- トリック・シアター/遠藤 武文
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「諸君らがそれほど愚鈍だとは思わなかった」
2010年3月21日未明に、奈良と東京で、女性と男性が殺害された。
被疑者は被害者女性の夫であり、
被害男性の大学時代のサークルの先輩だった。
同一人物による500km離れた場所での同時殺人。
警察庁「裏店」のキャリア警視正・我孫子弘が捜査の指揮をとると、
被疑者の大学時代の映画サークルの仲間4人がこれまで、
3月21日に事故・もしくは自殺で死亡していたことが明らかになる。
――――― 帯より
個人的評価 : ★★★☆☆
個人的な印象としては終章はない方が良かったかな……。
とびっきりの秘密なりとんでもない真相なりが明かされるならともかく、
それまでに十分判ってること、想像できることを改めて書かれても。
「スッキリした」なんて事はまるでなくて「余計」だとしか思えず。
ただ、それがなければ満足だった、というわけでもないけど。
色んな要素を詰め込みすぎたんだろうか。
東京と奈良での同時殺人、その後の閉鎖病棟内での殺人とか
地下鉄爆破テロとか、それに絡む「警察とは・国家とは」とか
数年毎に同じ3月21日に死んでいた仲間たちとか。
それぞれ面白そうなのに、
どれも中途半端に終わっちゃったのではなかろうか……。
それでも惹き込まれる位に人が魅力的かというとそういうわけでもなく。
若手刑事はラストとそれまでとで随分印象が違う。
警察官になった経緯だとかを考えると、
前半のやる気のなさとかが問題なのかな。
今回の事件でとんでもない真相、巨悪を知ってしまって、
忘れていた初心を取り戻したということなんだろうか。
我孫子のスーパーっぷりも微妙だし……。
閑職に追いやられてはいるんだけど、実は超優秀で
かと思えば警察署内で水で動くエンジンの開発に打ち込んでいて、
どうやら瞬間記憶ができて、推理力・観察力なんかも抜群で、
という凄い人なんだけど、
カッコよくも魅力的だとも思えないんだよな……。