かを食べると言う訳にもいかず、二朗さんもマチュピチュまでは空腹を我慢することにしました。


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風邪気味で半分ダウンしています。
ということで、続きになってもここ数日はお許しください
いや、言い訳でしょ~という突っ込みを入れつつ
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