sei様罠リク~バランスが大事です(11-1)~ | ななちのブログ

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このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「あ、あわわわわ……あわわわわわわ………!!」



 口から零れ出る、意味のない言葉達。

 でも、そんなものは私自身の耳には聞こえていなかった。



 なぜか早朝に事務所に呼ばれたと思ったら、社長命令でラブミー部に待機させられ。

 そして、絶対観るようにと言われたテレビ番組を見ていると。



 頭の中が真っ白になり、口から心臓が飛び出るほどのスキャンダルが報じられていた。

 

『ありがとうございます。皆さんが温かく俺達のことを見守ってくださるなら、あの娘からも良い返事がもらえそうです。』

『頑張ってください!!敦賀さん!!』

『はい。』

『大丈夫ですよ、昨日の様子だと、どう見てもイチャイチャバカップルにしか見えませんでしたから!!』

『あはは、そうですか?そう言ってもらえると嬉しいですね。』



 嬉しくないわよ、何言ってくれちゃっているのかしら、この意地悪俳優は~~~!!



『京子さんに良い返事をいただけたら、すぐに皆様にご報告いたしますので。…楽しみに待っていてください』

『はい!!』



 『敦賀さん、頑張ってください!!』『後もうひと押しですよ!!』



 などと。

 なぜかものすごい勢いで声援を受けている先輩俳優。



 その内容が例えば、大きな大会を控えたスポーツ選手への声援であったならば。



 ……特に違和感はなかったかもしれない……



 ……いえ!!違和感ありまくりだわ!!だって、あの人達、報道マンなのよ!?真実の追求をほっぽりだして、何を声援なんか送っちゃっているの!?おかしくない!!??おかしいわよね、応援はあの人達の仕事じゃないわ!!真実を求めて裏付けをとるのがあの人達の仕事じゃない!!何勝手に納得しちゃっているのよ~~~~!!!!……



「恐ろしい……これがもしや、妖精界の魔法……?……魔法と言うより邪法に近い気もするけれど……。いえ、でもやっぱり……。」

「ブツブツと忙しいことだね?最上さん。」

「ヒィッ!?」



 ……報道関係者を笑顔ひとつで丸めこんで、あまつさえ全員を味方にしてしまえるとは、さすがは先生と女神の間に生まれし妖精国の王子様……。



 現実から逃げるためにどうでもいいことを考えていた私の耳に、美しいテノールの声が聞こえる。



「の、ののののの、ノックをしてください!!っていうか、私、確か一応部室に鍵を……!!」

「クスクス…あんなもの、俺と君との愛の障害になりはしないよ。」



 手に持つ安全ピンをヒラヒラさせながら言ってみせる敦賀さん。

 ……も、もしや、ピッキングしたのかしら!?



「さてと。こうして俺達のことは世間に知れ渡ることになったんだけれど……。どうしようか?」

「ど、どどど、どうもこうもありません!!さっきのは気の迷いでしたと釈明をしてください!!」

「どうして?俺は君が好きで、君は俺が好き。これは間違いないことだ。確定している想いが迷っているわけがない。」

「~~~~~でもっ!!」

「『でも』、何?」

「わ、私は………。あ、あなたに、相応しく、ありません……。」



 敦賀さんにどれだけの人が惑わされ、私のことを認めてくれたとしても。それは私自信を認めてくれたことになりはしない。



「敦賀さんの隣に相応しいのは、あなたに守られる存在じゃなくて、あなたを守る事ができる人です!!」



 私は、いつも敦賀さんに助けられてきた。

 今の報道も、私のバッシングがなかったのは『敦賀蓮』の業界における力によるところが大きいはず。



 演技で助けられ、仕事で助けられ、私生活で助けられ……。



 守られてばかりの私が。

 お荷物以外になれない私が。

一番、敦賀さんの隣にいてバランスの悪い私が、彼の傍にいていいはずがない。











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