『凍花』 斉木香津 | 鈴と空のブログ

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あとは気になる人やニュースなんかについて思ったことを書こうかなと。
たまに真面目なことをかいたりもするかも。

凍花/斉木 香津
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3人姉妹の長女が、次女を殺した。
残された三女は、その動機を探る。
その時、両親は……。


――人の心はどこまで知ったほうがいいのか?
知りたいけど、知らないままでいたほうが幸せなのかもしれない。

あなたなら、どうしますか?
――――― 帯より


個人的評価 : ★★★★☆


何だかもうぐったり……。


仲の良かったはずの姉妹の間に何があったのか、
遺された家族はこれからどうして行くのか、
色々と気になって一気に読んじゃったんだけど、
ものすごく疲れた、というのが一番の感想。


自分の中に長女と似た部分を感じるから、
余計に疲れてしまったんだろうか。


美人で、勉強も仕事も優秀で、優しくて、
という表の部分は残念なことにまるで似てないんだけど、
徐々に明かされていく裏の部分とか
そこで抱えてる悩みだとか葛藤が
「あぁ……、同じだ」って溜息を吐いちゃいそうになるくらい。


「お姉ちゃんなんだから」「いい子でいなきゃ」
「私まで心配掛けるようなことできないよ」って。
学校で嫌なことがあったり、いじめられたりしても
「助けて」と親を含めた周りに素直に言えない、だとか。


「こんなこと言ったら嫌われるんじゃないか」
「相手に厭な思いをさせるんじゃないか」って
色々考えすぎちゃって人との距離を上手くとれない、とか。


そういう部分が似ていると感じるからこそ
突然明かされたあの日記にはものすごく戸惑う。
あれを書かせた基になる部分は似ているけど、
私にはあれは書けないから。


書けないし、読めない。
あれは書かせた方も少々歪な部分があったんじゃなかろうか。


あれを読むと、長女が哀しく思えてしまう。
到底赦されないことをしたのだとわかってはいるんだけど。
もっと前の段階で誰かが気づいていれば、
自分から「助けて」と言えていれば。


殺されてしまった次女も哀しい。
殺された、という事実はもちろんだけど、
彼女がどんな感情の中で死んでいったのかと思うと。
ものすごい衝撃と怒りと混乱と。
確かに彼女の言ったことは酷いことだったけど、
そうなってしまった事情もとても分かるので。


独り残された三女にはあまり共感も同情も……。
確かに仲の良かった憧れの姉妹があんなことになった、
という事情も分かるんだけど、
何だかふわふわしているというか。

「妹を発作的に殺す」なんて
余程のことがあったってことくらい覚悟の上で
真相探しを始めたんじゃなかったのか?なんて。


最後の言葉も何だか白々しく聞こえてしまって。
それは私の人間性の問題だろうか。