早霧せいなの退団に捧ぐ

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最近、ふと

 

「自分は宝塚歌劇に青春を観ているのではないか」

 

と思うことがありました。

 

こんなことはファンになってから初めてです。

 

 

青春だなんて、言葉にするのも、こうやって文字にするのも何だか恥ずかしいですし、照れ臭いのに。

 

それでも心のどこかで自分の青春は終わっていない、今も青春なんだとひっそりと強がってみたり。

 

 

今、そんな感情が自然と湧き上がり、躊躇なく「青春」を語ることができるのは(もう5回も使ってる!)なぜだろうと考えた時、早霧せいなのおかげだと確信できました。

 

(他との比較ではなく)早霧せいなが、彼女が率いる雪組の舞台が私が観ている、求めている青春なのだと。

 

明るく、爽やかに。

真面目に、真剣に。

 

あらゆる瞬間において外連味のない早霧せいなに、私は勇気をもらっていることに気付きました。

 

 

 

2017年7月23日、雪組トップスター 早霧せいなが宝塚歌劇団を退団します。

 

 

 

「絆」にしてもしかり。

 

私はずっと絆なんて大切な概念、安易に言葉にするものではないと思っていました。

 

言葉にすればするほど、安っぽく、薄っぺらくなるのではないかと。

 

それが早霧せいなが言葉にした時、自然に受け入れられ、納得できたのです。

 

言葉が先に出たのではなく、組子と、ファンと誠実に絆を築こうとする強い意志、本質を追求するビジョンが見えたからなのだと思います。

 

この絆は最初から完成形、完全形だったのではなく、毎公演じっくり紡がれ、強くなっていきました。

 

 

見えないどころか、どの五感でも感じることができないはずの絆が、雪組の舞台に確かにあると実感できる。

 

これって凄いことではないでしょうか。

 

きっと私達は、もう五感の全て・・・だけでなく第六感やそれ以上のものでも絆の存在を実感、認識しているのです。

 

 

 

一方、早霧せいなが描いた「青春」や「絆」はいずれも本物なのに、重くなり過ぎず、説教臭くならないのも魅力でした。

 

これだけの美しさとオーラ、特にダンスや芝居に象徴される確かな実力のあるトップスターにも関わらず、親しみやすさと愛嬌がある。

 

本気で臨むから本質に迫ることができ、本気で演じるからユーモアがユーモアになる。

 

彼女の人気はバブル的なものではなく、今までも、そしてこれからもずっと愛されてしかるべきなのです。

 

 

 

「手の上で転がされた」と表現した咲妃みゆとの関係、あながち冗談ではない気がします。

 

つまり、咲妃みゆが懐に入り込んだことで、早霧せいなは彼女を愛を持って厳しく指導、引っ張っていくことができたのですが、気づいたら早霧せいな自身も咲妃みゆにのめり込んでいて、その魅力を引き出されていた、という相関関係です。

 

早霧せいなが魂を注ぐことができる相手役にめぐり逢えた運や縁もまた、彼女の実力と努力が引き寄せたのだと思います。

 

 

 

 

最初に「凄いな」と感じたのは「ロジェ」のクラウスでした。

絶対怪しくなさそうな感じが逆に異様に不気味で恐ろしく、彼女の徹底した役作りが忘れられません。

 

ショースターであるのと同じくらい、芝居心のあるスターだと思います。

 

青い炎がほとばしる情熱的な男役であり、その中に僅かに垣間見える儚さに惹かれます。

 

そんな肉体的、精神的な強さの影に潜む儚さも、早霧せいなに青春を観る理由の一つです。

 

 

印象的な役、好きな役は挙げればきりがありませんし、全てその時期、瞬間においてベストと言っても過言ではありません。

 

一つに絞るとすれば、「幕末太陽傳」の居残り佐平次。

 

人間味の大全集みたいな役であり、一つの作品、役を通して男役 早霧せいなの魅力を存分に発揮したと思います。

 

「首が飛んでも、動いてみせまさぁ!」

 

と見得を切った時の佐平次の覚悟と、不思議なまでの清々しさが忘れられません。

 

彼女が演じると、暗くならないんですよね。

(その後のホッとした表情に観る者の心もほぐれます)

 

 

死ぬつもりでやってきた相模屋で、出会う人々の生きる姿に勇気をもらい(死なせてくれないくらい働くことになる運命もまた面白いですよね)、命の限り生きてみようと奮い立つ姿。

 

「この人でなし〜!」と言われながら運命の人と共に銀橋を渡って逃げ、彼女と手を取り合って旅立つ姿。

 

この幕切れで自然に「アハハハ」と笑える演出と演じる2人の妙。

 

退団公演史上屈指の革命的な役だと思います。

 

 

 

早霧せいなと咲妃みゆの雪組が駆け抜けた青春は今日、最高の形でその幕を閉じようとしていますが、頼もしいのは志を受け継ぐ次のトップスターがいることです。

 

望海風斗。

 

早霧せいなは望海風斗が入りやすいような組の環境、雰囲気を整え、舞台ではトップと2番手という緊張関係を維持し優しく、厳しく対峙しました。

 

馴染むことはあっても、だらしなくなることは決してありませんでした。

 

早霧せいなと望海風斗もまた、個性の違いが組んだ時にぴったりとハマる(トップと2番手の)コンビだと思います。

 

この点において、早霧せいな、咲妃みゆ、望海風斗は最高にバランスの取れた勢いのあるトリデンテだと思います。

 

 

希望の海には、希望の帆を揚げて歩むパートナーがいます。

 

まだ課題もありますが、無限の可能性を秘めた真彩希帆とどんな航海が待っているのか、新たな時代にも夢と希望を抱きながら、何があろうと応援していきます。

 

 

 

早霧せいなが宝塚の男役を、トップスターを極める最高にドラマチックな本日の千秋楽。

 

心からの敬意と感謝を込めて、彼女が魅せてくれた青春の''S''も伝説として胸に刻みたいと思います。

 

 

卒業おめでとう。

 

情熱の舞台。

唯一無二の強くしなやかなダンスの造形美。

愛すべき人柄。

 

卒業しても永遠に忘れることはないですし、思い出すたびに胸が高鳴ることでしょう。

 

宝塚の面白さ、楽しさ、切なさ、トキメキ・・・あらゆる魅力を常にフレッシュな舞台で魅せてくれたことに心から感謝します。

 

そして観客を、ファンを愛し、想ってくれた以上にこれからも愛される幸せな人生になりますよう!

 

 

 

 

 

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