銀橋Weekly

宝塚歌劇研究者、銀橋のアカデミックでミーハーな宝塚ブログ。


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「Greatest HITS!」というショーのタイトルが示す通り世界中の名曲、歌がメインのショーなのですが、まず触れたいのはダンスです。

 

そう、雪組のダンスが個々のキレ、群舞のまとまり、いずれも著しく進化しているのです。

 

もちろんゴールや完璧はありませんし、細かい部分は発展途上なところもありますが、そんなことは気にならないほどダイナミズムと緻密さが共存したダンスの応酬に圧倒されました。

 

 

私は組(組子)がトップスターに引っ張られるということはあると思っています。

 

早霧せいなの時代に入って雪組のダンスは端正で緻密な造形に磨きがかかっており、今回それに圧倒的なエネルギーと迫力が加わったように感じました。

 

例えばオープニングの主題歌を始めとするソウルフルなナンバーは、ノリと勢いだけで押し切ることも可能ですが、1人1人けっして雑になっていないのです。

 

魂を解放し、遊び心も存分に魅せるけれど、それは「いい加減」とは全く違うものであり、骨太なエンターテイメントに仕上がっていました。

 

 

 

とにかくしっかりと、よく踊る雪組。

 

 

 

早霧せいなと咲妃みゆのデュエットダンスの数々、よく見ると意外にもベタベタ触れ合っている場面はあまりないんですよね。

 

このコンビは、もう物理的な接触時間だけで勝負するような次元ではないのです。

 

心が、魂が、絶対的な信頼関係で結びついており、だから寄り添って踊っている姿を観るだけでも心が満たされ、充実感が溢れるのだと思います。

 

心が手を繋いでいるトップコンビ。

目には見えなくとも、私は確かに感じています。

 

 

2人が1つの軸になるから、組子は自信を持って思いっきり踊れるのでしょう。

激しいダンス、厳しい技術でも皆楽しそうですし、表情が豊かなのです。

 

 

 

第4場「Midnight Illusion」での早霧せいなと望海風斗のデュエット、ダンスの絡みはもちろんのこと、2人の表情だけを追いかけても相当面白いです。

 

誘い、翻弄する側(鏡の男@望海風斗)とさ迷い、翻弄される側(さ迷う男@早霧せいな)の表情は刻々と変化していきます。

 

全く異なる個性、繊細さを持つ2人のスターが、それぞれの快楽に満たされていくプロセス。

 

官能的とは例えばこういう場面、2人の関係性に相応しい表現なのだと理屈抜きに感じました。

 

(映像、特にブルーレイをお持ちの方には、2人の目の奥だけを観るのもオススメします。目の奥だけでも相当物語っています)

 

 

 

表情豊かに、よく踊る雪組。

だからこそ名曲が、誰もが知る歌の数々が、リズムと彩りに煌めいたのかもしれません。

 

 

このショーで使用されている楽曲のほとんどは一歩間違えると薄っぺらく、安っぽく聴こえる可能性があるほどの王道の名曲ばかり。

 

多くの人が慣れ親しんだ曲を使うのはハイリスク&ハイリターンなのです。

 

稲葉先生の勇気ある選曲の背景には、雪組への期待と信頼があったのだと思います。

 

 

 

それにきちんと応えた雪組、もちろんよく歌ってくれました。

 

あえて最初に書きますが、感心したのは影ソロやコーラスの成長。

 

男役、娘役、それぞれ1人のいわゆる「歌うま」スターが独占するのではなく、各場面下級生を中心に入れ替わる影ソロやコーラス。

 

最初から上手かったのではなく、きちんと努力して、磨いてきた結果の歌声。

やはりやればやっただけの成果は出るのです。

 

 

 

咲妃みゆの「Material Girl」は新しい挑戦。

 

「Material Girl」ではない、というより真逆のようなキャラクターの咲妃みゆが奮闘する姿が非常に新鮮でした。

 

呼吸を乱さず何事もないかのように歌っていますが、あのダンスでよくあれだけ歌えるなと毎回彼女のタフネスに感動しました。

 

 

 

中詰、クリスマスメドレーの流れも心地よい演出でした。

 

鳳翔大と月城かなとのマイペースな「つかみ」に毎回笑わせてもらいました。

 

焦らず、のらりくらりなのが最高で、そのペースがあるから早霧サンタにリズム感、躍動感が生まれるのです。

 

それにしても早霧サンタ、あんなモコモコの衣装で飛び跳ねたりできるのは普通じゃないはず。

身体能力、特に体のバネはずば抜けているとしか思えません。

 

 

 

そしてクリスマスの雰囲気を残したまま第7場「This is the World」に移行していく流れも見事な演出。

 

ここは望海風斗が徹底的かつ圧倒的に聴かせてくれました。

 

歌声の表情が無限にあるのではないかと思えるほど、歌詞の意味と心情がダイレクトに伝わる歌唱力。

 

刻々と変化していく表情、底を突くことのない物凄い表現力のスタミナ。

 

いつまでも、どこまでも歌い続けてほしい、そしてその歌について行きたくなる不思議な魅力。

 

ベートーヴェンの「5番」を使うのは今回のショーの中でも最も挑戦的な試みだったと思いますが、望海風斗の歌唱を筆頭に、激しく物語る群舞の豊かな表現力もあり、私は楽曲に負けない場面が成立したと思っています。

 

 

 

月城かなとのことは絶対に書いておきたくて。

 

歌、ダンスともに技術はもちろんのこと、スケールの大きさをひしひしと感じました。

 

表情、存在感がもう「若手」とか「中堅」という枠から羽ばたいているんですよね。

いつ、何がきても立ち向かえる、苦労も乗り越えられる強さを身につけたと思うのです。

 

ラインダンスを誘う銀橋ソロを聴きながら、感慨深くなりました。

 

「日本物の雪組を継承します」

 

かつて堂々と宣言したその想い、月組に行っても大切にしてほしいです。

 

どういう形で成就するかは、まだ分かりませんから。

 

でもきっと、しかるべき時に、最高の形で・・・私は期待とともにその成就を確信しています。

 

 

 

早霧せいなの雪組は、芝居では原作物への意欲的な取り組みがありましたが実は大劇場での一本物は一作のみで、ショー作品の経験値も非常に高いと言えます。

 

比較することが主眼ではありませんが、それでも「ファンシー・ガイ」の頃を振り返ると、組全体のショーの力は格段に上がっていると思います。

 

早霧せいな&咲妃みゆの退団公演、雪組の偉大なる時代の集大成となる公演でもショーがあるのは非常に良いことだと私は考えています。

 

 

さあ、ダイナミズムと緻密さが共存する雪組のショーのレベルとボルテージはどこまで上がるのでしょうか。

 

「Dramatic “S”!」

 

無限の可能性を秘めたドラマティックなショーが栄光へ駆け上がっていく様をしっかりと見届けたいと思います。

 

 

 

雪組公演「私立探偵ケイレブ・ハント」公演レポート

 

 

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