君を、想うよ。遠く離れた今だって、君を想い続けている。
『レン王子!!また王妃様のお言葉を無視しましたね!!』
『いいじゃないか。それよりキョーコ。あの山まで行こう。お前のペガサスを使えばひとっ飛びだろう?』
『~~っ!!王子!!王子はこの国の正統な王位継承者なんですよ!!だからしっかりと…』
『ほらほら、早く行こう。』
『王子ッ!!』
『ついたらお前の好きなこの笛の音を聞かせてやるからさ。』
『でっでも……』
『ちょっとは気晴らし、させてくれよ。戻ったらさ、お前の言うこと何でも聞いてやるから。』
『……本当ですね?』
『もちろんだよ。』
あの日の約束は、違えてしまった。王位継承争いに嫌気がさした俺は、キョーコにすら告げずに国を抜け出した。
思えば、あの日以来ずっと…。俺は、君との約束を破り続けているのかも、しれないね。
『必ず生きてシレジアに帰る、そうですよね。』
『ああ、俺は死なない。だからキョーコも絶対死ぬな!』
『はい!約束します。』
この約束を、君はあの死闘の中でも守ってくれた。
なのに、俺は……。
「…キョーコ…。」
あの日……。瀕死の身体で闘いに挑み、破れてしまった、あの運命の日。それでも俺は、キョーコの元へと戻った。
でも、君は知っていたのだ。死した俺の身体を生き返らせた竜の化身に、俺の心の一部を預ける事となったのを。
…もはや「俺」と言う存在が、俺のものではなくなっていたことを。
人間ではなくなってしまった俺は、国にいることも、彼女の傍にいることもできなくて…。守るべき国…そして、母と、幼い子ども達…、それらを全て君に背負わせ、俺は君の傍をまた離れる道を選んだ。…その道しか、俺にはなかったから。
「……キョーコ……。」
君を愛する男は山といた。素直で可愛い君のことを、愛していたのは俺だけじゃない。……君は、俺と結ばれなければ、もっと幸せになれたのかもしれないのに……。俺は君の人生を、俺の運命に巻き込んだ。
…俺を、恨んでいることだろう。半分しかない俺の『心』は、いつだって君への想いに怯えていた。俺を憎んで、恨んで…そして、泣いているかもしれない。
そんな君の傍に行き、再び一緒に過ごすことも謝ることさえも叶わなくて…。こんな俺自身が情けなくて。
念じれば風が教えてくれるのに。念じれば分かるのに。君の様子を知ろうとは、しなかった。
「…………。」
風が、教えてくれる。俺達の息子が教えてくれたことが事実だと。…この世に、君はもういないのだと。
久しぶりにシレジアの様子を確かめるように祈った『風』は、最期の瞬間の君の想いまでも乗せて俺に運んできた。
―――レン様。愛しています…―――
「…ごめん…」
優しい、優しい風。
人としての半分の「心」を奪われた俺の心に滲みいるのは、彼女の深い想い。優しくて…どこまでも穏やかな、一途な気持ち。
……君はこんなにも俺を想ってくれていたのに……
それでも。人じゃない俺は君に会うことができない。…こんな、中途半端な人間のままで、愛する人の傍にどうしてもいられなかった。
「……キョーコ…、キョーコ……。」
それでも…ごめん。これだけは、どうしても伝えたい。君の愛してくれた「レン」ではないけれど。もう、人ではない俺だけれど……。
「…愛している……。お前のことが、好きなんだ……。」
風よ。今日だけは、「人」として彼女を想うことを許しておくれ……。
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「なんじゃいこりゃ!?」と思われた皆様、こんばんは☆…はい、「なんじゃいこりゃ!?」で正解ですよ!!
え~と、これは…某有名ゲーム会社様の…とあるゲームのパロでございます。4月に昔私がはまっておりました、ゲームの新作が出ていたということを今日、知りまして、過去の懐かしい熱がなんか燃え上がりまして…パロ、してみたり(笑)創作時間1時間。私としては驚異的な早さです。…しかし、何をやっているんだ、私…。
あ、ちなみに話の内容は新しく発売されたゲームには関係ありません。単に昔を懐かしんだ私の暴走小ネタです。
…何の話か分かったあなたはななちの素敵な同胞です☆…分かったけれど「えぇ!?そのカップリングかい!!」と不快に思われた方がいましたらごめんなさい(汗)だって次世代編で会話が多いのですもの…。
私はどうもあの王子様が大好きで…。単にメチャクチャ強かった、ということもありますが(魔法系で最強キャラじゃないだろうか、彼は…)。嫌な感じがしないナンパな口調が新鮮だったのもあります(笑)チャラいのに王子な感じもよかったのかも…。
何のゲームか分からない方が多数でしょうが、一応補足しておきますと、次世代編突入後、息子(名前がシレジアらしい…)との会話をすませた後です。
久しぶりにやりたくなったのに、この作品のリメイクはまだされてないんですよね…。なんとかしてもう1度やりたいゲームなのですが…。残念。このゲームのためならゲーム機から購入するのも喜んでするんですがね…。