光と闇のフォークロア~sideキョーコ(8-1)~ | ななちのブログ

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このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

 

≪ご案内≫

このお話はキョーコの誕生日&クリスマス企画として、「ひがなきままに」のだぼはぜさんとスタートさせたコラボ作品です。

だぼはぜさんサイドでは蓮編&CM本編(ゲームのCMなのです!!)、私サイドではキョーコ編を掲載させていただいております♪ななち、リンクの貼り方がわからず…なのですが、お気に入りブログのほうにだぼはぜさんのサイトのアドレスがあるので、だぼはぜ様宅をまだ知らないぜ!!という方がいらっしゃいましたらぜひとも訪問してください!!格好いい蓮様と、心惹かれるCM本編(ゲーム好きにはたまらんぜ!!)がございます!!そのほかにもたくさん読んでいておもしろい作品がいっぱいなので、ぜひともご覧ください!!

では、以下からどうぞ~


 


 ―――どうして……―――



 爆炎に包まれながら、理解できない想いに苦しむ。

 『彼』は、『私』を裏切ったのだ。

 裏切り者。憎むべき相手。倒すべき敵。



……何より、世界の歪みの元凶。この世にいてはならない存在。



 それを、頭では分かっているのだ。

ティアとしてカイルに持つべき感情も、光の勇者として考えるべきことも……『最上キョーコ』として、生きていくためにも、『彼』は私たちの世界でいらない存在。



―――なのに……―――



睨みつけながら。剣を構えながら。



「私は…ここまで戦ってきた目的を果たすために…そして、私を信じて戦ってきてくれた人たちの為に」



建前を、並べながら。



「っ…あなたを…倒すわっ、魔王!!」



そう、決意をしながらも。



―――……どうして……―――



どうして、剣の先に見える狂気に濡れた瞳をした男を、本気で憎みきれないのだろう……。



「随分と…馬鹿にしてくれるのね?私との戦いは『遊び』だというの?」

「フフフ…魔族にとって、戦いには血が流れ、人々の怨嗟がこだまする最上の遊びなのだよ。君のような光の具現者をこの手で倒すことも含めて、ね」



 これほどひどい言葉をぶつけてくる男を。『私』を遊びながら殺してしまおうとするような男を前にして。



「倒れるのはあなたよ、魔王!」

「どうかな?光の勇者殿」



 『倒す』と決意した想いから、逃げ出したくなる様な衝動にかられるのは、なぜなんだろう?





*******





 ―――カイル……―――

 ―――ティア……―――



 交える剣。惑う心を打ち消して、何度も何度も打ちつけ合う。

 カイルの振るう剣に迷いはない。

 カイルとして…そして、敦賀さんとして、私に何度も教えてくれた剣筋。力の強い者に対する時の心構えと、私の長所を活かした戦い方を、指導してくれたのは、紛れもない目の前にいる『彼』。



 この場に相応しくない、とんでもない思い出が…お互いの名前を大切に呼び合った、バカバカしい思い出が、なぜかこんな時に浮かんでくる。



 ―――ダメよ!!―――



 そんなことを思い出している時ではない。今は、どちらかが生きるか死ぬかの戦いなのだ。その場に、こんな思い出は必要ない。



 ―――私は、光の勇者……―――



 例え憎みきれない相手であったとしても。

 裏切られてなお、愚かな想いを向けてしまう…どこかで信じようとしてしまう、バカバカしい感情を持っていたとしても。



 『私』は、光の勇者なのだ。

 『魔王』を倒すために、多くの人の助けを借りながら…たくさんの犠牲を払いながら、ここまでやってきた。

 倒すべき魔王が目の前にいる。この瞬間に、その他の感情に囚われるべきじゃない。

 でも……



 ―――苦しい、苦しい、苦しい…………―――



 苦しいのだ。

 想っているのに。こんなにも好きなのに。……愛して、いるのに。

 

 裏切った相手をそれでも愛するなんて、馬鹿女だと思う。

 目の前にいる男を倒すことが最大の使命であるのに、それでも惑う心を持っているだなんて、生きている資格がないとさえ思ってしまう。



 なのに……



 ……剣をぶつけあう、自分を倒そうとする男の目にも、まだ『私』を想ってくれる気持ちが残っているんじゃないかと……



 そんな、馬鹿な期待をするだなんて。



 もう、いっそ私こそが。



―――消えて、いなくなってしまいたい……―――








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