はるりん様リクエスト~マドカ(5) | ななちのブログ

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このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「でも、敦賀さん。」

「うん。」

「私は、蓮が大好きです。」

「っ!!最上さん……。」



 俺が汚いと言ったその花を、君はそれでも好きだと言う。



「敦賀さんにとっては、汚い花だとしても。」



 泥の中で咲く花であったとしても。純粋であるはずがなく、また、善良であるはずもない花だとしても。



「私にとっては、とても美しい花です。」



 君は、「綺麗だ」と言ってくれるのか。泥の中から見出し、掬いあげてくれるのか。



「大好きです。」



 そして、君は、愛してくれるのか。



「最上さん……。」



 じわり、と視界が滲みそうになり、俺は慌てて瞳を固く閉ざした。



 ……俺がどれだけ否定し、愛さなかったとしても。君が愛してくれると言う、それだけで……



 それだけで、簡単に救われてしまう、俺の心。



 君が好きだと語る『蓮』は、決して俺のことではないけれど。



 それでも俺は、君に勝手に救われる。



「蓮の花は暑い夏に見ても涼やかに見えますし。ピンクの花は可愛いし、白の花は心が洗われるような気持ちになります。花は早朝に咲くんですよ?その瞬間を見た時は私、本当に感動しました。」



 笑顔で紡ぎ出す君の言の葉は、それだけで少しずつ、心に巣食っていた想いを浄化させる。



「蓮の葉って、水を弾くんです。だから、雨水の雫が綺麗な水玉になるんですよ。とっても不思議ですよね。」



 蓮を不思議というけれど。

 俺には最上さんの方が不思議な存在だ。



 何も知らないはずなのに。

偽りだらけの俺の真実を、知らないというのに。



それなのになぜ、俺の心を救ってくれるのだろう?



蓮の花は浄土の花というけれど。

俺にとっては、最上さんこそが、救いの花。



 愛しい唯一無二なる花なのだ。



「最上さん。……俺……。」



 ドクン、ドクンと高鳴る想い。

 口に出すことは許されなかった、少女を想う気持ちが今にも身体中から溢れ出てしまいそうだ。



 ……あぁ、叶うことならば。この至上の花を、俺の手で手折ってしまいたい。










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