ふたつの山:オメテペ島 | ラテンなおやじのぐうたらニカラグア生活

ふたつの山:オメテペ島

 ニカラグアには大きな湖が2つあります。ひとつはマナグアに面したマナグア湖、もう一つはグラナダに面したニカラグア湖です。先住民語の名前で前者をショロトラン(Xolotlán)、後者をコシボルカ(Cocibolca)と言います。

 ニカラグア湖(コシボルカ)は、正確に計算したことはないけれど、琵琶湖の十数倍の面積で、一旦沖合に出るとそこはもう恰も大海です。このニカラグア湖は淡水鮫がいることで生物学上有名ですが、一般にはオメテペ島Isla de Ometepe)という観光地で知られています。嘘か本当か知らないけれど(ガイドブックによれば)、オメテペ島は淡水湖に浮かぶ島としては世界最大なんだそうです。

位置

 島は「ひっこりひょうたん島」の形をしており、北側をコンセプシオンConcepción)、南側はマデラスMaderas)という2つの火山で形成されています。コンセプシオンは今も時折噴煙を上げる活火山、マデラスは活動を休止しています。

 これもガイドブックの受け売りですが、オメテペとは、先住民のナワトル(ナワ)語で「オメテペトル」が変化したもので、文字通り「オメ ome」は2つ、「テペトル tépetl」は山を意味するそうです。そういわれれば、メキシコ・シティの東に万年雪を被った高峰で、ポポカテペトル(Popocatépetl)という山がありますから、このテペトルはやはり「山」の意味なのでしょう。

 ニカラグア政府もこのオメテペ島への観光客誘致に力を入れており、実際、エコツーリズムが好きな外国人がやってきます。ニカラグア在住の日本人も必ず一度は訪れる島です。


 リカルドおじさんは、実は今まで一度もオメテペ島には行ったことがなかったのですが(個人的にあまりエコツーリズムというのが好きではないので。同じ観光なら歴史遺跡、名所旧跡巡りの方が好きです)、しかし、さる9月4日、とうとうオメテペ島に行く機会が巡ってきました。観光じゃありませんよ!所用ができてしまったのです。マナグアからなら普通は最低1泊は必要ですが、所用ですから用事が済めばすぐに帰れということで、日帰りのハメになってしまいました。

 早朝4時起床、5時マナグア発、島に渡る桟橋のあるサン・ホルヘに7時着、フェリー(先進国の豪華フェリーを想像してはいけません)の出港が7時45分、島の北側にあるモヨガルパ桟橋までそのフェリーで1時間、島について南側の村までとんでもない道を小型トラックの荷台に乗って1時間、用事を済ませて昼飯を食べて再び荷台に乗って1時間かけてモヨガルパ桟橋へ。フェリーでまた本土のサン・ホル桟橋へ1時間。そこからマナグアに戻り、マナグア帰着は19時半。クタクタになって戻りました。


 朝7時過ぎの本土側のサン・ホルヘ桟橋です。このおじさんたちはフェリー船が入港するのを待っています。船の係留作業や荷物の積み出しを行うためです。 
サン・ホルヘ桟橋
 サン・ホルヘ桟橋から見たこれから向かうオメテペ島。左がコンセプシオン、右に遠く見えるのがマデラス。
コンセプシオンとマデラス
 フェリーです。載っているトラックから船の小ささを想像して下さい。全ての船が車を積載できる船ではなく、人間しか乗せられない船の方が多い。
フェリー
 船上から見た次第に近づくコンセプシオン。見にくいかも知れませんが、頂上に僅かながら噴煙が見えます。海抜1610mの山のため、10分おきくらいに雲の位置が変わります。しかし、円錐形の美しい山です。因みに、もうひとつのマデラスは海抜1394m。今回はむしろマデラスの麓の村まで行ったのですが、マデラスは霧のため全体像を見せてくれませんでした。
コンセプシオン
 フェリーは1時間で島の北側のモヨガルパ桟橋に到着します。降りるとすぐに大きな「歓迎」の立て看板がありました。
モヨガルパ桟橋
モヨガルパ桟橋
 下の写真は掲載をためらったのですが、いつも他人の顔をブログに曝しておきながら、自分だけ隠れているのもなんですから、敢えて読者の前に姿を曝しました。それと仕事に行くのに、こんないで立ちをしていたことを記録に残す意味で掲載します。ニカラグア・サンディニスタ的にゲリラ服を着てピックアップ・トラックの荷台に乗って移動です。往復2時間、トラックの荷台に立ってガタゴト道を揺られるたびに足で平衡を取っていると、翌日からふくらはぎの筋肉が痛みます。今も痛いです。因みに、リカルドおじさんがこのブログで読者の前に見苦しい姿を曝すのは、ここ に次いで2度目です。
サンディニスタ・ゲリラ
 トラックの荷台から見える、ニカラグア湖の湖岸。
湖岸
 道の両側にはバナナ畑が広がります。この他、とうもろこし畑、たばこの葉の畑を見ました。最近はゴマ(アホンホリ)の栽培も始まったそうです。観光で生計を立てている人も多いのですが、やはり主役は農業のようです。
バナナ畑
 自然はたっぷりです。椰子の木にとまった色彩鮮やかな鳥。「ウラーカ」という名だそうです。
ウラーカ鳥
 この木はなんでしょうか。日本人も最近はアボカド(スペイン語ではアグアカテ)を食べるようになりましたが、アボカドがこういう木になることを知っている人は少ないと思います。 
アボカドの木
 島の形が細く縊れた部分にある「オホ・デ・アグア」(Ojo de Agua)という湧水地です。コンセプシオンに降った雨が一旦地下に潜り、ここに湧き出しています。ニカラグアでこれだけ豊富な水が湧く場所は他に知りません。
オホ・デ・アグア
 オホ・デ・アグア(「水の目」という意味)のすぐ下の清流です。このすぐ下流では島民が洗濯をしていましたので、せっかくの清流はすぐに濁ります。こういう点が観光地としては落第点ですが、しかし、島民にとっては他に洗濯できる場所がないのでしょう。そもそも目の前に大海ようなニカラグア湖が広がっているのに、島には飲料水が不足しているそうで、これはもうブラック・ジョークです。ところで、この清流の藪で、リカルドおじさんは蜂か虻に首の後ろを刺されてしまい、今も腫れています。
清流
 用事を終えてモヨガルパの街に戻りました。教会と街の様子です。特段、特徴があるわけではないけれど、やはりどことなく本土の山間の村とは雰囲気が違います。
モヨガルパの教会
モヨガルパの街
 帰りのフェリー船上には、バナナを満載したトラックが載っていました。こういうケースがあるから、往路に自家用車を乗せて島に渡っても、帰路に乗せてくれるかどうか保証はありません。 
バナナ満載のトラック
 次第に遠ざかるコンセプシオン。
遠ざかるコンセプシオン


 慌ただしい滞在でしたが、自然豊かなオメテペ島を訪れることができて良かったと思います。

 では、「もう一度行きたいか?」と問われると、


 いや、もうこれで十分ですわ!何度も行くところやおまへん。

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