以前から気になっていました、

大好きな作家小川洋子先生原作のフランス映画です。

私にとっては初のフランス映画鑑賞です。

 

 

サイダー工場で働くイリスは、ちょっとしたミスで薬指の先を失ってしまう。

それをきっかけに工場を辞めたイリス。

仕事を探すと、ある研究室にたどり着く。

そこは依頼人が持ち込んだものを標本にし保管する場所だった。

事務員に採用されたイリスは、所長から靴をプレゼントされ…。

 

ヒロインは「007 慰めの報酬」のボンドガールを演じたオリガ・キュルレンコさん。

可愛かったー。ファッションもどれも素敵。これが映画初出演とは。

 

ヒロインはプレゼントされた靴をずっと履くように言い渡され、

同時にそのどこか不思議な所長にひかれ

いつも使わなくなった浴室のタイルの上でセックスするのですが、

最初に体を重ねるシーンが、

囚われたい心のまま裸で身を横たえるのですが

まるで標本にされるのを待つ蝶のよう。

静かでとっても美しくエロティックです。

ですがそれ以上に官能的なのが靴を履かせるシーン。

足がするりと赤い靴に入り、足首で紐をきゅっと結ぶ。

なんでこんなに綺麗でエロいの…。

 

そして原作にはない昼と夜で相部屋をする

男性のエピソードもありますが、彼は彼女に会えないまま終わります。

それはすでに彼女が囚われているから、

それとも彼は時の流れそのものだったからか…。

 

中盤を過ぎると、イリスの前任者が「突然いなくなった」ことが分かり、

標本室にはイリスと同じ靴を履いた女性の写真の標本が見つかり、

あることを示唆されるわけですが、

そこからどこかサイコホラーのような雰囲気も…。

もちろんこれはラブストーリーですが!

 

ラストシーンはもう戻れない場所へ行く後ろ姿。

それでもそれは彼女の望みで。

映像は本当に美しかったです。

 

小川洋子先生の作品は、

登場人物の動きも、心も、関係性も、その行き着く場所も

全てが「あるがまま」という雰囲気がします。

出会って、つながって、そのままとどまっても分かれてもそれは

そういうものであったから。

それに逆らう事も出来ず逆らうこともない。

 

まさしくそんな空気が映画の中に流れていました。

監督には、遠い国のこの作品を見出し、表現してくださり

本当に感謝したいです。

100分、いい時間でした!

 

【原作感想】

 薬指の標本