【男役部門】
3位が同票で3人となりました。
第3位
花組 瀬戸かずや 4票
大人の男、その渋み、色気、愛嬌を野暮ったくない形で魅力的に演じる力。
花組男役の黒燕尾、その確固たる造形美。
快挙の3位ですが、驚きよりも支持されてしかるべき結果と見ています。
バウ初主演を観劇できなかったのは非常に残念でしたが、リンカーンのスティーブン・ダグラス、ミー&マイガールのジョン卿&ランベス・キング、金色の砂漠のプリー、いずれも「助演」という言葉では足りない名演でした。
スティーブン・ダグラスの熱さ、激しさ、志を丁寧に演じたことで、リンカーン@轟悠の人物像がより鮮明に浮かび上がりました。
ダグラスの最期に男役芸の1つの極みを見ました。
ジョン卿は人を見る目があり、堅物そうに見えて愛嬌に満ちた人物像をしっかりと演じていました。
理想形の1人になったことな間違いありません。
また、ショーの銀橋デュエットで魅せる花男の粋も惚れ惚れするものでした。
(カレンダー、あまりにも素敵でしばらく静止してしまいました。。)
そしてプリー。
出来る人に、年次と演じる役は関係ないのですね。
「若作り」している感じが全くなく、想定している年齢にしかみえません。
愛らしく、青っぽく、でも内に秘めた情熱を後半発散させていく見事な役作りでした。
東京のお正月公演も楽しみですが、次作、「カクテル」を彷彿させるショー「Santé!!」で見せてくれるであろう伝統的な花組男役のショースタイルに大きな期待を寄せています。
第3位
星組 七海ひろき 4票
ときめかせてくれる男役芸、一段と増した華だけでなく、特に繊細でしっかりとした芝居への評価が高く、3位受賞です。
私も投票された方々のコメントと同意見で、ブリドリ+NEXTでの活躍はもちろんのこと、実力的な部分で飛躍の年だったと思います。
無駄がなく、キレのあるダンスから漂う彼女にしか出せない色気。
ブリント、川路利良の深みと味わいのある演技。
自分本位、自己主張に頼る演技ではなく、物語の中、登場人物の中での立ち位置をきちんと理解し、的確に表現することで役が活きることを彼女の芝居は証明しています。
特に川路利良は一言の台詞で彼の生き方、価値観が伝わるほどの説得力でした。
宙組で培ってきたものが、星組の芝居全体にも非常に良い影響を与えていると思います。
芝居だけでなく、ショーでも芸が客席への愛に溢れていて毎回うなります。
油断しているわけではないのですが、なぜこちらがちょっと気を抜きかけたタイミングでウィンクを放てるのでしょうか(笑)。
舞台袖にはける時、「この場面は終わりかな」と思った瞬間にさりげなく、など。
センスが凄過ぎます。
ブリドリ+NEXT、バウ主演、いずれも抜擢ではありません。
きちんと積み重ね、結果を残したスターに与えられる当然の評価であり、チャンスです。
でもまだまだ、もっと溢れ出る力があると見ていますので、今年もより一層の活躍を期待しています。
第3位
宙組 朝夏まなと 4票
「エリザベート」のトート役を中心に確かな支持を集めました。
トートは役としての完成度の高さを評価するコメントが多く、私の周りでも宝塚版、東宝版も含め1番、あるいはそれに近い評価をしている方がかなりいました。
トートだけでなく、2016年の活躍は気負い過ぎず、肩の力が程良く抜けたことによる実力の最大化が大きいと見ています。
私はトートだけでなく、シェイクスピアや「HOT EYES!!」での活躍にも惹かれました。
彼女は再演や原作物に限らず、オリジナル作品でもその繊細な芝居心を活かした役作りができる数少ないスターの1人であり、シェイクスピア本人を演じるという役としては意外なものも自然に演じていました。
また、ショースターとしての圧倒的なセンス、魅力、組を巻き込んで盛り上げる力が「HOT EYES!!」で炸裂したと思います。
藤井先生らしい作風ですが、朝夏まなとのショーの推進力が作品のキザな世界観をより刺激的なものにしました。
私は朝夏まなとの大きな転機は宙組異動だと思っていますが、トップスターになったことももう一つの転機だと最近考えています。
責任感、包容力、そして柔軟性が格段に増していて、観ている側も気負わずに楽しく、包まれるような気分になるのです。
その中に散りばめられるトキメキと刺激が、朝夏まなとというスターへの中毒性につながるように思います。
スマホの壁紙を「王妃の館」に変えました。
ロック画面でも顔が時計に重ならないように調整しています。
上田久美子先生との再会では、また新たな伝説的舞台が生まれる予感がします。
まずは実咲凜音との集大成、ゴールデンコンビ成就をしっかりと見届けたいと思います。
第2位
雪組 望海風斗 11票
作品や役、場面の魅力を目一杯引き出す圧倒的な歌唱力が今年も支持されました。
男役部門を設けた2013年から4年連続で5位以内に入っており、実力、魅力共に一過性のブームではなく、確かなものと言えます。
また、毎年新たな作品、役への挑戦に成功し、話題性にも事欠かず、誠実に結果を残し続けている点も根強い人気のベースにあると思います。
2016年の望海風斗、一番のトピックは「ドン・ジュアン」日本初演の成功でしょう。
(再演否定ではなく)再演のイメージがわかないというのは、成功の一つのモノサシだと思います。
望海風斗はドン・ジュアンそのものでした。
数え切れないほど書いていますが、彼女は劇中歌(ショーでも物語る歌)が素晴らしいのが最大の魅力だと思います。
望海風斗が歌っているのではなく、役の人物が話している、語っている、叫んでいる歌。
旋律、歌詞に込められた心が常に、確実に響いてきます。
加納惣三郎、ドン・ジュアン、ジム・クリード。
歌唱力によっても彼女の役者としての幅が広がりました。
特にジム・クリードの「癖のない人柄」はしばらく観なかった役で、抑えを効かせるのとはまた違う、程よく自然体な演技が非常に上手かったと思います。
安定感、安心感とそれをいい意味で裏切り続ける躍進。
はじめての中日劇場公演遠征を計画しています。
「幕末太陽傳」では「きっとこの役を演じるのでは」というイメージがあり、それはまた彼女にとって大きな転機になる役だと思っています。
今年も止まることを知らない飛翔の年になると信じています。
男役部門、第1位は・・・
第1位
星組 北翔海莉 28票
北翔海莉が3度目の1位で有終の美を飾りました。
毎年上位に入っていますが、それだけの・・・いや、それ以上の仕事をしており、常に進化し続けている点においても相応しい結果だと思います。
投票理由は語っても語り尽くせない方、理屈抜きな方が多かったです。
つまり、きっと彼女の全てなのではないでしょうか。
感動的な実力。
ファン、スタッフ、組子への細やかな心遣い、愛情。
全て兼ね備えてもなお、謙虚で、自分に厳しい姿勢。
北翔海莉の舞台に癒され、楽しみ、勇気や希望をもらった方々の感謝の想いも一票に込められていました。
2016年は退団の年になりましたが、特別そういう意識で取り組んでいた印象はなく、1人の舞台人として、タカラジェンヌとして、一作一作に全てをかけて集中する姿に変わりはなかったです。
退団に向けてしんみりモードになることも、かといって突然力み過ぎて不自然な舞台になることもなく、地に足がついた、だから到達できた最高のフィナーレだったと思います。
本当におめでとうございます!
なお、6位は3票で早霧せいなでした。
今の雪組の繁栄、栄光、一番の立役者は彼女であることは間違いなく、「るろうに剣心」「ローマの休日」という大作への挑戦、年末公演はオリジナルの芝居とショーの構築、全て見事に成し遂げた結果は敬意を持って評価されるべきと考えています。