翠蓮悠璃様からのリクエスト~驚愕の事実(3-2)~ | ななちのブログ

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馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「こらぁ~~~っ!!変な誤解を生む会話はやめろっ!!」

「失礼な。誤解を生むようなことは言っていないよ。全て真実なんだから。」



 尚君の姿は、なんだか燃え上がる炎のようになっている。プスプスと妙な音を立てながら揺らぐ焔のようになってしまった尚君は…もはや人の姿を留めていない。そんなものすごい状態の尚君に、京子ちゃんは目を丸くして驚いているけれど、そんな彼女を腕の中に収める男は平然と笑っていた。…あの変わらない穏やかな笑顔が…怖い、と感じるのはもはや俺だけじゃないよな?



「キョ~~~コ~~~っ!!」

「!?なっ、何よ。っていうか、何なの!?あんた、完全におかしな状態になっちゃっているわよ!?」

「キョーコ。危ないから下がって。俺の後ろに隠れてなさい。ね?」



 おどろおどろしい響きの声を出し、京子ちゃんを呼ぶ尚君。そんな尚君に若干怯えながら近づこうとする京子ちゃんを、敦賀蓮は再び自身の背後へ隠してしまう。



「敦賀~~っ、貴様、どういうつもりだ!?まさかマジでこんな色気のねぇ女とっ…!!」

「ちょっ、ちょっとあんた!!さっきから芸能界の先輩に対して…「昨夜はキョーコをこの腕に抱いて寝たけれど。そんなこと君には関係ないだろう?」」

 

尚君の態度の悪さを注意しようと、京子ちゃんが前に出ようとするが、それを押しとどめて出た敦賀蓮の発言。



「「「「「「………………。」」」」」

 

その瞬間に…。

 俺を含め、三人の様子をコソコソと話をしながら窺っていたスタッフ達全員が……。

 何一つ話さず、石のように固まってしまう。



 ……そう、全員が想像するのは……



「つっ、つつつつ…つるが様……」

「ん?事実だろう?」

「!!??っじっ…じじじじじ…事実といたしましてもですね!?」



 俺の脳裏に…先ほどの映像よりもよりクリアに思い浮かぶ…美しくも妖しく、官能的な情景…。

 「ゴクリ…」と喉を鳴らしたのは俺だけじゃないはずだ。



「ごめんね?昨夜もやっぱり寒くて…。君の体温を直接分けてもらいたくて、無理をさせた。」

「あっ、あの…つっ、敦賀さ…」



 敦賀蓮は、妖しげな笑みを浮かべながら、ゆっくりと少女の方へと身体を向け、自身の背後に立っていたキョーコちゃんを腕の中に閉じ込める。

 京子ちゃんは自身を包み込む敦賀蓮の腕の中で真っ赤になったり、真っ青になったり…ともすれば真っ白になったり…と顔色をせわしなく変化させている。



「今夜も…無理、させちゃうかも知れないけれど。俺のこと、嫌いにならないでね?」

「きっ、嫌いになんか、なりませんよっ!!だっ、だって、私は、つ、敦賀さんのことが、その、すっ、すすす…「このロリコン野郎~~~~!!」」



 心配そうに腕の中の少女に語りかける子犬(本体は規格外の身長を持つ大男)。そんな子犬の縋りつく眼差しに、京子ちゃんが泣きそうな表情になりながら応えようとすると、それをまたしても止める大声。



「…ロリコンって、どういうことだい?」

「そうよっ!!敦賀さんはロリコンじゃないわよっ!!ただ、シスコ「そうだよ。キョーコはもう結婚もできる国が認める立派なレディなんだから。」」



 尚君の怒鳴り声に、敦賀蓮は平然と、京子ちゃんは噛みつくように言い返そうとする。…それにしても、京子ちゃんは何が言いたかったんだろう?「シスコ」ってなんだ??



「はぁ!?けっ、けけっけけけけっ、結婚だと!?意味わかんねェ!!キョーコなんざ、まだ乳臭いガキじゃねぇか!?地味で色気もねェ上に幼児体型だろうがっ!!」

「!?あっあんたねぇ~~~~!!わっ、私、別に幼児体型じゃないもんっ!!そ、そりゃあ、む、むむむ、胸はないし、地味だし色気もないし……」

「キョーコは可愛いよ。地味で色気がないだなんてとんでもない。俺が見てきたどんな女優やモデルよりも綺麗なコなのに。…俺の愛するキョーコをこれ以上侮辱するなら…。いくら君が彼女の幼馴染とはいえ、許さないよ?」



 デビュー当時のキュララのCMでは、共演した琴南奏江の美しさに多くの視聴者が京子ちゃんを軽視していたけれど(俺は京子ちゃん、好きだったけれどね…)、現在の『京子』といえばその認識は違うものになる。尚君のPVの『天使』に始まり、『本郷未緒』、『北澤ナツ』という、憎まれ役であるにもかかわらず、美しくも気高い美貌をたたえるその姿に、身もだえする男だって俺の周りには多く存在する。確かに新人ではあるけれど、だからといって軽視する者はもうほとんどいないだろう。

 

そんな少女に対しての暴言は確かに許せない。俺だって言いすぎだと思ったさ。

……でも……。



敦賀蓮の氷のような視線に、長身の男が纏う仄暗い炎を宿した怒りの感情に…空気が、一瞬にして凍りついた。空気の中の酸素量も極度に薄くなったかのように呼吸もしにくくなる。



「つっ…つつつ、敦賀さんっ!!しっかりしてくださいっ!!目が殺人鬼になってます~~~~っ!!」



 スタジオ全体が酸欠状態になる中、京子ちゃんが敦賀蓮の腕を捕まえて必死の形相で訴える。その瞬間、敦賀蓮の表情が穏やかなものに変わった。



「ごめんごめん、不破君の君への心無い言葉を聞いていると怒りが込み上げてきてね…。」

「もう…。私のために怒ってくださるのは嬉しいんですけれど、私にとっては敦賀さんのイメージが第一ですからね?」

「俺にとっては俺のイメージより君のことだよ。君が少しでも傷つくことがあるなら、許すことなんてできないから。」

「…ありがとうございます、敦賀さん。」



 穏やかな笑顔を浮かべる敦賀蓮。その敦賀蓮の視界には、きっと京子ちゃんしか入っていないだろう。京子ちゃんにとっても敦賀蓮しか視界に入っていないはずだ。

 京子ちゃんは、敦賀蓮の「君が1番」発言を受け、頬を赤く染めると、「大好きです…。」と呟き、自ら敦賀蓮の胸に顔を埋めた。

 敦賀蓮は、自身の腕の中に収まった少女を愛しそうに見つめ、宝物を包み込むようにぎゅっと優しく抱きしめる。



「お前ら~~~っ!!本気でやめろ~~~~っ!!!!」





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