『ディープ・ブルー』 吉村達也 | 鈴と空のブログ

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たまに真面目なことをかいたりもするかも。

ディープ・ブルー (集英社文庫)/吉村 達也
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連続殺人犯は、自らを
過剰な鬱状態に陥った“ディープ・ブルー”を名乗った。
被害者はいずれも将来ある若い女性。
死者に共通するのは、
顔面に濃紺の塗料をスプレーされていること。
だが犯行の目撃者はなく、犯人の性別すら不明。
そんなある日、私がブルーと名乗る人物から
ラジオ番組『大塚綾子の電話人生相談』に涙声の電話。
「つぎの殺人を抑えられないんです」と!
――――― 帯より


個人的評価 : ★★★★☆


短い話の割りに、事件の真相をめぐって二転三転。
特に「私をかばってくれてありがとう」の本当の意味、
驚きと怖さと。


「漢字の視覚的パワーに弱い」って
今まであまり考えたことのない見方だけど、
なるほどと思ってしまう部分もある。
「やまいだれの漢字は追放」は行き過ぎだと思うけど。


ラジオ局の新米ディレクター・今井が嫌いだ。
事件にものすごく絡んでるわけじゃないんだけど、
それが最後まで読んだときに一番強く残っちゃった。


自己中心的な考え方とか無神経さとか。
あまりにも当然のように「自分の言うことは全て正しい」と
思っているかのような言動がなんだか気持ち悪くて。


自分の扱われ方やら環境やらに不満があったり、
周りに苦手な人がいたりというのは誰にでもあることだろうけど
それを思うがままに言葉にしたり我儘を通そうとしたり
そんなのは許されないってことくらいわかって当然の年だろうに。


連続殺人犯“ディープブルー”のしたこと、考え方は
もちろん認められるものじゃないというのはわかった上で
それでもまだ想像することはできる感じなんだけど
今井の言葉や態度にはいちいち腹が立ってイヤな気分になる。


身近にいる誰かのことが思い浮かぶから
ここまで嫌いだと感じてしまうんだろうか。