10種の遺伝疾患患者からiPS細胞 米大など | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

10種の遺伝疾患患者からiPS細胞 米大など

脳神経の変性で身体が思い通りにならなくなるパーキンソン病など10種類の遺伝性疾患の患者から、皮膚か骨髄の細胞を採取し、新万能細胞の人工多能性幹(iPS)細胞を作ったと、米ハーバード大などの研究チームが12日までに米科学誌セル電子版に発表した。増殖させて長期間研究できるため、発症メカニズムの解明や新薬開発に役立つと期待される。研究チームはこれらのiPS細胞を世界の研究者が利用できるようにする方針。

対象疾患はパーキンソン病のほか、ハンチントン病、筋ジストロフィー、小児糖尿病、ダウン症など。患者は男女どちらかで、年齢は幼児から57歳まで。iPS細胞を開発した山中伸弥京大教授らと同じ4遺伝子か、発がん遺伝子を除く3遺伝子をレトロウイルスを使って患者の細胞に導入する方法を採った。

ハーバード大などの別の研究チームは1日、遺伝性の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)患者からiPS細胞を作ったと発表。患者からの作成は初めてだったが、対象疾患が拡大した。今後も、ダウン症のようにマウスで研究しにくい疾患のiPS細胞作成が望まれる。
(FujiSankei Business i.)
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200808130049a.nwc





難病患者の細胞からiPS細胞、原因解明に期待…米研究チーム

iPS細胞:10難病患者の細胞から作成…ハーバード大

の追加情報です。


「山中伸弥京大教授らと同じ4遺伝子か、発がん遺伝子を除く3遺伝子をレトロウイルスを使って患者の細胞に導入する方法」とありますが、正確には、山中先生が用いたエコトロピックウイルスではなく、パントロピックウイルスを使っており(「ヒトiPS細胞の樹立 」を参照)、レッシュ・ナイハン症候群のiPS細胞作製には、Nanogを加えた5遺伝子を使っていたり、ドキシサイクリン誘導レンチウイルスを使っていたりします。


この話題について取り上げてない新聞もありますが、結構重要な研究です。

こういうことができるということは、みんな分かっていたので、サイエンティフィックには重要でないかもしれませんが、前々からこのブログでも主張しているように、iPS細胞は再生医療への応用だけでなく、今まで治療法のなかった難病に対して、病因を探ったり、薬剤の効果・毒性を試験することに非常に有用であると考えられており、これらの研究は、その第一歩であるからです。

アメリカの人たちはこの重要性をよく認識しているのですが、日本では再生医療への応用ばかりがクローズアップされて、あまりニュースになりません。

もっともっと一般の方々にも認知されように報道して欲しいのですが。。

じゃないと海外の製薬企業にあっという間に先を越されてしまうかと。。